日本海
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/06 18:59 UTC 版)
海の環境破壊
海洋汚染
漂着物として、主に韓国、中国など日本海を航行する貨物船や漁船、また朝鮮半島や日本本土から不法投棄されるゴミが海流に乗って、対馬や日本海沿岸に漂着する。その量は膨大で沿岸地方自治体の財政を圧迫するほどである。
さらに、ロシアなどが遺棄していた放射性物質は深海を汚染しているおそれが大きく、カニや深海魚の汚染に不安感がもたれている。特に経済が悪化していた当時のロシアでは太平洋艦隊の古い原子力潜水艦の原子炉を日本海公海上の海溝に投棄していたことが問題とされている[16]。
韓国政府は68年から4年間、約45トンの放射性廃棄物を日本海の鬱陵島(ウルルンド)から南に12海里離れた水深約2200メートル地点に投棄した[17]。
また、冬季の天候の悪化時に起きる海難事故では、ナホトカ号重油流出事故のように大量の重油で沿岸部が汚染される事件が多発している。中国、ロシア、韓国船の中には船内を海水で洗浄した廃油を海に投棄する船が後をたたない。主に冬から春にかけて、航行中の船から材木などが大量に流出し航行に危険をもたらす事件も起こっている。
磯焼け
沿岸部の岩礁地帯の植物が死滅して、焼いたサザエの殻のように、水面下の岩に付いた貝等の屍骸で磯全体が広範囲にわたって白く焼けたように見えることから、この呼び名がある。日本海沿岸部全体で観察される現象で、沿岸部での魚の激減、えさの減少から沿岸部で産卵されて育つ人間に有用な魚の稚魚の成長が難しくなることなど、漁業全体への深刻な影響が懸念される。川の水が流入する直近の場所では少ないことから、海水の変化が原因と考えられている。
海水の変化の理由として、有力な説は船底塗料等の中に含まれる環境ホルモンによる海洋汚染、流入する河川の治水による有機物の減少、最新の説には、温暖化による海水の有機物の減少(貧栄養化現象、栄養減化現象)を挙げる説等があるが、原因は不明である。
なお、現代の磯を見慣れている人には「磯焼け」が常態であるのでこの言葉に実感はないが、半世紀前の人々が普通に見た磯(水中)は、岩などが見えないほど海草が生い茂っていたのである。
注釈
- ^ Limits of Oceans and Seas Sheet 1、世界地図上で、日本海には通し番号 52が当てられている。
出典
- ^ a b 国際水路機関の「大洋と海の境界 (S-23)」におけるJapan Sea、(英語)"Limits of Oceans and Seas" (Special Publication No. 23), 3rd Edition 1953, International Hydrographic Organization, p.32,「52. Japan Sea」の項
- ^ 北海道周辺の海洋名称(第一管区海上保安本部)
- ^ 「日本海の範囲」国際水路機関による定義(第九管区海上保安本部)
- ^ 西海国立公園 環境省自然環境局
- ^ 海洋の健康診断表 総合診断表 2.2.4 対馬暖流および日本海固有水 (気象庁)
- ^ 長崎の気候特性 長崎海洋気象台
- ^ 「水辺へ、ようこそ」 Ⅱ.長崎県の浅海域環境 長崎県自然環境課
- ^ 2006. “鲸海”这个名字如何改成了“日本海”. Retrieved on March 07, 2017
- ^ 『日本書紀』巻第6、垂仁天皇2年是歳条。尾島憲之・直木孝次郎・西宮一民・蔵中進・毛利正守『日本書紀』1(新編日本古典文学全集2)、小学館、1994年、300-302頁。
- ^ a b c 上田正昭『日本古代史をいかに学ぶか』205頁。
- ^ 『ソビエト大百科事典』(第3版、1969-1978、ロシア語)、「Японское море」(日本海)の項。
- ^ 蒲生 俊敬『日本海 その深層で起こっていること』講談社、2016年2月19日、68頁。ISBN 978-4062579575。
- ^ 日本海東部の海底堆積物中の元素濃度の鉛直変化と堆積環境 (PDF) 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
- ^ タービダイトから推定される日本海東縁佐渡海嶺の地震発生ポテンシャル (PDF) 日本地球惑星科学連合
- ^ 日本海東縁海域の活構造およびその地震との関係 (PDF) (独)産業技術総合研究所 地質調査総合センター
- ^ 平成5年版原子力安全白書第1編第6章第3節 旧ソ連、中・東欧の原子力発電所をめぐる安全協力
- ^ 40年前、東海に放射性廃棄物を投棄 中央日報2011年02月21日付
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