日本年金機構 業務運営

日本年金機構

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 00:02 UTC 版)

業務運営

日本の年金制度
(2022年 / 令和3年3月末現在)[21]
国民年金(第1階)
第1号被保険者 1,449万人
第2号被保険者 4,513万人
第3号被保険者 793万人
被用者年金(第2階)
厚生年金保険 4,047万人
公務員等[22] (466万人)
その他の任意年金
国民年金基金 / 確定拠出年金(401k)
/ 確定給付年金 / 厚生年金基金

国(厚生労働省)が財政責任・管理運営責任を負いつつ、一連の業務運営は日本年金機構に委任・委託されている。

中期目標

厚生労働大臣は、3年以上5年以下の期間において、機構が達成すべき業務運営に関する目標(中期目標)を定め、日本年金機構に対して示し公表する。中期目標は、

  1. 中期目標の期間(3年~5年の間)。
  2. 提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項。
  3. 業務運営の効率化に関する事項。
  4. 業務運営における公正性及び透明性の確保、その他業務運営に関する重要事項。

の4つである。また、厚生労働大臣は、中期目標の達成状況について、評価を行い、評価の結果必要があると認めるときは、機構に対し、その業務の運営の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずる。

発足当初における中期目標の期間は、平成22年1月1日から26年3月31日までの4年3カ月である。年金記録問題対応の「国家プロジェクト」の期間と位置付けており、平成22年度、23年度の2年間を集中的に予算・人員を投入し、当面の最重要課題として取り組むとしている[23]

中期計画

日本年金機構は、中期目標に沿って中期計画及び毎年度の年度計画を作成し、厚生労働大臣の認可を受ける。厚生労働大臣は、機構の事業年度ごとの業務の実績について、評価を行う。発足当初の中期計画は、客の信頼確保に向けた組織改革のため、発足当初の3か月は発足に伴う混乱回避と円滑な移行に最大限注力し、平成22年度以降、サービス向上に向け、職員の士気高揚・組織の活性化を通じた本格的な取組を、優先順位を付けて計画的に進めるとされた[24]

業務

厚生労働大臣の権限を委任された業務は、大きく分けて4つあり、適用(加入)調査関係、徴収(保険料の納付)関係、相談・裁定・給付(年金受給)関係、これらを横断的に管理をする記録管理である。

日本年金機構の名で機構が行っている業務は、資格の得喪の確認、滞納処分、届出・申請の受付、厚生年金の標準報酬額の決定、国民年金手帳の作成・交付などがあり、厚生労働大臣から事務の委託を受けた業務は、裁定、年金の給付、原簿への記録、ねんきん定期便への通知、納入の告知・督促などがある。また、保険料の徴収は、国の歳入徴収官の名で日本年金機構が行っている。

年金事務のほか、子ども・子育て支援法健康保険法船員保険法国家公務員共済組合法国民健康保険法介護保険法、社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律の規定に基づき、各法により厚生労働大臣の職務とされているものの一部を日本年金機構が行う(日本年金機構法第27条)。

厚生労働大臣及び日本年金機構は、政府管掌年金及び政府管掌年金事業に対する国民一般の理解を高めるよう努めなければならない、とされ(日本年金機構法第2条2項)、毎年11月を「ねんきん月間」、毎年11月30日を「年金の日」と定め、国民の年金制度に対する理解を深めるため、公的年金制度の普及・啓発活動を展開する[25]

また、健康保険組合連合会及び健康保険組合並びに企業年金連合会及び厚生年金基金の事実上の所管団体、厚生労働省並びに旧社会保険庁及び現日本年金機構の天下り・渡りの受入れ先・斡旋元でもあり外郭団体でもある、総合健康保険組合協議会の連携機関も兼ねている。

総合健康保険組合協議会が実施する社会保険制度の改善に係る官公庁への提言における、制度改善への啓発等に協力している。


注釈

  1. ^ 社会保険庁の幹部として短期間在籍する厚生労働本省採用のキャリア職員、本庁採用のいわゆるノンキャリア職員、かつて地方事務官として都道府県単位で採用された職員が一体性を欠いたまま存在するという構造は、組織を分断させ、組織ガバナンスの欠如の原因とも指摘された。

出典

  1. ^ 日本年金機構年度計画(平成31年度)
  2. ^ 平成30事業年度財務諸表
  3. ^ 平成30事業年度事業報告書
  4. ^ https://www.nenkin.go.jp/info/
  5. ^ 社保庁廃止で「解雇」 取り消し求めた元職員の敗訴確定:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年10月26日閲覧。
  6. ^ 日本年金機構法 - e-Gov法令検索
  7. ^ 理念 (PDF)
  8. ^ 運営方針 (PDF)
  9. ^ 人事方針 (PDF)
  10. ^ 第159回国会衆議院本会議・第19号・平成16年4月1日、衆議院。
  11. ^ ねんきん事業機構法案、衆議院。
  12. ^ 日本年金機構法案、衆議院。
  13. ^ 日本年金機構の設立危機を伝える読売新聞(平成21年9月13日付)の記事。[リンク切れ]
  14. ^ a b 日本年金機構の正規職員内定通知。
  15. ^ 年金制度のポイント” (PDF). 厚生労働省. 2020年10月16日閲覧。
  16. ^ 日本年金機構の発足声明。
  17. ^ 日本年金機構について(第1回社会保障審議会日本年金機構評価部会資料) (PDF)
  18. ^ 日本年金機構の副理事長となるべき者及び理事となるべき者の指名について (PDF)
  19. ^ 日本年金機構が組織再編を行います』(PDF)(プレスリリース)日本年金機構、2016年3月31日https://www.nenkin.go.jp/oshirase/press/2016/201603/20160331.files/20160331.pdf2017年7月29日閲覧 
  20. ^ 例:事務センターの年金給付グループ ⇒ 年金給付第1グループ、年金給付第2グループ
  21. ^ 厚生労働白書 令和4年度』厚生労働省、2022年、資料編https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21-2/dl/11.pdf 
  22. ^ 被用者年金制度の一元化に伴い、2015年10月1日から公務員及び私学教職員も厚生年金に加入。また、共済年金の職域加算部分は廃止され、新たに退職等年金給付が創設。ただし、2015年9月30日までの共済年金に加入していた期間分については、2015年10月以後においても、加入期間に応じた職域加算部分を支給。
  23. ^ 日本年金機構中期目標 (PDF)
  24. ^ 日本年金機構中期計画 (PDF)
  25. ^ 「年金の日」・「ねんきん月間」のお知らせ厚生労働省
  26. ^ 日本年金機構評価部会について (PDF)
  27. ^ 運営評議会
  28. ^ 日本年金機構職員給与規程 (PDF)
  29. ^ 日本年金機構職員賞与規程 (PDF)
  30. ^ 有期雇用職員の募集について (PDF)
  31. ^ 日本年金機構設立委員会委員名簿 (PDF)
  32. ^ 日本年金機構設立委員会規則 (PDF)
  33. ^ 日本年金機構の職員(正規職員及び地域限定期限付職員(仮称))の労働条件 (PDF)
  34. ^ 日本年金機構の職員の採用の基準 (PDF)
  35. ^ 日本年金機構の職員の募集について (PDF)
  36. ^ 職員採用審査会委員について (PDF)
  37. ^ 森永卓郎 (2007年7月2日). “社会保険庁ではリストラできるのに…”. 日経BP. 2011年1月1日閲覧。
  38. ^ 日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画 (PDF)
  39. ^ 社会保険庁職員からの日本年金機構職員採用に係る審査結果の概要 (PDF)
  40. ^ 参考資料(日本年金機構の職員採用と分限免職との関係) (PDF)
  41. ^ 社保庁職員の雇用確保と年金記録問題に関して舛添厚労大臣に要請2009年4月27日自治労
  42. ^ 社会保険庁の廃止に伴う職員の移行等の状況について (PDF)
  43. ^ 社保庁長官退職 厚労相「懲戒処分歴、例外認められぬ」 朝日新聞 2010年1月5日
  44. ^ 日本年金機構の職員募集の求人票
  45. ^ 日本年金機構の職員採用内定承諾書
  46. ^ 日本年金機構の職員内定者へのお知らせ(表面)
  47. ^ 日本年金機構の職員内定者へのお知らせ(裏面)
  48. ^ 日本年金機構の非常勤職員の勤務条件(表面)
  49. ^ 日本年金機構の非常勤職員の勤務条件(裏面)
  50. ^ 日本年金機構の非常勤職員への勤務希望調書
  51. ^ “年金機構職員と社保庁OB逮捕 入札情報漏えい容疑”. 共同. (2010年10月15日). https://web.archive.org/web/20130622094404/http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010101401000894.html 
  52. ^ 年金10億円支払う気なかった?日本年金機構の仰天業務実態 MSN産経ニュース 2013年4月20日
  53. ^ 日本年金機構 遺族年金、18億円過払い 検査院指摘へ 毎日新聞 2017年10月11日
  54. ^ 125万件の個人情報流出=職員端末にサイバー攻撃-年金機構 (2015年6月1日) 2020年10月20日閲覧。
  55. ^ 不正アクセスで年金情報125万件が流出かNHKニュース 2015年6月1日
  56. ^ 日本年金機構、ずさん管理で不要データの削除怠り流出か
  57. ^ 年金情報 窃盗で機構職員ら逮捕 400人分流出か 毎日新聞 2017年6月30日
  58. ^ 年金情報見返りに賄賂=容疑で機構元職員再逮捕-大阪府警”. 時事通信 (2017年7月19日). 2017年7月19日閲覧。
  59. ^ a b “個人情報の入力、一部を中国業者に 年金機構の委託業者”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2018年3月20日). オリジナルの2018年3月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180319181550/https://www.asahi.com/articles/ASL3M7QSPL3MUCLV01M.html 2018年3月20日閲覧。 
  60. ^ 日本年金機構における業務委託のあり方等に関する調査委員会の設置』(PDF)(プレスリリース)日本年金機構、2018年4月10日。 オリジナルの2018年4月10日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20180410201902/http://www.nenkin.go.jp/oshirase/press/2018/201804/2018041001.files/2018041001.pdf2018年6月3日閲覧 
  61. ^ 「外部委託見直しへ調査委=入力や契約違反多発-年金機構」時事通信、2018年4月10日
  62. ^ “年金機構、外部委託見直しへ 契約違反受け調査委”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2018年4月10日). オリジナルの2018年4月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180410062949/https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29193630Q8A410C1EAF000/ 2018年6月3日閲覧。 
  63. ^ “納期優先で問題深刻化 年金入力ミスで第三者委報告書”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2018年6月4日). オリジナルの2018年6月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180604090444/https://www.asahi.com/articles/ASL616F2ML61UTFK01X.html 2018年6月5日閲覧。 
  64. ^ 「在日一掃」「卑怯な民族」Twitterで匿名ヘイト、年金事務所長が更迭。処分も検討”. 2019年3月27日閲覧。
  65. ^ “年金事務所長、ツイッターでヘイト発言し更迭”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2019年3月25日). https://mainichi.jp/articles/20190325/k00/00m/040/098000c 2019年3月26日閲覧。 
  66. ^ 「属国根性の卑怯な...」 ヘイト発言連発の世田谷年金事務所所長、身元バレの残念な顛末”. 2019年3月28日閲覧。
  67. ^ 職員の制裁について”. www.nenkin.go.jp. 日本年金機構 (2019年4月11日). 2024年1月14日閲覧。
  68. ^ Twitterでヘイト発言、勤務中にも投稿 元年金事務所所長、停職2カ月の処分”. www.itmedia.co.jp/news. ITmedia NEWS (2019年4月12日). 2024年1月14日閲覧。
  69. ^ 「発達障害で退職強要」 日本年金機構、元職員の男性が賠償求め提訴”. www.asahi.com. 朝日新聞デジタル (2024年1月12日). 2024年1月14日閲覧。
  70. ^ 年金機構で上司がパワハラ、労災認定…元職員が適応障害”. www.yomiuri.co.jp. 読売新聞オンライン (2024年1月13日). 2024年1月14日閲覧。
  71. ^ 「発達障害を退職理由にするよう指示された」 日本年金機構の元職員が慰謝料求め提訴”. www.bengo4.com. 弁護士ドットコム (2024年1月12日). 2024年1月14日閲覧。





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