日本の高速道路
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日本での高速道路の公式な英語表記にはExpressway(略記:EXPWY・エクスプレスウェイ)が用いられるが、俗にHighway(ハイウェイ)と呼ばれることがある[2]。元々米国で「Highway」は幹線道路という意味であり、一般国道を含めた国道(英語: National Highway)や主要地方道等の主要道路全体を指す。日本の高速道路は幹線道路としての機能も有するため、Highwayというカテゴリの道路の1種であると言うこともできる。
法令上の定義
法令上の高速道路の定義は、概ね「高速自動車国道」と「自動車専用道路」とを合わせたものとするが、詳細はいくつかのものがある。一般自動車道は含まれない。
- 高速道路株式会社法(平成16年6月9日法律第九十九号)
- 第2条
- 第2項 この法律において「高速道路」とは、次に掲げる道路をいう。
- 高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する高速自動車国道
- 道路法第四十八条の四に規定する自動車専用道路(同法第四十八条の二第二項の規定により道路の部分に指定を受けたものにあっては、当該指定を受けた道路の部分以外の道路の部分のうち国土交通省令で定めるものを含む。)並びにこれと同等の規格及び機能を有する道路(一般国道、都道府県道又は同法第七条第三項に規定する指定市の市道であるものに限る。以下「自動車専用道路等」と総称する。)
- 道路交通法第108条の28に基づく国家公安委員会の告示である交通の方法に関する教則(昭和53年10月30日国家公安委員会告示第3号(最終改正平成16年8月27日))第7章
- 「高速道路とは、高速自動車国道と自動車専用道路をいう。高速道路では、ミニカー、総排気量125 cc以下の普通自動二輪車(小型自動二輪車)、原動機付自転車は通行できない。農耕用作業車のように構造上毎時50 km以上の速度の出ない自動車やほかの車をけん引しているため毎時50 km以上の速度で走ることのできない自動車も、高速自動車国道を通行することはできない。」
必要条件・通行条件
道路構造令で第1種、第2種に区分する道路が高速道路であるが例外的に第3種第1級の道路を出入り制限して自動車専用道路に指定している道路もある。
高速道路は、以下の条件を満たす必要がある。
- 出入りはインターチェンジ(以下、IC)のランプに限られること。
- 原則として、往復車線が中央分離帯によって分離されていること(暫定2車線を除く)。
- 他の道路、鉄道等との交差方式は立体交差であること。
- 自動車の高速通行に適した線形になっていること。
高速道路の通行条件は以下のようになっている。
- 自動車専用
- 歩行者、軽車両、ミニカーは通行できない。
- 高速自動車国道及び最低速度制限のある自動車専用道路では小型特殊自動車やほかの車をけん引している自動車など、50 km/h以上の速度を出せない自動車も通行不可
- 125 cc以下の自動二輪車(小型自動二輪車)、原動機付自転車は通行できない。
- 自動二輪の2人乗りに関しては、1965年から禁止となっていたが、アメリカ合衆国連邦政府から「非関税障壁である」と指摘され、2005年の法改正に伴い、2人乗りの禁止が解禁された。21歳以上かつ免許(大型二輪または普通二輪)を受けていた期間が3年以上であれば、運転者以外の人を乗車させて運転できる(首都高速道路の一部区間など、標識で二人乗り禁止と指示されている区間は除く)。
- 高速道路では駐車(サービスエリア・パーキングエリアを除く)及び停車(料金所などを除く)、転回、車両横断、後退が禁止されている。
- 最高速度・最低速度については、それぞれ各項目を参照のこと。
分類
日本の高速道路には、以下のものがある。
- 高規格幹線道路
- 高速自動車国道(A路線)
- 高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路(A'路線)
- 国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)(B路線)
- 本州四国連絡道路
- B路線に準じる。
- その他の自動車専用道路
- 高規格幹線道路及び地域高規格道路に分類されない自動車専用道路。
高速道路の種類や建設方式が複雑化した背景として、省間の利害対立や建設費用の捻出方法の違いなどが挙げられる。
注釈
- ^ 地域高規格道路には自動車専用道路ではない道路(歩行者等も通行できる道路)も含まれるが、そのような道路は高速道路には含まれない。
- ^ 法定路線名は道路愛好家の造語であり正式には路線名。
- ^ 「#全国的高速道路網建設に向けた政府・国会の動き」節も参照。
- ^ 1963年(昭和38年)に制定された。
- ^ この当時は、一級国道、二級国道、都道府県道、市町村道のカテゴリが道路法で定める道路とされた。 のちの1965年(昭和40年)4月に、一級国道と二級国道は統合されて一般国道となっている。
- ^ NEXCO西日本・中日本・東日本各々の管理担当区域において、年間13万件以上の落下物報告があり改善の兆しが見えない状況にある。
- ^ ロービームの視界は約40 mしかないため、時速100 km近くで走行する高速道路では、危険を察知しても避けることが困難である。
- ^ ハイビームが「前の車のドライバーに迷惑」になるのは車間距離不保持が主原因であることが多い。やむを得ず適正車間距離の維持が不可能な場合、上記【交通の方法に関する教則】文中にてハイビームの使用は非推奨と定められている。
出典
- ^ 交通の教則など
- ^ a b c 浅井建爾 2015, p. 88.
- ^ 国土交通省道路局 道の相談室 Archived 2009年12月9日, at the Wayback Machine.
- ^ “高速道路に路線番号---訪日外国人にも分かりやすく”. Response.. (2016年9月15日) 2016年10月27日閲覧。
- ^ 高速道路ナンバリングの実現に向けた提言 (PDF) - 国土交通省道路局
- ^ a b 財団法人道路新産業開発機構 道路行政セミナー3月号「より視認し易い高速道路案内標識を目指した標識レイアウトの変更について」(PDF) 2011年9月18日閲覧
- ^ a b ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 53.
- ^ a b c d 武部健一 2015, p. 173.
- ^ 全国自動車国道計画路線図を参照
- ^ 武部健一 2015, pp. 171–181.
- ^ 武部健一 2015, pp. 182–184.
- ^ 武部健一 2015, pp. 184–187.
- ^ 浅井建爾 2015, p. 89.
- ^ a b c d e 浅井建爾 2001, pp. 56–57.
- ^ 武部健一 2015, p. 197.
- ^ 武部健一 215, p. 197.
- ^ 武部健一 2015, p. 198.
- ^ a b 武部健一, p. 198.
- ^ 武部健一 2015, p. 201、「全国的高速道路網の展開」
- ^ a b 浅井建爾 2001, pp. 58–59.
- ^ 浅井建爾 2001, p. 89.
- ^ 武部健一 2015, pp. 201–204.
- ^ <5>県北の悲願 開通見えず | 新潟日報デジタルプラス 2022年3月30日閲覧。
- ^ a b ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 64.
- ^ a b c ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 65.
- ^ 道路整備特別措置法附則第二条
- ^ a b c d e f 全国高速道路建設協議会(編)『高速道路便覧 2007』 2007, p. 13
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- ^ 全国高速道路建設協議会(編)『高速道路便覧 2007』 2007, p. 21
- ^ a b 浅井建爾 2015, p. 91.
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- ^ 「高速無料化に断固反対」 関西フェリー7社が訴え(共同通信 2009/10/29配信) 2009年10月30日閲覧
- ^ マニフェスト一部凍結要求へ 社民、連立入りで民主に(共同通信 2009/09/02配信) 2009年9月29日閲覧
- ^ 高速無料化、新幹線が候補 刷新会議の事業仕分け(共同通信 2009/10/29配信) 2009年10月30日閲覧
- ^ 峯岸邦夫 2018, p. 25.
- ^ a b c d e f 峯岸邦夫 2018, p. 24.
- ^ “フロー効果”. コトバンク. 朝日新聞社. 2019年7月28日閲覧。 “公共投資による社会資本の整備過程で、生産、雇用、消費などの経済活動が活発になって生まれる短期的な経済効果。---出典:小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』からの孫引き。”
- ^ 水の都再生へ 夢をつなぐ<1> 読売新聞 地域大阪 2009年9月29日閲覧
- ^ a b 武部健一 2015, p. 216、「生活環境と住民運動による試練」
- ^ 武部健一 2015, pp. 217–218、道路景観に新風を吹き込んだ「塀の美学」
- ^ NEXCO西日本 ニュースリリース『高速道路における落下物が一向に減りません!』
- ^ 東日本高速道路株式会社『路上障害物対応に関する取り組みについて』平成22年2月25日公開(PDF形式)
- ^ 国家公安委員会告示 【交通の方法に関する教則】「第7章第2節第3項の12」
- ^ 国家公安委員会告示 【交通の方法に関する教則】「第6章第3節第2項の2」
- ^ 福岡地裁 平成18年9月28日判決/判例時報1964号127p
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