国民年金 受給権の保護

国民年金

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/15 00:09 UTC 版)

受給権の保護

給付を受ける権利は、譲り渡し担保に供し、又は差し押さえをすることができない(第24条)。

「譲渡」については、法律上いかなる例外も認められていない。「担保」については、独立行政法人福祉医療機構が行う小口貸付の担保に供する場合[41]は例外である。「差し押さえ」については、老齢基礎年金・付加年金・脱退一時金の受給権を国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押さえる場合は例外である。

年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる(第19条1項)。この場合において、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかったときは、未支給年金の請求者は、自己の名で、その年金を請求することができる(第19条3項)。なお脱退一時金は未支給であっても死亡後に親族が請求することはできない。

死亡した者が遺族基礎年金の受給権者であったときは、その者の死亡の当時当該遺族基礎年金の支給の要件となり、又はその額の加算の対象となっていた被保険者又は被保険者であった者の子は、1項に規定する子とみなす(第19条2項)。これにより、養子縁組をしていない配偶者の連れ子等にも生計同一であれば請求権がある。

優先順位は上述の順である。未支給の年金を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす(つまり、未支給の年金は代表者1人に対して支給するものであり、親族間の調整はその代表者の責任で行わなければならない。第19条5項)。

公課の禁止と確定申告時

租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。ただし老齢基礎年金・付加年金についてはこの限りではない(第25条)。

国民年金のうち、老齢基礎年金・付加年金はその額が一定以上である場合、雑所得として所得税が課せられる。原則として、所得税は年金から源泉徴収される。なお、障害年金・遺族年金は非課税である。

源泉徴収の対象となるのは、その年の最初の支払日の前日の現況において、65歳以上は年金額が158万円、65歳未満は108万円以上の者である。毎年10月末ごろに機構から送付される「扶養親族等申告書」を提出することにより、配偶者控除、扶養控除等、各種の所得控除を受けることが出来る。源泉徴収額は、年金額から各種保険料・控除額を除いた額の5.105%(うち0.105%は復興増税分)である。扶養親族等申告書の提出がない場合は、源泉徴収額は、年金額から各種保険料を除いた額から、さらにその額の25%を引いた額の10.21%(うち0.21%は復興増税分)となる。

税額に過不足がある場合は、確定申告により精算を行う(雑所得であるため、年末調整は行われない)。なお、2011年(平成23年)度分より、公的年金等の収入額が400万円以下であり、かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合は、確定申告の必要はない。本人負担の年金の保険料・掛金については、全額が社会保険料控除の対象になる(証明書の添付が必要)。いっぽう、年金受給者の社会保険料控除、生命保険料控除、損害保険控除、小規模企業共済等掛金控除などは源泉徴収時の控除対象とはなっていないため、確定申告により過払いとなっている税額の還付を受けることになる。

損害賠償請求権

政府は、障害もしくは死亡又はこれらの直接の原因となった事故が第三者の行為によって生じた場合において、給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償請求権を取得する(求償)。この場合において、受給権者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、給付を行う責めを免れる(控除)(第22条)。なお死亡一時金は控除の対象とならない。控除は36か月を限度として行う。








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