商品先物取引
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/10 18:11 UTC 版)
主な対象商品
取扱商品は取引所により異なる。以下には現在先物取引がされていないものも含まれていることに注意を要する。
農産物
- 大豆(一般大豆、Non-GMO大豆)
- 大豆油
- 大豆ミール
- 小豆
- トウモロコシ
- コーヒー(アラビカ種、ロブスタ種)
- 鶏卵
- 粗糖
- 精糖
- 生糸
- 冷凍エビ
- コメ
- 籾
- 玄米
- 牛乳
- 材木
- オーツ麦
- ココア
- 菜種
- 小麦
- 小麦粉
- 豚赤身肉
- 生牛
- 飼育牛
- 綿花
- オレンジジュース
- バター
- ハッカ油
- パーム油
- カルダモン
- トウゴマ
金属
エネルギー
商品指数
- 天然ゴム指数
- コーヒー指数
- コーン75指数
- 日経・東工取商品指数(TOCOM NEXT)
- CRB指数
税金
課税方法
- 「先物取引に係る雑所得等」のケース
2001年3月31日までは、商品先物取引によって得られた利益は個人投資家の場合、「雑所得」とみなされ、総合課税であった。しかし、国内の商品先物業界が委託者のアンケートもとに、大蔵省(当時)に積極的に働きかけたことにより、2001年4月1日以降から、日本国内の商品先物取引においては、先物取引で得た利益は「先物取引に係る雑所得等」に該当し、申告分離課税となった。その時の税率は、所得税20%・住民税6%の合わせて26%であった。
これは、商品取引所法第2条第8項および同条第9項、同条第10項第1号ホに定められている日本国内の商品市場の取引に限定された。
また、2001年3月31日以前の取引については、2001年4月1日以降に差金決済を行った場合でも、その建玉の利益は従来通り、総合課税が適用された。
2001年4月1日以降の取引の建玉から、その差金決済で得た利益に申告分離課税が適用された。
また、その申告分離課税は、2001年4月1日から2003年3月31日までの期間限定であった。(「租税特別措置法」による)
その後、租税特別措置法の改正により、「商品先物取引に関する調書」が税務署長に提出されることが商品取引員に義務付けられた。
2003年1月1日以降、先物取引に関する「繰越控除制度」が新設され、商品先物取引によって損失が出た場合、差引きの純損失分について、その年度の雑所得内で控除できない場合、3年間繰越控除を認められた。
2003年4月、商品先物取引の新税制はさらに拡充し、個人投資家の商品先物取引は、恒久的に申告分離課税となった。また、その税率は所得税15%、住民税5%の合計20%へと引き下げられた。(平成15年度分「2003年1月1日〜12月31日」から遡って合計20%が適用)
2012年1月1日以降の、現物先物取引、現金決裁型取引、指数先物取引、オプション取引、指数現物オプション取引の利益については、2013年1月1日から2037年12月31日までの25年間 、所得税額に対し2.1%の「復興特別所得税」が課せられることになった。したがって、その期間の税金は、所得税15%・復興特別所得税0.315%・道府県民税2%・市町村民税3%の合わせて20.315%の比例税率方式の申告分離課税である。
2038年以降、個人投資家の商品先物取引の税金は、所得税15%・道府県民税2%・市町村民税3%の合わせて20%の申告分離課税になる。
詳細は「商品先物取引法第2条第14項第1号から第5号までに掲げる取引」を参照。
- 「雑所得」のケース
海外先物取引所取引に係る差金等決済から生じた利益は「雑所得」に該当し、総合課税となる。
2011年12月31日以前に行う、商品先物取引法第2条第14項第1号から第5号までに掲げる取引のうち一定のもの(商品市場及び外国商品市場によらないで行われる、いわゆる現物先物取引、現金決裁型取引、指数先物取引、オプション取引、指数現物オプション取引)
2011年1月1日から、先物取引のうち商品スワップ取引等(商品先物取引法第2条第3項第5号から第7号までに掲げる取引)、店頭商品デリバティブ取引、外国商品市場取引が先物取引に関する支払調書制度等の対象となる取引に、追加されたものが施行された。(この改正は、商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律の施行の日以後に行われる差金等決済について適用される(平成22年所法等改正法附則9))。
- 商品先物取引に係る充用有価証券を商品取引員が換価処分した場合の課税関係
商品取引員の名義で行われる充用有価証券の換価処分は、顧客の金融商品取引業者等への売委託による譲渡と解することはできないため、納税者である居住者等が「金融商品取引業者等への売委託」により上場株式等を譲渡することが要件とされている上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例(平成23年改正後の平成20年改正法附則432)及び上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法37の12の2)の規定の適用を受けることはできない[17]。
問題点
2001年分について、東京、大阪、名古屋の3国税局管内で、約9割が適正な税務申告をしていないことが国税当局の調査でわかった。2001年の税法改正で、支払調書の提出を商品取引員に義務づけられたことが、発覚につながった。国税局は、法改正以前は取引内容の把握が出来ていなかった。 [18]
脚注
注釈
- ^ 指定市場開設者が有する違約担保積立金、特別担保積立金並びに指定市場開設者が付保する損害賠償保険。
出典
- ^ 最高裁平成20年(受)第802号同21年7月16日第一小法廷判決民集第63巻6号1280頁
- ^ 最高裁平成17年(受)第2292号同19年7月19日第一小法廷判決民集第61巻5号2019頁
- ^ “商品先物取引施行規則の改定(不招請勧誘の禁止の例外)に対する会長声明”. 第二東京弁護士会. 2023年1月16日閲覧。
- ^ “ご存じですか?商品先物取引の勧誘ルールが変わります!-勧誘を受けても、取引の仕組みやリスクの大きさを理解できなければ契約しないで!-(発表情報)_国民生活センター”. www.kokusen.go.jp. 2023年1月16日閲覧。
- ^ “ご存じですか?商品先物取引の勧誘ルールが変わります!-勧誘を受けても、取引の仕組みやリスクの大きさを理解できなければ契約しないで!-(発表情報)_国民生活センター”. www.kokusen.go.jp. 2023年1月16日閲覧。
- ^ “商品などの先物取引を勧誘されたら | 消費者庁”. www.caa.go.jp. 2023年1月16日閲覧。
- ^ “商品先物取引の不招請勧誘禁止規制撤廃に反対する会長声明 - 奈良弁護士会” (2014年2月14日). 2023年1月16日閲覧。
- ^ [1]
- ^ 日本経済新聞 2009年7月4日
- ^ 2010年にグローバルな工業品先物市場を実現する10のアクション (PDF) - 経済産業省商務流通グループ商務課 平成22年2月[要ページ番号]
- ^ 日本経済新聞 2007年11月27日
- ^ 日本経済新聞 2009年5月27日
- ^ 最高裁昭和38年(あ)第1417 号同41年7月13日大法廷判決刑集第20巻6号583頁
- ^ 関門商品取引所二十五年史(会員組織関門商品取引所昭和56年8月1日発行)
- ^ [2]
- ^ “日本取引所グループへの問い合わせ・回答:大阪取引所への商品市場の移管の法的枠組みについて”. 2020年6月19日閲覧。
- ^ 商品先物取引に係る充用有価証券を商品取引員が換価処分した場合の課税関係
- ^ asahi.com H16.1.28記事
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