大阪市営地下鉄 車両

大阪市営地下鉄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/19 23:17 UTC 版)

車両

関西圏の鉄道事業者は車両メーカーを1社に絞って発注することが多いが、大阪市営地下鉄は公営事業者としての立場から入札制を維持し、1990年代以前は主要6社(アルナ工機[20]川崎重工業近畿車輛東急車輛製造[21]日本車輌製造[22]日立製作所[23])すべてに発注したことがある。ただし、1990年代の車両でも66系は近畿車輛・川崎重工業に集中して発注されているほか、2000年代以降の車両は近畿車輛と川崎重工業に製造が集約されている。新車置き換えのタイミングなどから、短期間で廃車される車両も多かったが、20系登場以後は車体更新工事(10系の一部編成と20系・新20系、70系に関しては制御装置の更新も同時施工)を推進させる傾向になりつつある。

2013年9月に30系がすべて運用を終了したことに伴い、省エネルギー車両率の100%を達成している。

起動加速度は御堂筋線、中央線、千日前線が3.0 km/h/sである以外、2.5 km/h/sと日本の地下鉄では低い部類に入る。堺筋線は乗り入れ先の阪急電鉄と合わせている。

乗務員室の扉の窓は取っ手を引くことにより窓が落ち、全開できる。ストッパーを使用することで半開けが可能である。運転台はP1 - P4の4段階のノッチ、ブレーキはB2 - B7・EB(非常ブレーキ)の7段階となっている。B1は抑速ブレーキであり装備車(中央線)に限り有効にされている。堺筋線は阪急車と統一するため、運転台はP1 - P5の5段階のノッチ、ブレーキはB1 - B6・EB(非常ブレーキ)の12段階となっている。 信号無視や速度制限を1km/hでも超過すると、保安装置による常用最大ブレーキが自動的に作動し、制限速度以下に減速する。 また、谷町線用30系などをのぞく車両には、デッドマン装置が取り付けられている。

以下で特記無いものは第三軌条方式路線用(御堂筋線・谷町線・四つ橋線・中央線・千日前線)

第三軌条線の共通車両規格

車両面における大阪市の特徴としては、前述した初期に開業している第三軌条使用路線が(以下便宜上、第三軌条線と称す)、いずれもほぼ同じ規格で作られていることが挙げられる。

一般に日本の地下鉄では新路線を建設するたび、新技術の投入または他社線との相互乗り入れのため規格の見直しが行われることが多く、異なる路線では車両の融通が利かないことも多い(ただし一世代前と後の路線では規格が似通っていたり、車両検修設備などを共用する目的から、線路を繋げて車両が回送されるケースも比較的よく見られる)。

しかし大阪市では堺筋線まで、既存の郊外鉄道への直通を企図した構造の路線が建設されなかったため(相互直通運転の北大阪急行と近鉄は第三軌条線となった)、市営第三軌条線はほぼ全線同一の規格となった。車内信号を使用する千日前線や、後に他社線と直通することになった中央線、過密運転を強いられる御堂筋線では、路線別に仕様の個別化が若干必要とされるが、軌間や車両サイズなどの基本寸法は同じとしている。

6000形(後の800形)・6100形(後の900形)や10系や30000系など一部路線でしか使用歴のない形式もあれば、50系や30系や新20系のように第三軌条線の全線で使用された形式も存在する。以前の大阪市では、異なる第三軌条線でも同じ外観・車体色の車両が使用されていたが、前述のラインカラーの明確化に伴い、1975年より基本的な塗り分けパターンは同じだが、正面や側面窓下などのラインカラー部だけ色を変える新塗装が施された。これによりラインカラーによる識別性は他都市の地下鉄と同程度に向上した。

2015年までは第三軌条線は御堂筋線と四つ橋線、ないし谷町線と中央線と千日前線といったそれぞれのグループで線路が繋がっており、両グループにまたがって車両の転属をする場合はトレーラーによる陸送が必要であったが、2015年春に本町駅構内に後述の四つ橋線と中央線を結ぶ連絡線が完成したため、トレーラー輸送は解消された。1960年代以降、特に7000・8000形や30系を製造していた高度経済成長の時期には新規区間開業や輸送力増強が相次ぎ、編成替えも伴う転属が頻繁に行われてきた。その中では新型車を御堂筋線に投入し、余剰車を別路線に投入することが行われていた[25]。しかし、第三軌条線の大半が新20系で占められてからは、多少の転属は発生しているものの、ほとんどの車両が当初配属された特定の一路線で使用され続けているため、以前ほどの頻繁な転属は行われなくなり、他都市の地下鉄に近い状況となった。そのため、比較的車齢の高い10系が御堂筋線から転属することなく運用され続ける一方で、四つ橋線と千日前線は新20系で統一されているという状況も見られるようになっている。

検修施設の統廃合

列車検査や全般検査などを行う施設として御堂筋線・四つ橋線には緑木車両工場が、谷町線・中央線・千日前線には森之宮車両工場があった。そのうち、森之宮車両工場については築40年を超え老朽化しており、耐震構造などにも問題があるため建替えの必要が生じているものの、検査場や保守基地などが同敷地内に混在し建替えが困難であるため、森之宮の車両工場の機能を緑木車両工場に統合し、車両工場部門の効率化を図ることになった。そのため、四つ橋線本町 - 四ツ橋間と中央線本町 - 阿波座間を結ぶ連絡線を新設した(中央線本町駅の600m西方から北側に分岐し上昇、中央線を南に跨いで四つ橋線本町駅南方の西側に接続される)。

なお車両工場に隣接の森之宮検車場については廃止せずに存続しており、車両工場廃止後に同検車場で新20系(24系)のリニューアル改造が実施されている。

緑木車両工場への統合後初めて開催された「おおさか市営交通フェスティバル」では、第三軌条方式の車両の検査をすべて緑木で行うようになったことから、新20系の全タイプを並べるという演出がなされた。




  1. ^ 旅客案内上は、平仮名表示が多用されている
  2. ^ 江坂駅から北大阪急行電鉄南北線千里中央駅まで直通運転。
  3. ^ コスモスクエア駅 - 大阪港駅間は大阪市交通局が第二種鉄道事業者大阪港トランスポートシステム第三種鉄道事業者
  4. ^ 長田駅から近鉄けいはんな線学研奈良登美ヶ丘駅まで直通運転。
  5. ^ 天神橋筋六丁目駅から阪急京都本線高槻市駅(平日朝夕と土休日の昼間には河原町駅発着の準急列車あり。準急と普通河原町行きは阪急の車両で運転)および、阪急千里線北千里駅まで直通運転。
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  1. ^ 沿革」大阪市交通局、2017年3月29日閲覧。
  2. ^ a b c “6月に地下鉄新会社を設立 18年の民営化向けて”. 毎日新聞. (2017年5月18日). https://mainichi.jp/articles/20170519/k00/00m/040/069000c 2017年5月19日閲覧。 
  3. ^ a b 大阪市営地下鉄、民営化へ6月に準備会社 - 大阪市「都市交通局」7月に新設 マイナビニュース”. マイナビ (2017年5月18日). 2017年5月19日閲覧。
  4. ^ a b “大阪・地下鉄民営化に向け準備会社を6月に設立”. THE PAGE 大阪. (2017年5月18日). https://thepage.jp/osaka/detail/20170518-00000005-wordleafv 2017年5月19日閲覧。 
  5. ^ 「関一氏の思想 現代に 」大阪日日新聞2015年3月18日
  6. ^ 「(14)御堂筋 偉大な“大阪の父”市長・関一、“未来都市”へ大改造」MSN産経ニュース2011.10.3 10:00
  7. ^ ただしその計画の実現には第三軌条方式の四つ橋線を架空電車線方式に変更しなければならず、それによる車両の新造、工事などの問題も多い。
  8. ^ 乗車料金(地下鉄・バス) - 大阪市交通局、2014年4月5日閲覧
  9. ^ 大阪市交通局身体障害者等乗車料金割引等に関する規程”. 大阪市 (2017年1月1日). 2017年3月29日閲覧。
  10. ^ 大阪市高速鉄道及び中量軌道乗車料条例施行規程 (PDF)”. 大阪市交通局 (2016年6月1日). 2017年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月29日閲覧。「第13条(料金の設定していない区間に対する発売)」
  11. ^ 現金で乗車の際は地下鉄の券売機でバス連絡のボタンを押して合計料金を支払い、降車しても乗車券は回収されないので、その乗車券でバスに乗車しバス降車時に料金収集箱に乗車券を投入する。さらに別のバスに乗り継ぐ場合はバス乗継券を発行してもらう。
  12. ^ 大阪市高速鉄道及び中量軌道乗車料条例施行規程 (PDF)”. 大阪市交通局 (2016年6月1日). 2017年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月29日閲覧。「第14条(環状経路の取扱い)、第14条の2(定期券の乗車経路)、 第86条(他経路乗車中の途中下車)、第91条(定期券・回数券使用乗客が誤乗した場合)」
  13. ^ 住之江公園駅での四つ橋線とニュートラムの乗り換え、コスモスクエア駅での中央線とニュートラムの乗り換え、梅田・東梅田・西梅田3駅相互の乗り換えは回数に含めない。一部、3回乗り換えの迂回定期が発行可能な区間もある。
  14. ^ 江坂駅で北大阪急行線に、天神橋筋六丁目駅で阪急線に、長田駅で近鉄線に直通する定期券がこの例に該当する。
  15. ^ 定期券利用による御堂筋・四つ橋線相互利用について - 大阪市交通局
  16. ^ “大阪市営地下鉄「1駅間100円に」 200円から半減を平松市長が指示”. 産経新聞(msn産経ニュース、ニュース:政治) (産経新聞社). (2010年8月23日). オリジナル2010年8月24日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20100824174035/http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100823/lcl1008230051000-n1.htm 2017年3月29日閲覧。 
  17. ^ “橋下市長“常識外”の一手 市営地下鉄民営化の議論前進狙い値下げ要請”. 産経新聞(msn産経ニュース関西) (産経新聞社). (2013年10月26日). オリジナル2013年12月2日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20131202230550/http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/131026/waf13102617130016-n1.htm 2017年3月29日閲覧。 
  18. ^ 地下鉄・ニュートラムの2区運賃を値下げします”. 大阪市 (2016年7月29日). 2016年8月3日閲覧。
  19. ^ 鉄輪式リニアモーターカーの鉄道は従来方式の鉄道に比べて急な勾配に対応できる。詳細はリニアモーターカーを参照。
  20. ^ 後継企業のアルナ車両になってからは新車の発注はないが、66系や一部の新20系の車体更新を受注。
  21. ^ 社名は2014年より横浜金沢プロパティーズ、鉄道車両事業は2012年4月にJR東日本の完全子会社である総合車両製作所(旧社名・新東急車輛)に継承。なお、総合車両製作所に継承後は取引がない。
  22. ^ 2008年にJR東海の連結子会社になってからは取引がない。
  23. ^ 同社は現在生産ラインをアルミ合金製車両の生産に特化したものとしているため、ステンレス車が主体となった現在では取引がなくなっている。なお、80系はアルミ合金製だが日立では製造されず、近畿車輛と川崎重工業でのみ製造された。
  24. ^ “平成21年春 30000系車両デビュー 地下鉄 谷町線に新型車両を導入します” (日本語) (プレスリリース), 大阪市交通局, (2008年10月21日), オリジナル2008年10月24日時点によるアーカイブ。, http://web.archive.org/web/20081024174501/http://www.kotsu.city.osaka.jp/news/houdou/h20/081021_30000kei.html 2017年3月29日閲覧。 
  25. ^ ただし、2代目20系のように新型車の最初の配置が中央線、30000系では最初の配置が谷町線という例外もある。また、2代目20系は御堂筋線には投入されなかった。
  26. ^ “大阪市営地下鉄、累積赤字を解消 公営で全国初 職員減や業務効率化”. 産経新聞(msn産経ニュース) (産経新聞社). (2011年6月11日). オリジナル2011年6月13日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20110613050039/http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110611/lcl11061100050000-n1.htm 2017年3月29日閲覧。 
  27. ^ “大阪市営地下鉄が公営初の民営化、18年4月 市議会が可決”. 日本経済新聞. (2017年3月28日). http://www.nikkei.com/article/DGXLASHC27H9V_Y7A320C1000000/ 2017年3月28日閲覧。 
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  29. ^ a b “大阪地下鉄の終電、最大30分延長 3月23日から”. 日本経済新聞(電子版) (日本経済新聞社). (2013年2月7日). オリジナル2013年4月27日時点によるアーカイブ。. http://archive.is/2013.04.27-120645/http://www.nikkei.com/article/DGXNASHC0702O_X00C13A2AC8000/ 2013年2月8日閲覧。 
  30. ^ 大阪市営地下鉄と相互乗り入れを行っている近鉄阪急北急においても、乗り入れ対応車両には同様の再生機器が搭載されている(ただし阪急の一部の車両には再生装置が搭載されていないため、その場合は車掌が肉声で案内する)。
  31. ^ 現在は四つ橋線堺筋線などの駅ホームで、北方向行き列車到着時の英語アナウンスを担当。
  32. ^ この他、四つ橋線や堺筋線などの駅ホームで、南方向行き列車到着時の英語アナウンスも担当。
  33. ^ 御堂筋線江坂行き(千里中央方面)・中央線長田行き(学研奈良登美ヶ丘方面)・堺筋線天六行き(北千里高槻市方面)も、終着駅での案内放送にて乗り入れ先路線の案内を通常の乗換案内ではなくこの形式で行う。隣の扇町駅との駅間距離の短い天六行きでは「なお」が省略される。
  34. ^ 現在、この注意喚起は放送されていない
  35. ^ 広告代理店・大広博報堂DYグループ。以前は近鉄グループであった)子会社の大広メディアックスが制作する(車内ガイド放送とは|大広メディアックス)。
  36. ^ ただし、乗り入れ先の北大阪急行・近鉄・阪急では懐中時計と運行スタフを使用している。
  37. ^ “市営地下鉄駅のトイレをリニューアルします!〜阿波座駅で第1号がオープン!〜” (日本語) (プレスリリース), 大阪市交通局, (2013年2月12日), オリジナル2013年12月2日時点によるアーカイブ。, http://web.archive.org/web/20131202233811/http://www.kotsu.city.osaka.lg.jp/general/announce/w_new_info/w_new/list_h24_all/20130212_ekitoiret-open1.html 2017年3月29日閲覧。 
  38. ^ 駅トイレリニューアル情報 - 大阪市交通局。
  39. ^ 大阪の地下鉄でよく見る『解像度が低すぎる掲示物』の謎に迫ってきた”. ジモコロ. アイデム (2016年5月16日). 2017年3月29日閲覧。
  40. ^ 締め出しに反対する女性たちが市の幹部と団交している様子を映した映像が残っている。最終的に女性たちには市側から僅かだが解決金が支払われ決着した。
  41. ^ 大阪市交通局『大阪市交通局百年史(本編)』2005年、p.735
  42. ^ 大大阪地下鉄行進曲”. 国立国会図書館デジタルコレクション. 国立国会図書館. 2015年1月6日閲覧。
  43. ^ a b 大阪市電気局(現・大阪市交通局)の局長。
  44. ^ 大大阪地下鉄小唄”. 国立国会図書館デジタルコレクション. 国立国会図書館. 2015年1月6日閲覧。
  45. ^ 大阪都市協会 『大阪市営交通90年のあゆみ』 大阪都市協会、1993年ISBN 4900558087






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