動眼神経
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/06 02:04 UTC 版)
異常所見
動眼神経麻痺は内頚動脈と後交通動脈の分岐部(IC-PC)にできた動脈瘤に合併することが多い。また糖尿病の合併症(微小血管障害 microangiopathy)である末梢神経障害のひとつとして動眼神経麻痺が起きることもよく見られる。 その所見は(1) 眼瞼下垂、斜視、複視(物が二つに見える)、(2) 散瞳、対光反射・調節反射の消失などである。(1) は外眼筋のみの麻痺で起こり(外眼筋麻痺)、これに対して(2)を内眼筋麻痺という。動脈瘤に伴う場合は、初期には散瞳や対光反射の消失など自律神経障害のみが起き、眼瞼下垂などの外眼筋麻痺は必ず遅れて現れる。一方糖尿病に伴う場合は概して外眼筋麻痺による複視や眼瞼下垂が起こりやすく、瞳孔症状を欠くことがある(pupillary sparing)。これらはすべて末梢性の動眼神経麻痺である。外眼筋麻痺はギラン・バレー症候群やトロサ・ハント症候群などで起こることがあり、神経性全外眼筋麻痺と呼ぶ。また動眼神経麻痺以外にも、重症筋無力症などの神経筋接合部の障害、眼筋ミオパチーなど眼筋そのものの異常で起こる場合がある。
中枢性の動眼神経麻痺は、古典的な死の3徴のひとつに対光反射の消失(他は心停止と呼吸停止)があげられるように、脳幹の死すなわち脳死の一連の現象の一つとして起こるというイメージがある。しかし対光反射の消失はたとえばアーガイル・ロバートソン瞳孔(近見反射は正常に保たれ、神経梅毒で見られる)やアディー症候群(原因不明)でも起こる。他にはウェーバー症候群、クロード症候群、ベネディクト症候群、ノートナーゲル症候群、パリノー症候群などの脳幹障害で動眼神経麻痺が起こる。
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- ^ a b 岩田 (1994) p.55
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