労働契約法 労働契約法の概要

労働契約法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/20 05:19 UTC 版)

労働契約法
日本国政府国章(準)
日本の法令
法令番号 平成19年12月5日法律第128号
効力 現行法
種類 労働法
主な内容 労働契約に関する基本的事項
関連法令 労働基準法民法
条文リンク 総務省法令データ提供システム
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従来からの判例法理を成文法化することにより、労働に係る民事紛争の解決について予測可能性を高めている。労働基準法が、最低労働基準を定め、罰則をもってこれの履行を担保しているのに対し、本法は個別労働関係紛争を解決するための私法領域の法律である。民法の特別法としての位置づけとしての性格を持つため、履行確保のための労働基準監督官による監督・指導は行われず、刑事罰の定めもない。また行政指導の対象ともならない。

目的

この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする(1条)。

定義

本法において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいい(2条1項)、「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう(2条2項)。「労働者」の範囲は労働基準法とほぼ同じであるが、労働契約法では家事使用人を適用除外としていない点で労働基準法とは異なる。「使用者」の指すところは労働基準法では「事業主」に相当するものであり(例えば会社であれば会社そのものをいい、会社の代表者を指すわけではない)、労働基準法上の「使用者」よりも範囲が狭い。

== 労働契約の原則 ==3条には、労働契約の5原則が掲げられている。

労使対等の原則
労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする(1項)。労働基準法2条1項と同趣旨である。
均衡考慮の原則
労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする(2項)。これには、就業の実態が異なる、いわゆる正社員と多様な正社員との間の均衡も含まれる[1]
仕事と生活の調和への配慮の原則
労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする(3項)。これには、いわゆる正社員と多様な正社員との間の転換にもこの原則は及ぶ[1]
信義誠実の原則
労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない(4項)。民法1条2項、労働基準法2条2項と同趣旨である。
権利濫用の禁止の原則
労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない(5項)。民法1条3項と同趣旨である。なお、14条~16条に権利濫用を禁止する規定があるが、権利濫用禁止原則はこの規定以外の場面においても適用される。

安全配慮義務

「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」(5条)。判例上、使用者は契約上の義務として安全配慮義務を負うとされていた(最判昭和50年2月25日民集29巻2号143頁)が、民法には、その根拠となる明文の規定が存在しなかった。そこで、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として、使用者が安全配慮義務を負うことを明確にしたものである。

  • 長時間労働については、企業は労働者の長時間労働を抑制する措置をとることが要請されており、その際、現実に労働者が長時間労働を行っていることを認識し、あるいは容易に認識可能であったにもかかわらず、長時間労働による災害から労働者を守るための適切な措置をとらないことによって災害が発生すれば、安全配慮義務に違反したと評価されることは当然のことである(大庄ほか事件、最判平成25年9月24日)。
  • 精神的健康(いわゆるメンタルヘルス)に関する情報においては、労働者本人からの積極的な申告が期待しがたいことを前提としたうえで、必要に応じてその業務を軽減するなど労働者の心身の健康への配慮に努める必要がある(東芝うつ事件、最判平成26年3月24日)。



  1. ^ a b c 「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会報告書、平成26年7月
  2. ^ 船員法100条は、労働契約法12条とほぼ同趣旨の内容である。また船員雇入契約の具体的な内容は船員法40条・41条に規定がある。


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