技術者
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エンジニア
音楽業界においては、レコーディング・スタジオなどでレコード/CD/DVDなどの音楽制作物における音響操作系技術者である「レコーディング・エンジニア」や「マスタリング・エンジニア」の事を単に「エンジニア」と呼称及び表記する事がある。他にも補佐役のアシスタント・エンジニア、ライヴ及びコンサート会場や各種ステージなどでの音響操作担当者である「PAエンジニア」、音響機器製作を行う「オーディオ・エンジニア」、映像制作関連で画像編集などの作業を担当する「VE(ビデオエンジニア)」などがあり、その場合もエンジニアとだけ呼称及び表記されている場合がある。
音響技術者の一形態でCD-DA(CD)の制作工程においてプリ・マスタリングとよばれる作業に従事する技術者はマスタリング・エンジニアと呼ばれる。
航空従事者のうち、航空機の運航に携わる航空機関士は、航空エンジニア、フライトエンジニア(Flight Engineer,FE)とも呼ばれる。ISSフライトエンジニアなど。
また、開発現場における立場でも異なる呼称が存在し、製品等の開発責任技術者をチーフエンジニア、企業に属していない独立したエンジニアをフリーエンジニアまたはフリーランスエンジニア[13]、その逆で企業に所属するエンジニアをインハウスエンジニアと呼ぶ。その他フィールドエンジニア、ファクトリーエンジニア、セールスエンジニア、ゲストエンジニアとそれぞれ呼称される。技術コンサルタントとして従事しているのが、コンサルティングエンジニアであるが、これをコンサルティング技術者と呼称することはあまりない。
またバイオテクノロジーの分野に従事する技術者をバイオ・エンジニア、医療分野に従事するメディカルエンジニア、モータースポーツの世界のエンジニアはレースエンジニア、またラリーなどでのトラック・エンジニアがエンジニアと呼称される。建築分野では、構造部門の構造エンジニア、金融業ではフィナンシャルエンジニアと呼ばれるエンジニアが存在する。
コンピュータの分野では、総称してコンピュータエンジニア、コンピュータ技術者、ITエンジニアなどと呼ばれる。職種によりインフラエンジニア、システムエンジニア、プログラマ、ソフトウェア開発者、組込みエンジニア(組み込みシステムエンジニア)、ネットワークエンジニア、ウェブ・エンジニア(フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア)、データベースエンジニア、カスタマーエンジニア、プロジェクトマネージャなどもある。その他ナレッジエンジニアについてはエキスパートシステムを参照。
生態系エンジニアは、特定の職業人物を表しているのではなく、生物分野のたとえで、エンジニアのような生物、の意味である。ある生物をエンジニアに見立てて呼称している。
シビルエンジニアは建設分野のエンジニアのことであるが、日本では土木分野の技術者の意味で呼称されている。エンジニア・アーキテクトは日本では建築分野の構造家にあたる。
3次元エンジニアは 、日本では3次元をもちいた技術者の呼称のひとつ。モデル・エンジニアリングの分野にも、優れたモデル・エンジニアと称された人物らがいる。
PCエンジンの熱狂的なユーザーのことをかつて「PCエンジニア」と呼んでいた。
インハウスエンジニア
従来は、事業者おいて技術者を雇い、事業を支える設備の維持管理を事業者自身が行うことが多かった。この種類の技術者をインハウスエンジニアという。その上で、法定検査等、ノウハウに乏しく対応出来ないものについてはインハウスエンジニアが外部と交渉して委託するという体制を取っていた。他にも「ラボラトリーエンジニア」という呼び方もある。
近年日本で起きた原発事故でみるとおり電力などエネルギー業界等の管理施設では、施設を所有する管理者側のエンジニアと、必要に応じ委託を受けて業務に当たるエンジニアと多重構図をなしている。 昨今では事業者内の技術者はコスト削減の大号令の中でどんどん削減され極端な場合は廃止し、すべてを外部の業者に任せるといった形態になりつつある。
建設業界では、建設サービスの高度化時代、詳細設計は施工業者に設計担当のインハウスエンジニアを抱え、設計を行う場合も多々ある。
IT社会になってからは、デジタルトランスフォーメーションの機運が高まり、社内SEが急速に増え続けている。
- 技術公務員
官庁にいる技術公務員、インハウスエンジニアは官庁技術者と呼ばれる。日本の場合こうした技術者が、本庁出先あわせ中央官庁内の他地方公共団体、公団や公社、特殊法人、官庁外郭団体である公益法人等々でおり、また組織外からの出向者も多々おり、多重構造をなしている。
日本の公共調達法は明治期の官直営方式時代からの枠組みを戦後もなんとか変化する時代の要請に合わすべく運用面で対処し、会計法規を裁量解釈、拡大解釈で進めてきた経緯がある。戦後は各種技術コンサルタントを誕生させ、官庁での技術業務のアウトソーシングを進ませ、その後も世界中でも官の技術の民間への移行も加速化して進み、官庁技術者集団のスリム化を進行させた。日本においては官内技術者集団でなければ基本的に実施しえないあるいは法規上なければいけない技術業務以外は、今日民間の技術・能力が、実績が積まれ向上していったという経緯がある。
『建設産業事典』(2008年、建設産業史研究会、鹿島出版会)の巻末に掲載されている「用語解説」Technical terminology、インハウスエンジニア(官庁技術者)の項で、旧建設省出身の松浦茂樹東洋大学国際地域学部教授が、社会基盤整備工事にともなう土木事業などは、直轄での河川、砂防、海岸、多目的ダム、国道系道路、国営都市公園、港湾、空港など国土整備と、交通施設整備を担当する国土交通省を中心に上水を担当する厚生労働省、発電工業用水を担当する経済産業省などに工学技術職の技官がおり(その他は文部科学省の文部技官として教育施設の営繕など担当や、農林水産省などの農業土木系・林業土木系・水産土木系の施設を扱うさらには防衛施設庁、警察庁や機構等と、他に各省庁研究所などの研究職での技官がいる)、国土交通省でみると、本省では河川局、道路局、港湾局、都市整備局を中心に配置され、各局長、都市整備局では下水道部長らは、土木技官であり、全国の出先機関として8つの地方整備局や北海道開発局に配属される大多数の技官から技術系の部の部長や局長も技官であること、本省において局長以上の技官ポストは旧建設省の技監と旧運輸省の技術総括審議官があること、建設省発足以来事務次官は事務と交互に就任していること、この省に入省後、基本的に河川、道路、ダム、港等、背番号がつけられ、それぞれ専門家としての道を歩んでいくことを明記している。
- 参考
- 国土交通省ホームページ 「国土交通省直轄事業の建設生産システムにおける発注者責任に関する懇談会:中間とりまとめ」2006 年9 月
- 土木学会編 「日本土木史 昭和16 年~昭和40 年」
- 国土交通省 関東地方整備局 「オンラインマガジン50年のあゆみ シリーズ2」
- 国土技術政策研究所 研究総務官兼総合技術政策研修センター長 西川和廣「公共工事の品質確保の取組の方向について」平成18年度
- 西川和廣「報文:インハウスエンジニアのモデルチェンジ」
- 財団法人国土技術研究センター「建設生産システムにおける品質確保のための方策検討 報告書」 平成19 年度
- 財団法人国土技術研究センター「平成18 年度 監督検査体制に関する米国調査」
- 「カリフォルニア州企業・職業法」
- 韓国建設管理研究室 先任研究員 朴煥杓 「公共事業における責任監理と建設事業管理(CM)の役割の確立による今後の中長期発展のあり方」 2007 年
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i “大学における実践的な技術者教育のあり方に関する協力者会議(第3回)検討課題(案)”. 文部科学省 (2009年12月7日). 2018年10月5日閲覧。
- ^ a b c d “技術者と技能者”. 金沢工業大学. 2018年10月8日閲覧。
- ^ a b “第5回 米国 エンジニアとテクニシャン”. 連載:[海外]グローバル体験. 一般財団法人 アーネスト育成財団. 2018年10月8日閲覧。
- ^ 高等学校学習指導要領解説. 家庭編、文部科学省
- ^ 職務構造に関する研究 : 職業の数値解析と職業移動からの検討 (労働政策研究報告書) / 松本真作[他] (労働政策研究・研修機構, 2012年3月)
- ^ 中小企業活性化のための新たなビジネス機会を探る : 開催報告書 : 第7回APEC中小企業産業交流フォーラム開催報告書、 経済分析部国際経済研究課 (日本貿易振興機構, 2005年3月
- ^ [1][2]
- ^ サービス産業生産性向上支援調査事業(地域の中小サービス事業者におけるIT利活用状況及びサービス事業者に特有の課題の把握に関する調査)報告書. 平成21年度 電子書籍・電子雑誌 (経済産業省委託調査報告書) / IT記者会 (経済産業省, 2010年2月
- ^ 稲村紀久雄『接客技術者の基礎知識―紳士服の仕事に興味ある人たちの必読書』(文芸社 2001 ISBN 978-4835519005)
- ^ 建設業を除く。
- ^ “技術者”. コトバンク. 2018年10月8日閲覧。
- ^ “技術者、技能労働者について”. 技能労働者. 国土交通省. 2020年12月2日閲覧。
- ^ フリーランスエンジニアとは?会社員との違いやIT職種、会社員との違い|レバテックフリーランス
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