曲線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 19:25 UTC 版)
微分構造
I は実数直線内の区間とする。X が可微分多様体であるとき、X 内の可微分曲線の概念を考えることができる。厳密さをさておけば可微分曲線とは局所的に単射可微分写像 γ: I → X で定義される曲線である。より厳密には、可微分曲線は X の部分集合 C であって、C の各点に近傍 U が存在して、C ∪ U が実数直線内の区間に微分同相となる。すなわち、可微分曲線は一次元の可微分多様体である。この概念は、数学における曲線の使用の大半の部分をカバーするのに十分一般なものである。局所的に見れば X はユークリッド空間 Rn ととることができる。他方、より一般であることは有用で、例えば、可微分曲線の概念を用いて X の接ベクトルを定義することができる。
同様に X が滑らかな多様体であるとき X 内の滑らかな曲線あるいは C∞-級曲線を、滑らかな写像 γ: I → X によって定義することができる。あるいはより細かく、X が Ck-級可微分多様体(各チャートが k 回連続的微分可能)ならば、X 内の Ck-級可微分曲線あるいは短く Ck-級曲線は、写像 γ が k 回連続的微分可能とだけ仮定することで定義できる。またより強く、X が解析多様体(各チャートが無限回微分可能かつ冪級数展開可能)で、γ が解析写像(Cω-級)ならば、解析曲線(Cω-級曲線)と呼ぶ。
可微分曲線が非特異 (regular) とは、その微分が至る所消えないときに言う(つまり、非特異曲線は動点がその曲線上で速度が弱まり停止したり後戻りしたりしない)。二つの Ck-級可微分曲線 γ1; I → X, γ2: J → X が同値であるとは、Ck-級全単射 p: J → I が存在して、逆写像 p−1 も Ck-級、かつ任意の t において γ2(t) = γ1(p(t)) を満たすときに言う。写像 γ2 は γ1 のパラメータの取り換え (reparametrisation) であると言う。パラメータの取り換えであるという関係は X 上の Ck-級可微分曲線全体の成す集合上の同値関係を与え、その各同値類は Ck-級の弧 (Ck arc) と呼ばれる。
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