手拭
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/05 16:31 UTC 版)
用途
江戸時代には、巾着などと同様に常に持ち歩いた必需品でもあった。おしゃれや粋や気風を演出するために、肩に掛けたり、現在のマフラーのような用法で首に巻いたりして、個性をあらわす小間物としての装飾具でもあった。下記の記述において、2次利用以外では手拭はそのままの形で利用される。
- 布巾
食器を洗ったり水気を拭いたり、煤払いや掃除などの空拭きや水拭きに使われる。
- 装身具
- 被り物
- 帯・下帯
- 晒 - 安産を祈る風習として妊婦の腹に巻いたり、渡世人の出入りや陰腹を切った武士が胴に巻いたり、女性が和服を着るときに大きな胸を隠すために巻いたりするのにつかわれる。
- 前掛け - そのまま帯にひっかけて、手拭きや着物が汚れないように前掛けとして使用した。
- おしめ - 晒のものが使われた。近年でも乳幼児の自発表現を促す効果があるとして木綿のおしめを選択する親もいる。
- 女衿の覆い - 着物の衿が汚れないように手拭で被った。柄物を使用して意匠の一部としても楽しんだ。
- 髪結い肩掛け - 髪結いや散髪や化粧のときなどにも汚れ防止として活用した。
- 健康
- 入浴 - 体についた水を拭きとったり、体をこするだけでなく、銭湯などの往き帰りの小間物入れとしても活用した。
- 按摩 - 按摩において、施術する場所に、手拭をかけて行う場合がある。
- 医療品 - 止血帯やガーゼや包帯などにも利用された。熱を下げるため濡らしたものを額に乗せた。
- その他
- 暖簾 - 看板と手拭きの両面を兼ねて、屋台などで利用された。のちに手拭ではなく暖簾に変わっていった。またこうした習慣が、日本の商いにおいて、顧客に店名入りの手拭を配る習慣につながっていったとされる。
- 手本引 - 手本引(てほんびき)とは明治時代に考案され、昭和40年代ごろまで続いた賭博の一つ、数を表す札を使用した賭け事で、親が引いた札を伏せるのではなく、折りたたんだ手拭に挟んで隠すやり方が特徴となっている。
2次利用
- 着物 - 装飾に優れたものを、上手に組み合わせ着物や浴衣として縫製した。
- ケ着(ハレ着の相対) - 普段着の継当てや裏地の補修や、布団の汚れやすい部分に当て布として使用される。
- 布草履 - 布を一部併用した草履で、古くなった手拭を利用した。「滑りにくい」、「足になじむ」として、足場の悪い環境であった、山林従事者がおもに使ったとされる。現在でも健康目的で自作や販売がされている。
- 鼻緒 - 下駄や雪駄などの鼻緒が切れた時に、簡易の代用として手拭を裂いて使用した。
- はたき - あらかじめ用意された先に切れ込みの入った竹や木製の棒に、古くなった手拭を割いてはたきにした。
- ^ 平凡社編『新版 日本史モノ事典』平凡社、2017年6月21日、166頁。ISBN 9784582124293。
- ^ 勝川春章画:四代目松本幸四郎
- ^ 歌川国芳画:自画像
- ^ 歌川国芳画:『東都富士見三十六景』の『新大橋 橋下の眺望』
- ^ コトバンク
- ^ 歌川国芳画:『夕寿豆美』
- ^ 朝櫻楼国芳画:『艶 發合』『女 みは』「みわ」という女が髢(かもじ・髪文字)を作っているところ
- ^ 葛飾北斎画:『東海道五十三次』の『吉田宿』
- ^ 東洲齋寫樂 画:『四代目[[松本幸四郎 (4代目)|]]の肴屋五郞兵衞』大判錦絵、『敵討乘合話』より、寛政6年
- ^ 葛飾北斎画:『北斎漫画』井戸から水を汲み、水桶を天秤棒で担いで運ぶ女達。
手拭と同じ種類の言葉
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