学名 生物分類単位

学名

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/03 09:28 UTC 版)

生物分類単位

属と種以外の分類群の単位にも、同様にラテン語形式の学名がつけられている。

上位分類

ドメインなどの、属よりも大きな区分には、最初の1文字が大文字で、それ以外は小文字の名前を用いる。これらは属名や種小名の字体(一般にイタリック体)と同じ字体は用いない。これらの分類群の学名を属名+種小名の前に続けて書くことはあまりしない。

さらに細分が必要な場合には、大・上・亜・下・小の接頭辞 (Magn-, Super-, Sub-, Infra-, Parv-) をつける(例:下目、上科、亜科、等)。

また、科の下に Tribe を立てることもある。この階級に対する訳語は動物学と植物学で異なり、動物学では、植物学ではと呼ばれる。

下位分類

生物分類の基本単位は「種」だが、さらに亜種・変種・品種と、細目に分類することがある。

亜種名等は、種小名と同様の形式(一般にイタリック体ですべて小文字)で表記し、属名+種小名の後に続けて書く。

  • 属名+種小名+「ssp.」または「subsp.」+亜種名(ssp, subsp: subspecies の略)
  • 属名+種小名+「var.」+変種名(var: varietas の略)
  • 属名+種小名+「f.」+品種名(f: forma の略)

この表記を三名法とよぶ。ssp. 等の符号は属名や種小名の字体(一般にイタリック体)にしない。なお、亜種や変種の無かった種に新たにそれらが作られた場合、元になった種には、種小名の後ろに基本亜種(変種)を示す亜種名(変種名)としてもとの種小名が繰り返される。これは新亜種(変種)の記載によって自動的に生じるものである。

なお、動物の場合、上に示した ハイイロオオカミ Canis lupus lupus のように、subsp. 等の符号抜きで亜種小名を記すのが通例である。また、亜種より低位の階層である変種や型は、1961年以降、「国際動物命名規約」に規制されず、正しい学名とはならない[8]。ただし、最初に公表されたのが1960年以前であり、その学名の著者が"var."(変種) "f."(型)等の用語のどちらかをはっきりと使用している場合、その学名は亜種の階級となるが、その学名の著者が同時にその学名に亜種より低位の階級をはっきりと与えている場合、その学名は亜種より低位の階級となる[8]

栽培品種(園芸品種)形容語は、一重引用符で囲むことにより示される。二重引用符、cv. Var.の省略形は、使用してはならない。(1996年以前はcv.が、許されていた。) ラテン語形の属名(または同等の明確な普通名)または、学名(または同等の明確な普通名)と組み合わせて栽培品種名となる。[9]

  • 属名+種小名+‘栽培品種形容語’ = 栽培品種名

属と種の間の分類

属と種の間には「亜属」があるが、植物や菌類では属の下に節 (section)、節の下に系を用いることがある。属>(亜属>節>亜節>系>亜系>)種となる。

亜属等は特に表記しなくとも問題ないが、表記したい場合には

  • 属名+(亜属名)+種小名
  • 属名+(「Subgen.」+亜属名)+種小名   (Subgen.: Subgenus の略)

等のようにする。亜属名等は属名と同様の形式で表記する。() で括るためこれをカウントして、亜種、変種などの時のように「三名法」と呼ぶことはない。Subgen. 等の分類名は属名や種小名の字体(一般にイタリック体)にしない。分類名を表記しないと、亜属名なのか節名なのか分からないため表記されることがあるが、表記しなくても間違いではない。特に動物では節や系を用いることはほとんどないため、表記しないのが普通である。動物の場合、属名と種小名の間に () でくくられた属名と同様の形式の名称があれば、自動的に亜属名であると見なされる。


  1. ^ a b 文部省・日本動物学会 1988, p. 586.
  2. ^ a b 国際動物命名規約 第4版 日本語版[追補] 2005, 用語集.
  3. ^ David, Normand & Gosselin, Michel (2002): The grammatical gender of avian genera. Bull. B. O. C. 122(4): 257-282.
  4. ^ a b 国際動物命名規約 第4版 日本語版[追補] 2000. 用語集
  5. ^ 国際動物命名規約 第4版 日本語版[追補] 2000. 条21
  6. ^ a b c 国際動物命名規約 第4版 日本語版[追補] 2000. 勧告22A
  7. ^ HHDB
  8. ^ a b 国際動物命名規約 第4版 日本語版[追補] 2000. 条45.5
  9. ^ 国際栽培植物命名規約 第7版「日本語版」国際園芸学会著、大場秀章日本語版監修、アポック社2008年2月10日,p18,p23,p106






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