天気予報 天気予報システム

天気予報

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/06/20 17:48 UTC 版)

天気予報システム

現代の天気予報システムは5つの構成要素から成り立っている。

  1. 情報収集
  2. 情報の融合
  3. 数値予報
  4. 気象変化の型をたたきだす
  5. エンドユーザに対する予測の提供

情報収集

気象学は地道な観測から始まったように、天気予報においても不断の観測が予報を支えている。デジタル計器など存在せず有人観測が主流だった時代には、多数の観測点を設置して定期的に人の手により交代で観測を行っていた。自動観測が広く普及した現在、観測点数を増やすことも容易になり、無人化も進行してきている。

現在、世界的に主流な観測方法として、

  • 陸上では、温度計湿度計風向風速計気圧計雨量計積雪計・蒸発計・日射計日照計などをセット(効率を考え、温度計や雨量計など重要性の高い測器が高密度で設置されることが多い)で自動気象観測所(AWS)として設置することが多い。日本ではアメダスがこれに当たる。一般的に、主要都市を含めた上で、国土を一定の密度でカバーするように設置される。予報業務等と観測を併せて行う気象台も、主要都市などに設置されている。また、先進国では国土をカバーできるように気象レーダー(マイクロ波・ミリ波・デュアルドップラー)が整備されている。アメリカではドップラー・レーダー網のNEXRADが整備されている。
  • 海上では、気温や気圧等に加えて海水温や流速等を観測する海洋気象ブイの設置が進んでいる。気象観測船による観測も各国が行っている。
  • 上空では、高層気象観測の一環としてラジオゾンデレーウィンゾンデ)、ロケットゾンデドロップゾンデ等での観測が行われている。天気予報を行う上では地上〜対流圏上部付近までの上空の気温・気圧・湿度・風を知ることが非常に重要であり、これは衛星観測でもできないことから、無人化の流れの中でも人手と観測網は維持されている。航空機による観測も行われている。新しい観測手法として、地上に設置されたLIDARSODARによる上空風速の観測の利用が広まってきている。また、気象衛星によるリモートセンシング観測も行われ、雲画像・水蒸気分布・気温・風向風速などが収集されている。

観測の精度を一定に保つため、観測機器の仕様や運用についてはWMOが統一基準を定めており、それに基づき各国は細かい基準を定めている。日本では観測機器の気象測器検定、気象庁による「気象観測の手引き」などがこれに該当する。

観測要素の多い気象台を中心として、国際的に情報提供する観測点が定められており、全球気象通信システム(GTS)に載せられ世界中へ配信される。日本では、気象庁が構築しているネットワークであるADESSを経由してGTSへ接続されている。また、AMDAR等の情報ネットワークもある。この国際データはSYNOPSHIPMETARなどのいわゆる国際気象通報式の形式をとり、WMOやICAOにより定められた統一基準に従って定時(SYNOP3時間毎、METAR1時間毎など)・臨時に情報を送信する。

情報の融合

天気予報には、情報の迅速な伝達と収集が重要である。気象庁では、COSMETSで情報の統合整理を行っている。国際データ、ブイやラジオゾンデ、気象台の観測データはADESS経由で、気象情報のデータは気象衛星センターのサーバ経由で、アメダスのデータは地域気象観測センター経由で、COSMETSに送信される。国際的には、全球通信システム(GTS)と呼ばれる世界規模の通信網を通して各国の気象機関の間で情報をやり取りしている。また途上国向けに、全球データ処理・予測システム(GDPFS)のもとで、各地域の主要気象機関がガイダンス資料(後述)までの作成も行い、提供している。

数値予報

理論式で構成された数値予報モデルに観測値を入力する(データ同化)。観測値は観測点の偏りが原因でデータの分布はまばらであるため、推定(客観解析)を行ってデータを補正する。このデータを一次データとして、ガイダンスを作成する。

気象庁では、COSMETSの中の演算部分であるNAPSで数値予報の演算を行い、予報結果を気象庁本庁のほか、各地の気象台などへと送信する。演算には高性能のスーパーコンピュータの利用が不可欠であり、その性能が予報精度や速度を左右する。

気象変化の型をたたきだす

数値予報モデルの演算結果はあくまで格子点形式で物理量を出力するのみであるため、これを予報に利用しやすい形に変換する必要がある。例えば、気圧配置データをもとに天気図を作成したり、湿度・気温・気圧のデータから雲量を割り出し更にそれから天気分布を割り出すなどの「翻訳作業」を行う。こうして作成した気象のパターン資料を天気予報ガイダンスという。ふつう、いくつかのパターンのガイダンス資料を出力しておき、それらの中から検討を行い、最適化や補正を行って、1つの値あるいは数値幅を決めたり、予報文の検討や警報の判断を行う。

エンドユーザに対する予測の提供

導き出された情報を予報の種類に合わせてまとめ、適切な形式で発表する。予報期間が長いほど精度が下がるため、天気・気温・降水確率などの一般的な天気予報は1週間後までしか行われていない。また、雨や雷、突風や集中豪雨などの局地現象の様子を提供するレーダー画像やナウキャスト、地図上で台風の進路を示す台風情報など、天気予報の形式はさまざまである。

また、航空管制鉄道バス船舶などは、その分野に適した専門的情報を提供する必要がある。例えば、航空管制における飛行場予報、航空路の乱気流着氷火山灰の予測、船舶における波浪海流海水温の予測などが挙げられる。




  1. ^ てん‐き【天気】 の意味 goo辞書、2017年4月4日閲覧
  2. ^ 実際の規制の方法は、日本や韓国のように罰則付きの法規制を設けるものから、米国のように気象機関の政策文書において警報の一元性を宣言するだけのものまで、国によって大きく異なる。国際的には、例えば国連の世界気象機関が、1995年の第12回世界気象会議議決事項40附属書3[1]において、「関係する加盟国が認めた場合を除き、商業セクターの気象業務提供者は、その活動する国及び海域において、生命及び財産の安全に関わる予報及び警報を公表してはならない。商業セクターが公表する生命及び財産の安全に関わる予報及び警報は、国家気象・水文気象機関等の公的機関が公共的な業務に係る責務として実施するものと矛盾しないものでなければならない。」との指針を示している。
  3. ^ 予報用語 予報の名称 気象庁
  4. ^ 5-2.予報の分類タマの気象学、2011年1月27日閲覧。
  5. ^ 「弱い」・「強い」・「非常に強い」といった階級表現や風力による表現の場合、カテゴリー予報にも含められる。
  6. ^ 降水の有無の適中率の例年値 気象庁、2011年1月27日閲覧。
  7. ^ 予報精度の評価 タマの気象学、2011年1月27日閲覧。
  8. ^ 天気予報の精度検証結果 検証方法の説明 気象庁、2011年1月27日閲覧。
  9. ^ 気候値予報とは、気候値(平年値)に完全に依存した予報のこと。
  10. ^ skill AMS Glossary、2011年1月27日閲覧。
  11. ^ 英BBC、93年続いた英国気象庁との天気予報の提供契約を打ち切りへ スラド 2015年08月28日
  12. ^ 英ピカデリーサーカス電光掲示板、改装工事で消灯 第2次大戦以来 AFP 2017年01月17日
  13. ^ Y!mobileの機種で実際に確認した。
  14. ^ 石井清司 『日本の放送をつくった男 フランク馬場物語』 毎日新聞社1998年10月30日、101頁。ISBN 4-620-31247-9
  15. ^ テレホンサービスの第1号「天気予報サービス 177」開始から半世紀 NTT東日本、2004年12月24日。







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