普請 普請の概要

普請

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/02/19 15:25 UTC 版)

概要

端的にいえば互助活動や相互扶助や自治としての建設(修繕、模様替も含まれる)の為の労力や資金の提供を求める事をさす。建設と言う言葉自体が明治時代外来語を翻訳した時に出来た和製熟語でありそれ以前は普請と言った。

相互扶助としての普請(結ともいう)
貨幣経済の発達前には、近隣の協力を得て家屋を立てたことから、現在においても家を建てることを普請するともいうが、具体的には「家普請」といい、地域の事情により古くから大工と言う職業が多数存在する地域もあったが、自治単位の人口の少ないところでは、十分の付き合い(相互扶助のこと村八分と言う言葉で知られる)の一つとして建前(上棟)には人手がいるためお互い様として地域住民が積極的に手伝う事が当然であった。現在でもその風習が残っているところも多く存在する。また結普請の参加者を詳細に記録した者を「普請帳」といった。
その他の現在でも残る例としては萱普請(屋根普請)や溝普請があり、萱普請は萱葺き屋根の葺き替えを近隣に無償にて作業してもらう事である。溝普請は用水路や排水路(どぶ)などを地域住民で清掃することが一般的に知られている。なお様々な理由で参加できない者は炊き出しなどの費用として金銭を支払うなどとする所もある。ごみ集積場の清掃作業の持ち回りも新たに出来た普請(結い)といえるだろう。
公共事業としての普請や自治としての普請
自治としては江戸時代の町奉行の設立により、単位で自治が認められそれに伴い社会基盤は自前で行う範囲が発生した資金を町人(現在の地方議員と金持ちを兼ねた様な存在)を始めとする大店(おおだな)などが負担し、おもに大工、木材商などに従事する者が行った。具体的には、道や石垣、井戸や上水道の木管の敷設や排水溝(どぶ)の布設、鯨舟鞘廻御用での橋梁建設や町火消での消火活動などが挙げられる。
村や町においても自治の政(祭り、政治の事)の中心的な存在として寺社がありその普請を寺社普請といい、管轄や由来によっては御上が行う寺社普請も数多く存在した。
農林水産業などが基幹産業である地域で自治や公共事業として灌漑用水路や溜池、林道や筏場、港湾や防波堤などの普請が行われてきた。
主要都市の公共事業としては幕府が行った海運荷役や人口増加の為の埋め立て治水や河川荷役の為の護岸工事を始めとし、埋立地や護岸の締め固めを目的とした桜の植樹や花火の打ち上げの奨励や遊郭の設置なども広義では普請と言えるだろう。
国や地方自治体が行う公営賭博や宝くじも、歴史的に見れば寺社普請を真似た上に、国や地方自治体が独占した普請の手段と言える。

歴史

起源

由来
普請は仏教用語で、ふしんの読み仮名は禅宗が伝えた為、唐音が使われる(燃燈仏などを参照)。類語に勧進(かんじん)がある。
意味
普く(あまねく)人々に請う(こう)ことであり、禅宗の信者が力を合わせて作業に従事するという意味であったが、後には寺社普請としてまたは、集落において受益者が合意して作業に従事することも指すようになった。

役職としての普請

室町幕府江戸幕府などで、築城などの役務・役職名として普請も用いられた。これは本来の用法である自らの意思に基づく社会参加とは意をことにするものであるが、幕府による景気対策や生活困窮者の救済措置である側面を持つ。ちなみに幕府による、棒手売(街商や物売りのこと)の鑑札の発行も弱者優先であり生活困窮者の救済の政策であった。

  • 勘定奉行(かんじょうぶぎょう) - 税の徴収や訴訟を扱う公事方に対し、「勝手方」という部署が河川橋梁などの普請を取り仕切っていた。
  • 用水奉行(ようすいぶぎょう) - 河川やそれに架かる橋、洪水、水田や用水路に係わる普請を行った。地域によっては普請奉行が兼ねたり含まれたりする場合もある。
  • 下三奉行
    • 作事奉行(さくじぶぎょう) - 幕府管轄の建築物の造営や修理をした。作事が建築を表す言葉である事が解る。
    • 普請奉行(ふしんぶぎょう) - 城下石垣、土木や建築物の地縄張りや基礎工事および上水道の管理
    • 小普請奉行(こぶしぶぎょう) - 城やそれに付随する建物の修理、営繕。
      • 小普請支配(こぶしんしはい) - 小普請をする際に収入が少なく役職の無い御家人旗本を救済する意味も兼ねて臨時雇用しその采配をする役職。
        • 小普請役 - 上記の小普請に就いた御家人や旗本のこと。

救済措置としての普請

  • 町屋普請 - 大火の後に実施することもあり、京都における天明大火の町屋普請などが知られる。
  • 大名手伝普請 - 関東における寛保洪水の後に行われた各大名に負担させた洪水の復興や修繕の為の普請。
  • 小普請 - 収入が少なく職の無い下級武士の救済でもあった。
  • 御救普請 - 景気対策や生活困窮者を助ける為に幕府が行った公共事業である。江戸幕府の基本政策である埋め立てや治水のための護岸工事がこれにあたる。



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