完了形 ラテン語

完了形

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/09 01:10 UTC 版)

ラテン語

ラテン語では動詞の活用形として各時制に対する完了相(完結相)と未完了(継続・反復)相が区別され、完了相現在形は過去の意味にも用いられる。この完了現在と未完了過去の区別はフランス語・スペイン語などのロマンス諸語にも引き継がれ、単純過去(ラテン語の完了現在に由来)と未完了過去(日本語では半過去、線過去などと呼ばれる)は厳密に区別される。ロマンス語の完了形(助動詞+過去分詞)はその後に発達したものである。

なお俗ラテン語では、所有動詞habereを動詞の不定形の後につけた表現が、完了ではなく未来を表すために発達し、これはのちに一体化してロマンス語における動詞の未来形になった。

古代ギリシア語

古代ギリシア語では過去形に完了形・アオリスト(完結相)・未完了形の3種類の区別がある。

日本語

日本語では、中古までの古語では完了と過去の区別があり、完了の助動詞としては「つ」「ぬ」「たり」「り」が用いられた(「てけり」「にき」などの過去完了形もある)。「つ」は主として能動的動詞に、「ぬ」は主として自発的動詞に使われた。これらは現代語の「てしまう」と同じように完了ではなく完結相を表すと解釈される用例も多い。「つ」の連用形由来とされるのが接続助詞「て」で、「たり」は「てあり」の縮約形である。「り」は「あり」の語尾が残って助動詞と解釈されたものであり、古くは完了よりも進行・継続の意味に多く用いられた。しかし中世以後は完了の「たり」に由来する「た」だけが用いられるようになり、完了と過去の区別はなくなった。次のような言い方は過去ではなく完了の「た」の用法である。

  • 「到着したら連絡して下さい」(実際には未来のことである)

さらに「曲がっキュウリ」「青い目をし人形」のような連体形は、過去の変化ではなく現在の状態を表現するものである。

現代日本語(共通語)では完了形に当たる形式として「ている」がある。これは過去完了「ていた」や未来完了「ているだろう」(文法的には未来でなく推量)の表現にも使える。同じ形式でも、例えば「死んでいる」「出ている」は完了というよりも「死ぬ」「出る」という瞬間的変化の結果として生じた状態そのものを表現している(結果相)。さらに「ている」は継続・進行の表現にも使われるので紛らわしいことがあるが、西日本(だいたい兵庫県以西)の多くの方言では完了形が「とる」「ちょる」等、進行形が「おる」「よる」等として区別される(実際に完了を表している形態素は「て」である)。

現代の擬古的表現「選ばれ者よ」などは、文語体の過去と完了の区別を知らないために生じたもので、「過去に選ばれ、現在もその結果が継続している」という意味では「選ばれたる者よ」というのが正しい。

朝鮮語

朝鮮語では完了の意味で使われる場合、完了形と過去形を区別しない。これは朝鮮語の過去形「-었-」が完了の意味まで含んでいるためである。しかし、進行・継続の意味で使われる場合、「-은/ㄴ 채로 있다」が動詞の語根の後ろについて完了形の形態で使われる。




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