大蔵映画 大蔵映画の概要

大蔵映画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/27 19:53 UTC 版)

大藏映画株式会社
OKURA PICTURES,Co.,Ltd.
種類 株式会社
本社所在地 日本
104-0061
東京都中央区銀座5-3-12
設立 1962年(昭和37年)1月[1]
1947年(昭和22年)6月 創業[2]
業種 情報・通信業
法人番号 9010001039078
事業内容 映画の製作・配給・興行
代表者 代表取締役社長 大蔵满彦
資本金 4億9600万円
主要子会社 オーピー映画
関係する人物 大蔵貢(創立者)
近江俊郎(貢の実弟、元副社長)
外部リンク http://www.okura-movie.co.jp/
テンプレートを表示

略歴・概要

1960年(昭和35年)12月1日、新東宝代表取締役から退陣した大蔵貢[3]、新東宝へ製作物を供給していた富士映画を母体に、1962年(昭和37年)1月に設立した[1]。代表取締役社長には大蔵貢、副社長には大蔵の実弟で歌手の近江俊郎(大蔵敏彦)が就任した。富士映画はもともと、1955年(昭和30年)12月に大蔵が36館の映画館を経営する手腕を買われて、新東宝の経営に参加する以前、1947年(昭和22年)6月からレンタルスタジオとして経営していた富士映画スタジオが前身である[4]。同年早々に、かつて『チャップリンのニューヨークの王様』等を輸入配給した洋画配給会社大和フィルムを吸収合併、同社代表の徳江清太郎を専務取締役に迎え[1]、同年、外国映画の配給を開始する[5]

同年、日本における2作目の70ミリ映画となった超大作『太平洋戦争と姫ゆり部隊』を、設立後の第1号作品として小森白を監督、南原宏治を主演に製作、同年4月7日に公開した[6]が、配給網が弱く興行的には成功しなかった[7]。以後しばらくは、大和フィルムの最終公開作品『ファイブ・ガン あらくれ5人拳銃』の監督であったロジャー・コーマン[8]の製作・監督作品等、外国映画の小品の配給と、時折自社製作の一般向映画を発表する程度に、活動を留める。

同年、日本製ピンク映画の第1号作品とされる協立映画製作、小林悟監督の『肉体の市場』を配給し大ヒットさせる[9]。さらに数本の成人向作品を製作・配給したところ、好成績を収めるものも出てきたので、自社で製作・配給する作品の主力を、成人向映画に転換する。同時に、当時の関東地区での自社直営館や、外部のピンク映画製作に関わる群小プロダクションなどを中心に、成人向映画の配給網「OPチェーン」を組織する。現在まで続く、ピンク映画の専門会社としての体制を固めていった。その後、自社製作から徐々に撤退し、代わりに外注作品を配給する形態に変えていく。それに伴い、大蔵映画撮影所を規模縮小し、レジャー施設へ転換し始める。

1966年(昭和41年)、大蔵映画撮影所を一部閉鎖し、跡地を総合アミューズメント施設「オークラランド」として再開発、現在も、大蔵映画直営施設として営業中である。同年ころまでで外国映画の配給業務から撤退する[5]。1974年には残る撮影所部分も閉鎖された。

1978年(昭和53年)9月15日、大蔵貢が78歳で死去、子息の大蔵满彦が経営を継承する。1992年(平成4年)7月5日、副社長の大蔵敏彦(近江俊郎)が満73歳で死去した。

1984年(昭和59年)末から、大阪のENKプロモーション(東梅田日活株式会社)と提携し、ゲイポルノ映画に進出。製作配給及び専門上映館の運営を開始する。

2000年(平成12年)8月28日、東映シネマコンプレックス運営等の新会社ティ・ジョイに、シネマサンシャインの佐々木興業、王子シネマの大旺映画らとともに出資して資本参加する[10]

2001年(平成13年)、製作・配給部門を系列子会社・オーピー映画に分離し、興行部門のみを行う体制になった。

2006年(平成18年)5月28日、福岡オークラ劇場Ⅰ・福岡オークラ劇場Ⅱ、2008年(平成20年)2月17日、大宮オークラ劇場・大宮オークラ小劇場をそれぞれ閉館する。2009年(平成21年)3月1日には、上野スタームービー、世界傑作劇場、日本名画劇場を新装開業のため休館、2010年(平成22年)8月1日には上野オークラ劇場、上野地下特選劇場を閉館、同4日、上野スタームービー等の跡地に上野オークラ劇場、上野オークラ劇場2、上野特選劇場として移転オープンする。大蔵映画設立以前の1952年(昭和27年)以来、58年の歴史を持つ上野オークラ劇場のクロージングイヴェントには、小川欽也監督の大蔵映画製作作品『怪談バラバラ幽霊』(1968年)、『新怪談色欲外道 お岩の怨霊四谷怪談』(1976年)を上映した[11]

2018年公開予定だった『ハレンチ君主 いんびな休日』が直前で公開中止となり、2021年には監督である荒木太郎との間で訴訟問題に発展した[12]

沿革


  1. ^ a b c 田中、p.451.
  2. ^ 『映画年鑑 1998』、p.244.
  3. ^ 田中, p.332.
  4. ^ 田中、p.206-207.
  5. ^ a b c キネマ旬報映画データベース Archived 2012年1月30日, at the Wayback Machine.、2010年7月30日閲覧。
  6. ^ 太平洋戦争と姫ゆり部隊日本映画データベース、2010年7月31日閲覧。
  7. ^ 田中、p.231-433.
  8. ^ ファイブ・ガン あらくれ5人拳銃キネマ旬報映画データベース、2010年7月31日閲覧。
  9. ^ 歴史雑学探偵団、p.88.
  10. ^ 会社案内ティ・ジョイ、2010年7月31日閲覧。
  11. ^ 7/31(土) クロージングイベント!上野オークラ劇場、2010年7月16日付、2010年7月31日閲覧。
  12. ^ 篠田博之 (2021年5月28日). “皇室タブーで封印されたピンク映画監督が法廷で映画会社に告げた「どうか、誇りを。」(篠田博之) - 個人”. Yahoo!ニュース. 2022年6月4日閲覧。
  13. ^ 新宿ミラノ座で70mm版がロードショー公開された後、総天然色・大蔵スコープ35mm版が公開された。東京地区では、1962年11月17日 - 11月24日に東急シネスコチェーンにて『空挺肉弾部隊』(Paratroop Command)との2本立てで公開されている。
  14. ^ 海女の怪真珠、日本映画データベース
  15. ^ Irregularity of Sex、Eigapedia
  16. ^ 明治天皇と日露大戦争」を始めとする新東宝での明治天皇を描いたシリーズからの抜粋と、明治天皇誕生から西郷隆盛の戦死までを描いた新撮部分で構成。東京地区においては1964年11月に「渋谷東急」「新宿東急」「上野東急」の3館のみでロードショー(1964年11月21日-11月30日) 、1968年11月には“明治百年祭記念特別公開”と称して「丸の内松竹」(現:丸の内ピカデリー)単館にてロードショーを開催(1968年11月9日-11月22日) 。因みに、本編に入る前に『明治百年祭記念特別公開』と表示される形のフィルムが、現在ソフト化されて残っている [1]。また、新撮部分に登場している“若き日の明治大帝(明治天皇)”に扮しているのは、作品中の出演者クレジットによれば「匿名・青年」である。
  17. ^ The Flesh Merchant - IMDb(英語)
  18. ^ The Touchables - IMDb(英語)
  19. ^ Girl with an Itch - IMDb(英語)
  20. ^ Patty - IMDb(英語), 2012年6月9日閲覧。
  21. ^ Arthur A. Jones - IMDb(英語), 2012年6月9日閲覧。
  22. ^ FLAME OF AFRICA, 映画芸術科学アカデミー (英語), 2012年6月9日閲覧。
  23. ^ 同劇場の所在していた北シャトービルには、東梅田日活株式会社が経営する梅田日活劇場(旧・東梅田日活。日活ロマンポルノ→エクセス上映館であったが、東梅田オークラ閉館後はオーピー映画も上映)、ゲイポルノ専門館の梅田ローズ劇場(旧・東梅田ローズ。大蔵映画のゲイポルノ作品上映館でもあった)、および東梅田シネマ(1980年代後半に東梅田日活から独立。新東宝映画を上映)が入居していたが、2011年6月までに全館閉館となった。
  24. ^ 静岡県ボウリング場協会会員名簿、静岡県ボウリング場協会、2012年4月20日付、2012年6月9日閲覧。
  25. ^ 二階堂卓也「ピンク映画史」(2014年)彩流社 69頁
  26. ^ 15禁のピンク映画祭『OP PICTURES+ フェス』に『ピンク大賞』作品など17本”. CINRA.NET (2018年7月25日). 2019年8月30日閲覧。
  27. ^ 奥深き“ピンク映画の世界”…“R15”と“R18”でタイトルがまるっきり違うのはなんで? - 2ページ目 - 映画 Movie Walker”. Movie Walker (2019年8月26日). 2019年8月30日閲覧。
  28. ^ a b キネマ旬報社『キネマ旬報』2020年11月上旬号51頁


「大蔵映画」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「大蔵映画」の関連用語

大蔵映画のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



大蔵映画のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの大蔵映画 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS