札幌市営地下鉄 経営状況

札幌市営地下鉄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 13:35 UTC 版)

経営状況

2018年度の経営状況は以下の通り[29]

  • 乗車料収入:418億1600万円
    • 経常損益:99億8500万円の黒字
  • 企業債残高:265億円(元金220億円、利息45億円)
    • 企業債残高の平均利率は年1.61%となっている [30]
  • 補助金:22億8900万円

1980年代初頭から赤字が続き、2004(平成16)年度には単年度赤字約71億1,000万円、累積赤字も同年度末で4,400億円という(当時の札幌市全体の歳入は年間8,000億円弱)危機的な状況となっていた[注釈 8]。赤字の主な要因は建設費の償還とその利息負担で、特にバブル景気の最中に建設された東豊線北部の分が大きいとされる。

2004年(平成16年)から2013(平成25)年度にかけて、収支の改善を掲げた「札幌市営地下鉄事業10か年経営計画」を実施した。沿線人口の高齢化に伴う利用客の減少が見込まれ、苦しい経営が予想されていたが、計画より5年も早く2006(平成18)年度には25年ぶりに経常収支ベースでの単年度黒字を達成した。累積欠損金や企業債も減少傾向にあり、経営計画を上方修正するまでに至った。これは補助金の増額(2001〈平成13〉年度以降増額され続け、2005〈平成17〉年度は2001年度と比べ約60億円の増額)と支払利息の減少・人件費の大幅なカットによるところが大きいが、企業債およびその利息の削減に伴い現在は補助金も減らし続けている。

輸送統計によると2008(平成20)年度の1日平均乗車人員は、3路線合計で571,847人であった。1990年代をピークに利用客数が減っていったが、現在は一定幅内での増減が繰り返されており、ほぼ横ばいの状態といえる。ただしこれは東豊線の利用客数増加によるものが大きく、南北線や東西線の利用客数は減少傾向にある。ちなみに現在は1日乗車券などの普及により定期外客が増加している一方、定期客は1990年代前半の約2分の1まで落ち込んでいる。1990年代前半までは定期客と定期外客の比率がほぼ50対50であったが、2008(平成20)年度では26対74となっており、そのため運賃収入は横ばいの状態が続いている。

2018(平成30)年度収支上では南北線53億2500万円、東西線41億1900万円、東豊線5億7600万円と3線とも黒字扱いとされているが、補助金を中心とした営業外利益収入が南北線6億500万円、東西線13億9200円、東豊線41億円2500円が計上されている[29]


注釈

  1. ^ 同局の2000形は2両を1ユニットとした連接構造で、ユニット間は楕円形の広い貫通路、ユニット端は長方形の狭い貫通路が交互に連なっていた。2両編成であった1000形の両端と、4両編成用の2000形初期車ではユニットの片側は運転台となり、連結時の貫通路は狭い。
  2. ^ これは火災発生の際に隣の車両に煙が流出するのを防ぐためである。
  3. ^ ただし採用されたカラーリングは、前述のアンケートでは最下位のものであった。
  4. ^ ただし、この当時まだ営業運転を行っていた東西線6000形第1編成はドア窓の大きさの関係で設置されなかった。
  5. ^ 当初設置されていなかった3000形、6000形などの旧型車両は、連結部付近の座席を削って確保していた
  6. ^ 2016年9月時点、最後に導入された東豊線9000形第20編成まで。
  7. ^ 東西線6000形より導入。単音で「プー」と鳴動する。
  8. ^ この時期札幌市では、市電市営バス、市営地下鉄の全てが不採算事業となっており、赤字軽減のため2001年(平成13年)に市営バス事業からの撤退を正式決定、2003年(平成15年)・2004年(平成16年)の2回に亘り、民営バス事業者へ移譲している。
  9. ^ 札幌市は、1970年(昭和45年)国勢調査で初めて法定人口が100万人を突破した。政令指定都市移行は1972年(昭和47年)4月1日
  10. ^ 現在の石狩市花川南付近。
  11. ^ そもそもJR北海道の電化区間は全て交流電化である。
  12. ^ ただし、北海道電力の電気料金再値上げと国からの節電協力要請を受け、2014年12月1日から2015年3月31日まで始発から午前8時を除き原則暖房を停止する[42]
  13. ^ 始発と終発時刻は通常通りだが、日中の運行間隔を通常より間引きした特別ダイヤとなっている。
  14. ^ 平成21年度第3回定例会(札幌市議会)で予算計上、質疑の中で「地権者とダイエー東札幌店の協力が得られた」と、設置に向けた準備が進められた[49]

出典

  1. ^ a b 路線図 地下鉄 札幌市交通局(2020年10月21日閲覧)
  2. ^ a b 札幌市交通事業の設置等に関する条例
  3. ^ 地方公営企業法第二章
  4. ^ タイヤ生産「断トツ」目指す - ウェイバックマシン(2018年10月17日アーカイブ分)読売新聞.2013年4月3日
  5. ^ a b c d e 日本地下鉄史研究会「ヒューマン・ストーリー 地下鉄の発展につくした人びとNo.4 大刀豊〜19年間交通局長を務めた札幌市営地下鉄の父〜」『SUBWAY 日本地下鉄協会報』第209号、日本地下鉄協会、2016年5月、28-31頁、2020年2月22日閲覧 
  6. ^ 紋章の由来 札幌市交通局 - SUBWAY 1983年9月号(日本地下鉄協会)
  7. ^ 「地下鉄さっぽろ駅 東西連絡柵9月撤去」『北海道新聞 朝刊(札幌版)』、2017年6月7日、19面。
  8. ^ “地下鉄駅に「虹と雪のバラード」 電車到着時にメロディー 札幌市、4日から”. 北海道新聞. (2019年1月31日). https://www.hokkaido-np.co.jp/article/271923?rct=l_sapporo 
  9. ^ 札幌市交通局向け地下鉄電車を受注』(PDF)(プレスリリース)川崎重工、2013年5月22日。 オリジナルの2013年6月9日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20130609084330/http://www.khi.co.jp/news/detail/20130522_1.html2021年4月17日閲覧 
  10. ^ a b c d 市営交通のよくあるご質問と回答”. 札幌市交通局. オリジナル の2018年9月19日時点によるアーカイブ。 2019年11月30日閲覧。
  11. ^ 『直子の教えてランド』2002年3月1日放送[リンク切れ]北海道放送
  12. ^ 国土交通省北海道運輸局札幌運輸支局 平成15年度第2回交通アドバイザー会議議事概要
  13. ^ 節電の夏に涼しい音色*地下鉄、市電に風鈴」フォト北海道(道新写真データベース). (2012年7月18日). オリジナル の2019年11月30日時点によるアーカイブ。 2019年11月30日閲覧。
  14. ^ バリアフリー整備ガイドライン(車両等編)全体版 (PDF) - 国土交通省、2015年3月21日閲覧
  15. ^ 「地下鉄全車両に抗ウイルス加工 札幌市が実施へ」『読売新聞』2020年10月21日(北海道面)
  16. ^ a b 女性と子どもの安心車両”. 札幌市交通局 (2016年5月31日). 2018年10月18日閲覧。
  17. ^ sapporokotsu_PRのツイート(1372775863322701831)
  18. ^ a b c 札幌市交通局ウェブサイト「乗車料金」 より、2018年9月16日閲覧。
  19. ^ 乗車料金 - 札幌市、2015年1月18日閲覧
  20. ^ 乗継割引制度の見直しについて” (PDF). 札幌市交通局 (2010年10月29日). 2018年5月5日閲覧。
  21. ^ 地下鉄と乗継割引制度におけるバス事業者負担の見直しについて” (PDF). 札幌市交通局 (2010年10月29日). 2018年5月5日閲覧。
  22. ^ 乗継割引制度の見直しについて” (PDF). 札幌市交通局. 2018年5月5日閲覧。
  23. ^ バスと地下鉄の乗継券の廃止について”. 札幌市交通局 (2022年11月30日). 2023年4月21日閲覧。
  24. ^ 福祉割引”. 札幌市交通局. 2023年10月21日閲覧。
  25. ^ a b c 精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方へ(2019年4月1日から)地下鉄・路面電車の料金が割引になります(2019年1月10日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  26. ^ 札幌市公式ウェブサイト「障がい者交通費助成」 より、2018年9月16日閲覧。
  27. ^ ICカード乗車券:名前は「SAPICA」 2009年1月、サービス開始/北海道毎日新聞』2008年3月29日
  28. ^ 共通1DAYカードの発売・利用終了及び払戻しについて - 札幌市
  29. ^ a b 平成30年度決算の概要(高速電車)”. 札幌市交通局. 20200123閲覧。
  30. ^ 企業債の状況(高速電車)”. 札幌市交通局. 20200123閲覧。
  31. ^ 東西線での設置状況と今後の設置予定 (PDF)
  32. ^ ワンマン運転開始のお知らせ (PDF)
  33. ^ 札幌市交通局プレスリリース(2013年2月4日)
  34. ^ 安全報告書2013” (PDF). 札幌市交通局. 2014年6月2日閲覧。
  35. ^ 交通局からのお知らせ(2016年2月21日)
  36. ^ a b 建設新聞で読み解く あのときの札幌 第13回「五輪を支えた都市施設〈地下鉄(高速軌道)(1)〉」『北海道建築新聞』
  37. ^ 『札幌市高速鉄道 東豊線建設史』札幌市交通局、1989年
  38. ^ 皇室と鉄道「お召し列車」とともに 1971年、札幌国際冬季スポーツ大会を訪れ、開業前の札幌市営地下鉄の列車に乗車する皇太子ご夫妻 - 朝日新聞デジタル(2019年3月25日)
  39. ^ 札幌市議会の平成21年第一部予算特別委員会-03月16日-07号における札幌市長答弁。
  40. ^ 札幌広域圏の総合交通体系のグランドデザイン 〜北海道新幹線 開業時期の前倒しへ〜(骨子)”. 札幌商工会議所 (2012年). 2022年6月23日閲覧。
  41. ^ 札幌市交通局等におけるSuicaのサービス開始について (PDF) - 東日本旅客鉄道
  42. ^ 札幌地下鉄:来月から地下鉄暖房停止 北電再値上げで節電」『毎日新聞』2014年11月29日
  43. ^ 札幌の地下鉄はなぜ「ちゅんちゅん」鳴くの?音の正体に迫る!(石簾マサ)動画あり - 北海道ファンマガジン(2017/07/22更新)2018年7月11日閲覧
  44. ^ docomo Wi-Fiが札幌市営地下鉄東豊線、横浜市営地下鉄グリーンラインなどでサービス開始ITmedia、2023年11月18日閲覧
  45. ^ 石川祐基『もじもじもじ鉄 鉄道の書体とデザインほぼぜんぶ』三才ブックス、2019年2月1日、125,126頁。ISBN 9784866731025 
  46. ^ さっぽろ文庫11『札幌の駅』. 北海道新聞社. (1979年12月17日). pp. 276-302 
  47. ^ まるごとキヨスク在中”. 北海道キヨスク. オリジナル の2008年6月9日時点によるアーカイブ。 2019年11月30日閲覧。
  48. ^ 店舗情報”. 北海道キヨスク. オリジナル の2019年10月24日時点によるアーカイブ。 2019年11月30日閲覧。
  49. ^ 『広報さっぽろ』平成21年11月号
  50. ^ 写真素材集(地下鉄) 札幌市
  51. ^ 暖房を止めた札幌市の地下鉄、電気料金の再値上げで節電拡大」ITmedia
  52. ^ 車内暖房停止に関するお客様への聴取調査の実施結果について (PDF)
  53. ^ “北海道地震、節電で札幌市の地下鉄、路面電車減便”. 日本経済新聞. (2018年9月10日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35158530Q8A910C1MM0000/ 
  54. ^ “北海道節電解除、正常化へ一歩 ライトアップも再開”. 日本経済新聞. (2018年9月20日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35533090Z10C18A9L41000/ 





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「札幌市営地下鉄」の関連用語

札幌市営地下鉄のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



札幌市営地下鉄のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの札幌市営地下鉄 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS