将来画像アーキテクチャー 将来画像アーキテクチャーの概要

将来画像アーキテクチャー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 16:16 UTC 版)

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レーダー・イメージング衛星
(トパーズ)の典型的な諸元
( USA-215 (NROL-41) )
FIAプログラムにおける最初の実用レーダー・イメージング衛星(トパーズ衛星)と考えられているUSA-215の打上げ
主製造業者 ロッキード・マーティン
衛星バス トパーズ (Topaz)
任務 レーダー・イメージング (合成開口レーダー)
打上げ日時 2010年9月21日
打上げ場所 ヴァンデンバーグ空軍基地 SLC-3E
COSPAR ID 2010-046A
SATCAT 37162
軌道要素
参照座標 地球周回軌道
軌道 地球低軌道(LEO)
軌道傾斜角 122.99°
遠点高度 1116 km
近点高度 1105 km
軌道周期 107.35 分
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光学画像衛星部分のキャンセルにかかわらず、トパーズ(Topaz)として知られるレーダー・イメージング衛星部分については計画は継続され、2018年1月までに5基のトパーズ・レーダー衛星が軌道に投入されている。

概要

当初の計画では、発展型KH-11光学偵察衛星とラクロスSARレーダー偵察衛星の代わりの新型衛星の開発を目的としていた。両シリーズは2010年代に使用を終え、この開発計画から生まれる新しい偵察衛星が任務を引き継ぐ予定であり、これらの新型衛星は、2013年から合わせて12機が打ち上げられる予定であった。当初は、光学偵察装置とレーダー偵察装置を1つの衛星に搭載する両用型偵察衛星の開発が計画されていたが、コストが高くなりすぎる場合は、大型反射望遠鏡を積まずにSARレーダーだけで済ませるか、赤外線画像衛星のみになるか、もしくは空軍が開発中の宇宙レーダー衛星と統合される可能性もあった [2]

開発契約は、1999年末に米ボーイング社連合との間で結ばれ、およそ250億米ドルにおよぶ予算が20年間に渡って支払われる見込みであった [3]。しかし、光学偵察衛星の開発プログラムについては、予算超過と完成遅延を理由に、2005年9月に契約は米ロッキード社に切り替えられた [4] 。 ロッキード社は、従来型のKH-11型(またはKH-12型)に改良を施した光学偵察衛星の生産を再開するよう要請され、2011年1月20日に1基目の衛星USA-224が打上げられている。 なお、レーダー衛星の開発計画についてのボーイング社との契約は、破棄されずに残されることとなった[1]

この計画全体の正確な範囲や目的は極秘にされていたが、2001年に国家偵察局の長官が語ったところでは、このプロジェクトは、従来の衛星と同じ性能ではあるが、より軽いものを製作することに主眼を置いていた [5]

何人かの技術専門家は、このプロジェクトの本当の目的は、衛星をより高い軌道に置いて、敵の攻撃を受けにくくすることであったと考えている。また別の技術専門家達が、規模でいえば1940年代のマンハッタン計画を例えに出すほど、この計画は大きな予算と多くの従事者をかかえているといわれている[5]

2012年に、NROは最新技術で作成されたが使用されることはなかった2基の宇宙望遠鏡(伝聞情報によれば、FIAのためのものと言われている)を、天文学的用途でNASAに寄贈した [6]

レーダー衛星の打上げ

最初のトパーズ衛星と考えられているUSA-215がカシオペア座を通過中

FIAプログラムにおける最初の実用レーダー・イメージング衛星(トパーズ衛星)と考えられているUSA-215または別名NROL-41[7] は、2010年9月21日に打上げられた。この衛星は、近地点高度1100km、遠地点高度1105km、軌道傾斜角123°の逆行軌道をとる。[8]。この軌道要素は、この衛星が合成開口レーダー(SAR)衛星であることを示している[7]。2012年4月3日には、このシリーズの2基目の衛星であるUSA-234または別名NROL-25が同様の軌道に打上げられている。

FIAレーダー・プログラムの初期の2006年12月14日に打上げられた衛星であるUSA-193は、FIAレーダー・プログラムの試験・開発のための技術デモンストレーション衛星であったと考えられている[9]。ただし、この衛星は予定の軌道に投入はされたが、直後に機器障害により通信が途絶し、回復しないまま、その後、軌道低下により地上に落下する危険性があったため、2008年2月20日に、米海軍イージス艦レイク・エリーから発射されたスタンダード・ミサイル3により軌道上で破壊された(Operation Burnt Frost)。

打上げ記録

USA番号
NROL番号
COSPAR ID
SATCAT №
打上げ日時
(UTC)
打上げロケット 打上げサイト 近地点高度
遠地点高度
軌道傾斜角
USA-215
NROL-41
2010-046A
37162
2010年
9月21日
04:03:30
アトラス V
501
ヴァンデンバーグ空軍基地 SLC-3E 1102 km
1105 km
123°
USA-234
NROL-25
2012-014A
38109
2012年
4月3日
23:12:57
デルタ IV M+(5,2) ヴァンデンバーグ空軍基地 SLC-6 ~1100 km
~1100 km
123°
USA-247
NROL-39
2013-072A
39462
2013年
12月6日
07:14:30
アトラス V 501 ヴァンデンバーグ空軍基地 SLC-3E 1108 km
1113 km
123°[10]
USA-267
NROL-45
2016-010A
41334
2016年
2月10日
11:40:32
デルタ IV M+(5,2) ヴァンデンバーグ空軍基地 SLC-6 1077 km
1086 km
123.0°[11]
USA-281
NROL-47
2018-005A
43145
2018年
1月12日
22:10
デルタ IV M+(5,2) ヴァンデンバーグ空軍基地 SLC-6 1048 km
1057 km
106°[12]

  1. ^ a b Philip Taubman (2007年11月11日). “In Death of Spy Satellite Program, Lofty Plans and Unrealistic Bids”. The New York Times. http://www.nytimes.com/2007/11/11/washington/11satellite.html?pagewanted=1 2010年5月3日閲覧。 
  2. ^ 軍事研究 2007年4月号 「21世紀の米空軍“次世代航空宇宙戦力”Vol.2 2020年の宇宙戦争に勝つ軍事衛星&宇宙兵器」page.144
  3. ^ Massive Spy-Satellite Program to Cost Billions Pae, Peter. LA Times, March 18, 2001. Retrieved October 10, 2006.
  4. ^ Future Imagery Architecture [FIA - 2005 Restructuring]”. Global Security. 2020年1月21日閲覧。
  5. ^ a b Sullivan, Laura. "A peek into secrets most jealously guarded", Baltimore Sun, September 8, 2001. Retrieved October 10, 2006.
  6. ^ Ferster, Warren (2012年6月8日). “Donated Space Telescopes are Remnants of Failed NRO Program”. SpaceNews. 2013年5月31日閲覧。
  7. ^ a b SeeSat-L Sep-10 : Updated elements”. Satobs.org (2010年9月24日). 2016年2月16日閲覧。
  8. ^ SeeSat-L Oct-10 : Updated elements”. Satobs.org. 2016年2月16日閲覧。
  9. ^ John Pike. “FIA - RADSAT Spacecraft Family”. Globalsecurity.org. 2016年2月16日閲覧。
  10. ^ Peat, Chris (2015年1月22日). “USA 247 - Orbit”. Heavens-Above. 2015年1月25日閲覧。
  11. ^ Peat, Chris (2016年2月12日). “USA 267 - Orbit”. Heavens-Above. 2016年2月13日閲覧。
  12. ^ Langbroek, Marco (2018年1月22日). “TOPAZ/FIA Radar 5, the NROL-47 payload”. SatTrackCam Leiden. 2018年1月27日閲覧。
  13. ^ Iannotta, Ben (2009年6月2日). “Spy- sat rescue: Obama's proposal to prevent a gap in coverage sparks debate, optimism”. Defense News. 2009年6月2日閲覧。
  14. ^ O'Rourke, Ronald (2005年5月25日). “Navy CVN-21 Aircraft Carrier Program: Background and Issues for Congress”. Naval Historical Center. 2005年5月25日閲覧。
  15. ^ Dr. Bruce Berkowitz (2011年9月). “The National Reconnaissance Office At 50 Years: A Brief History”. Center for the Study of National Reconnaissance. 2011年10月24日閲覧。


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