国立国会図書館
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国立国会図書館の利用
この節では、一般利用者として国立国会図書館の東京本館を来館利用する場合を中心に述べる。関西館および国際子ども図書館についての詳細は、それぞれの記事を参照されたい。
入退館
東京本館、関西館は満18歳以上(かつては満20歳以上だったが入館者減少に伴い、2004年より変更)ならば誰でも利用できる[60]。満18歳未満の場合、調査研究目的など一定の条件下で、事前の手続きをもって利用することができる[60]。これに対し国際子ども図書館は、児童に対するさまざまな個別的サービスを行っており、児童書研究資料室を除き誰でも利用可能となっている。
2004年より館内各所で大々的にシステムの変更がなされ、入館にあたっては、カード発行機を利用して、資料の検索、請求、受取、複写などに用いる当日限りの非接触ICカード型の「館内利用者カード」の発行をしていた。館内利用者カードの発行にあたっては氏名や住所、電話番号などの入力作業が必要であったが、あらかじめ利用者登録を行って交付された登録利用者カード(館内利用者カードとは別)を持参すれば、パスワードの入力のみで館内利用者カードの発行を受けることができた。
2012年(平成24年)1月6日より利用システムが全面変更され、利用者登録していない人は「臨時利用カード」が貸与され、閲覧できる資料は専門室にある開架図書のみとなり、閉架書庫にある資料の閲覧請求は登録利用者カードの貸与者のみができるように改められた[61]。これにより、国会図書館を利用するには利用者登録をすることが基本となる。また、同時に登録利用者カードの仕様も変更されている。なお、2012年(平成24年)2月14日までは、システム移行時の暫定措置として当日利用者には臨時カードが渡され、登録利用者と同等のサービスが受けられるようになっていた[62]。
発行された登録利用者カードを用いて鉄道駅の自動改札機に類似のゲートを通過し、入館する[63]。なお、東京本館と関西館では、鞄などの不透明な袋類の持込を禁止しているため、入館前に荷物は入口脇にある保証金式コインロッカー(料金は使用終了時に返ってくる)に預けなければならない[64]。館内に筆記用具などを持ち込む場合は、手で持っていくか、あるいはコインロッカーのそばに常備されている透明なビニール袋に入れる必要がある。
利用が終わったあとは、閉架書庫から受け取った資料をすべてカウンターに返却し、複写料金の精算を終えたあと、登録利用者カードをゲートにかざすと退館できる[65]。すべての資料を返却しない限り、退館はできない[65]。
2021年(令和3年)度の統計によると、東京本館の来館者は24万6,213人(1日平均886人)[66]。
開館時間
休館日
資料の配置と閲覧
東京本館は、膨大な資料を管理するため原則としてほとんどの資料を利用者が直接触れられない書庫に配架する閉架式をとっている[70]。このため利用者は、まず国立国会図書館オンラインで必要とする資料を検索し、システムを通じて資料の申し込みを行う[70]。書庫からは国立国会図書館オンラインの申し込みデータをもとに資料が出納されるが、膨大な数の資料を広大な書庫から出納するため、利用者は本の受け取りに数十分程度の時間を要する[70]。また、1人が1回に請求できる冊数も制限されている[70]。
東京本館は本館と新館の2棟から成り立っており、基本的に本館2階カウンターが図書、新館2階カウンターが雑誌の出納を担当している[70]。また、主題別の特殊な資料や、国会図書館として特色的な資料については、それぞれに専門室が設けられている[71]。専門室では利用の多い参考資料は開架されているため、そこでは百科事典、辞典、統計、年鑑、新聞などのごく一部は書架から直接手にとって利用することもできる[72]。
2023年現在、東京本館にある専門室は以下の計8室である[71]。
- 本館2階
- 本館3階
- 本館4階
- 新館1階
- 新館3階
- 新館4階
かつてはアジア・北アフリカ諸国の諸言語資料を専門とするアジア資料室も東京本館に置かれていたが、関西館の開館に伴いその蔵書とともに関西館に移転し、アジア情報室と改称した。
複写サービス
複写(コピー)は、利用者自身が複写機でコピーを取ることはできず、複写カウンターに申し込んでコピーをとってもらう。利用者自身による複写が認められていないのは、国立国会図書館は納本図書館として資料保全を図る必要があり本を傷めるような複写(コピー機に本を押しつけすぎるなど)をされる危険を回避しなければならないこと、また図書館一般における利用者の複写は、原則として著作権法第31条の定める著作権者の許諾を得ない複写の範囲などに限られている[注釈 13]ためである。このような理由から、同館では複写する資料の状態や複写内容を図書館側がチェックすることになっている。このため、たとえ国立国会図書館にしか所蔵されていない貴重な資料であろうとも、著作権の存続している資料の全頁を複写することはできない。
複写サービスの受付担当はアルバイトであることもあり、小泉悠は退職後に受付のアルバイトで生計を立てていた[73]。
複写には来館複写と遠隔複写がある[74]。来館複写には、資料を実際に閲覧したうえで複写箇所を特定し、資料を複写カウンターにて申し込むサービスである。また複写方法には、即日複写と後日郵送複写がある。即日複写は、複写製品を当日中に受け取るサービスである。専用の端末を用いて申込書を作成(デジタル化資料は専用の端末上で申込)し、カウンターで申し込む。即日複写には1回の申込上限ページ数があり、たとえば紙資料の場合、1回につき10冊かつ100ページまでである。混雑状況・複写枚数により異なるが、作業には30分ほどかかる場合がある。作業終了後に料金の支払いと製品の受け取りとなる。支払方法には現金のほか、Suicaやnanacoなどの電子マネーが利用可能である。なお、申し込めるのは閉館1時間前までである。ちなみに、関西館にはセルフコピー機があり、参考資料の一部を利用者自身で複写することができる。この場合も、図書館による複写箇所の確認は受けなければならない[75]。後日郵送複写は申込までは来館複写と同様だが、受取は郵便で受け取り、支払いはそれに同封される払込書で支払う。この場合、遠隔複写(後述)同様に発送事務手数料と実費送料が必要である。
一方遠隔複写は、利用者登録をしている人で、インターネット上で国立国会図書館オンラインから資料や雑誌記事を特定し、Web上で申し込むことにより、郵送でのコピーサービスを受けることができる。ただし、発送事務手数料と実費送料が必要である[76][77]。
- ^ 議員の調査研究に資するため、別に定める法律により、国会に国立国会図書館を置く。
- ^ この法律により国立国会図書館を設立し、この法律を国立国会図書館法と称する。
- ^ 会計検査院図書館、人事院図書館、内閣法制局図書館、内閣府図書館(本府庁舎と中央合同庁舎第4号館に分かれている)、日本学術会議図書館、宮内庁図書館、公正取引委員会図書館、警察庁図書館、金融庁図書館、消費者庁図書館、総務省図書館、総務省統計図書館、法務図書館、外務省図書館、財務省図書館、文部科学省図書館、厚生労働省図書館、農林水産省図書館(農林水産政策研究所分館・農林水産技術会議事務局つくば分館の2分館あり)、林野庁図書館、経済産業省図書館、特許庁図書館、国土交通省図書館(国土技術政策総合研究所分館・国土地理院分館・北海道開発局分館の3分館あり)、気象庁図書館、海上保安庁図書館(海洋情報部分館の1分館あり)、環境省図書館、防衛省図書館。
- ^ 当初は200人程度だったが、後に400 - 800人 - 1000人程度に段階的に拡大している。
- ^ 当初は16時以降のみだったが、2021年6月1日以降は9時30分 - 10時30分も同様の処置を行っている。
- ^ 国立国会図書館デジタルコレクション
- ^ 近代デジタルライブラリー(2016年5月3日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- ^ “アーカイブされたコピー”. 2010年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年2月11日閲覧。 近代デジタルライブラリー - 国立国会図書館
- ^ インターネット資料収集保存事業“トップ”. 国立国会図書館. 2023年7月23日閲覧。
- ^ 2002年に「インターネット資源選択的蓄積実験事業」を試験的に立ち上げると[57]、2006年には「インターネット情報選択的蓄積事業」に改称し事業化した[58]。
- ^ 当館の言う「公的機関」とは、国、自治体、国公立大学などと位置づける。国とは国の機関、それに準ずる独立行政法人等や国立大学法人)、自治体とは地方公共団体(都道府県、政令指定都市、市町村)とそれに準ずる公立大学法人等の法人と分類される。
- ^ 近年は、12月27日頃~1月6日頃が休館日になっている。
- ^ 国立国会図書館資料利用規則第31条で複写範囲を規定している。
- ^ 食堂の再開後は、売店に移動して販売を継続している。
国立国会図書館と同じ種類の言葉
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