排出器官 排出器官の概要

排出器官

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 06:20 UTC 版)

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概説

動物は常に体内から不純物や老廃物を出し、また浸透圧調節のために水分を放出するものも多い。そのような働きを排出、あるいは排泄と言う。たとえばヒトの排泄には主なものに大便小便があるが、この二つは内容的にはかなり異なるものである。大便は食物消化吸収した残渣を主成分としており、これに対して小便は血液中の不要な水分やその他の成分を抽出したものである。実際には大便にも体内からの分泌物が含まれるため、このような区別は厳密なものではない。また、動物によってはこれらは同一の出口から放出される場合も多く、そのような穴は総排出腔と呼ばれる。その場合は両者混然と放出される。

しかし、その過程を見ると、大便は消化管から放出されるのに対して、小便は血液からそれらをくみ出す仕組みによって作られる。このための器官が排出器である。例えばヒトを含む脊椎動物のそれは腎臓である。それ以外の動物(無脊椎動物)では腎管などがあり、それらは互いにある程度の相同性があると考えられている。それらは体腔に口を開くため、往々に体腔器と呼ばれる。また、体節制を持つものでは体節ごとに存在する例が多く、体節器と呼ばれる場合もある。また、脊椎動物のものは泌尿器系と呼ばれる。

その他、各分類群に独自な類似の機能を持つ器官がある例も知られる。原生生物に見られる類似の働きを持つ細胞器官に収縮胞がある。なお、動物の排出に類する例としては例えば唾液など、上記のような排出物以外にもいくつかあり、それらは別の目的を担う部分もあるが、排出に近い働きも合わせ持つ例が少なくない。しかしそのような分泌腺は普通は排出器とは呼ばない。

排出器官と排泄器官の違い

排出と排泄はしばしば同義に使われる。しかし、排出器官と排泄器官は同義ではない。排泄器官を排出器官に当てて使う例もあったが、現在では見られず、上記の意味での器官は排出器官である。

たとえば生物学事典では「排出を排泄と同義」と明記するが、排泄器官は用語に出ておらず、排出器官の項にも言及されていない。

しかし、「排泄をする器官」という意味での排泄器官はその使用を見ることが珍しくない。たとえば肛門汗腺をこれに当てる例がある。しかし学術的な用法ではない。

全体の構成

体内の成分から水分とその他の成分をくみ出すのが目的であるから、一方の末端は循環系や体腔から液体を吸い出す構造がある。この部分には幾つかの形がある。くみ出された液体が尿である。

そこから体外に尿を運ぶための導管があり、これは往々にして輸尿管と言われる。また、場合によっては排出腔の手前にそれを一旦貯蔵する袋状の構造がある場合があり、これを膀胱と言う。


  1. ^ Little, Colin; Little, Honorary Research Associate Colin (1983-12-15) (英語). The Colonisation of Land: Origins and Adaptations of Terrestrial Animals. Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-25218-8. https://books.google.co.in/books?id=tfs8AAAAIAAJ&pg=PA118&redir_esc=y 


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