再生可能エネルギー 利用形態

再生可能エネルギー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/26 20:39 UTC 版)

利用形態

チャールズ・ダーウィンゆかりのダウンハウス (en) に残る温室(イギリス、ロンドン郊外。手前の樽は雨水を貯める天水桶である)
太陽熱温水器マダガスカル沖にあるフランス領レユニオン
太陽帆を展開した状態のナノセイルD
砂漠に設置された大規模太陽光発電所アメリカ合衆国ネバダ州ネリス空軍基地にあるネリス太陽光発電所[en])
商用稼働するタワー式太陽熱発電所 PS10 solar power tower(スペイン)
地中熱冷暖房設備
風力発電機 (es)(スペイン
黒部ダム(日本)
などの木材は代表的なバイオマス資源である。

再生可能エネルギーの利用形態は多彩である。政策的に含まれるヒートポンプによる自然熱の利用については性能等の要件を満たすもののみ含む(欧州におけるヒートポンプの要件[16]等)。

光・電磁波

採光(光 → 光)
太陽光を直接などから入れる方法の他、反射板や光ダクト等の採光装置で室内に取り込み、照明として利用する。
太陽光発電(光 → 電気)
太陽電池を利用し、太陽光を直接的に電力に変換する。日光の当たる場所ならばどこでも発電できる一方、天候に影響を受け、夜間は発電できない。携行できるものも多く、僻地や人工衛星などでも使われる。散乱光でも利用できる[31]ほか、温度特性上は気温が低い地域の方が有利である[32]。価格低減が課題であったが、中国等で製造されるより低価格の太陽電池が増加する一方、米国でのグリッドパリティ達成が近いとする見解もある[33]
温室(光 → 熱)
太陽熱を取り込み逃がさないことで保温を行う。ガラスビニール製のものを地上に設置する場合が多いが、地面に穴を掘って採光部以外を地下に設置することで断熱効果や地中熱による保温効果を得たり、蓄熱壁 (trombe wall) で囲うことにより保温性を大幅に高めた太陽温室(日光温室)[34][要出典]がある。パッシブソーラーと共通する方法である。
太陽熱温水器(光 → 熱)
黒いパネルで集熱し水を温める。変換効率が6割程度[要出典]と高い。比較的安価である。
太陽炉(光 → 熱)
反射板やレンズによる集光で高熱を得る。小型のものはソーラーオーブン(ソーラークッカー)と呼ばれ、数百度程度の熱を得て調理に用いる。周囲が非常に眩しくなり視力障害を防ぐためサングラスが必要。天候に左右され、快晴でないと十分な熱量が得にくい[35][要出典]
太陽熱発電(光 → 熱)
反射板等による集光により蒸気を発生させ、タービンを回して発電する汽力発電である。溶融塩等を用いた蓄熱により24時間発電可能。直射日光が多く、平均気温が高く、大面積の土地が確保できる条件に向く。条件が良ければ太陽光発電よりも安価。
ソーラーアップドラフトタワー(光 → 熱)
膜の下で暖めた空気を煙突に導いて上昇気流を起こし、煙突内部の風力発電機を回す。煙突が高いほど上空との気圧差が高まり大きな風力を得られる。太陽熱と風力のハイブリッド型発電。
太陽帆(光 → 運動)
宇宙船の推進力

温泉(熱→熱)
地熱により暖められた温水を直接間接的に利用。入浴や治療のほか調理暖房にも利用できる。
地熱(熱→熱)
地熱を直接給湯暖房調理等に利用。
地熱発電(熱→電力)
地熱で蒸気を発生させ発電。
水熱(熱→熱)
大気と水との温度差を利用し食品の冷却や解凍に利用。
雪氷熱利用(熱→熱)
冬場地下施設、コンテナや、排雪場に蓄えた雪氷を夏場のマンションや宿泊施設、データセンターの冷房に利用。冬場に農作物の目的とした雪室は断熱効果による保温効果も持つ。氷の保存を目的にした氷室は目的は異なるものの近い形態である。内部に氷のある天然の風穴では周囲の気温まで下げる場合がある[要出典]
地中熱(熱→熱、熱+電力+気化現象→熱)
熱伝導や地中熱ヒートポンプを用いて浅い地下と外気との温度差を利用し給湯・暖房等に用いる[36]
空気熱(熱+電力+気化現象→熱、熱+電力+化学エネルギー→熱)
空気熱ヒートポンプを用いて空気熱を移動させ給湯や冷暖房に用いる。欧州連合では性能等の要件を満たしたものを統計に含める[16]。日本では経済産業省が再生可能エネルギーに分類しているものの統計に含まれていない「空気熱、地中熱、水を熱源とする熱の利用[37]」に関する統計手法の確立に努めている。
放射冷却(熱→熱)
地表と宇宙空間との温度差による夜間快晴時の放射冷却を利用して低温環境を作り出す。電力を用いない非電化製品[38]が実用化されている。
風窓(風力+気化現象→熱)
各部屋から屋上に伸びた煙突の上に風受け(バッド・ギア)を設置し海風を屋内に取り込み冷房効果を得る。乾燥地域の海沿いで用いられる[要出典]
海洋温度差発電(熱→電力、熱+電力→電力)
海の表層と深層の温度差を利用して発電し、作動流体ポンプが必要な方式と不要な方式がある[39]。コストと性能に課題があり[40]、研究段階である。

バイオマス

木材ヤシガラなど植物を燃やし熱を得る。
木材ヤシガラなどを不完全燃焼により炭化させた炭素の塊である。木炭が多く、比較的軽く燃えやすい。
バイオコークス
植物性バイオマスを高密度に固形化したもの[41]。炭化させないため、燃料化の際に減量が殆ど起きない[41]。石炭代替燃料等に利用される[42]
燃料
動物の糞を太陽熱で乾燥させ燃料として利用。牛糞が多く、よく燃える。燃料以外の用途として壁材にも利用される。
バイオガス
糞尿汚泥等を発酵させ発生したメタンを燃料やしたり化学製品の原料として利用[43]
バイオエタノール
穀物果実植物繊維等に含まれるブドウ糖炭水化物を発酵または化学反応させたエタノールとして利用。
バイオディーゼル
軽油の代替燃料。菜種油パーム油アブラギリ(ヤトロファ等)・ミドリムシ等の油脂を精製した軽油に近い性質の燃料を利用[44][要出典]
バイオ重油
重油の代替燃料。オーランチオキトリウムボトリオコッカス等から採れる重油に近い油脂を利用。
バイオマス燃料
バガスなどバイオマス燃料のみで走行可能な蒸気機関車[要出典]が存在した[45]
木炭
不完全燃焼させて水蒸気と反応させて一酸化炭素水素を主成分とする可燃性ガスにより内燃機関を作動させる「木炭自動車」。

運動

水流

小規模水力発電、マイクロ水力発電重力ポテンシャル→ 運動 → 電力)
小規模な流水を利用。貯水設備の設置による環境破壊が小さい。高低差の大きい地形に多い沢などのほか上下水道や用水路など設置可能場所が多い。
大規模水力発電貯水式水力ダム式水力重力ポテンシャル → 運動 → 電力)
ダムなどに貯水した水でタービンを回し発電する。再生可能エネルギー発電の中で最大で同エネルギー全体の90%以上、発電全体でも18%程度を占める(「発電」項目参照)。ダム建設による環境への影響が大きい。
海流発電(動力 → 電力)
海流を羽に受け原動機を回して発電。沿岸や浅い海では漁業との共存が課題である。
波力発電(動力 → 電力)
海面の上下動により装置内部に気流を起こしタービンを回し発電するものと、効率を上げるため内部に抵抗の大きい液体を満たし水流を発生させタービンで発電するもののほか上下動をジャイロで回転に変換するものがある。灯浮標や海洋気象ブイなど海上無人機器の独立電源に広く利用。英国では大型の発電設備が開発されつつある。
潮力発電重力ポテンシャル → 動力 → 電力)
潮汐による海水の定期的な移動である潮流を利用して水車を回し発電する。河口にダムを設置するものと海水の潮汐流を利用するものがある。

気流

風車(動力→動力)
農業揚水の動力(風車)。
(動力→動力)
船の推進力。
風力発電(動力 → 電力)
風を羽に受け原動機で発電。年間を通じて安定的に吹く風のある地域で有利。風況さえ良ければ利用でき、比較的安価。バードストライクや低周波といった問題があり、建設には生活環境や生態系に配慮が必要である[46]。自然保護区への設置が制限される場合もある。水力以外の再生可能エネルギーによる発電では全体の約75%、再生可能エネルギー全体では約6%程度を占めている。

化学ポテンシャル

浸透圧発電(化学エネルギー+浸透膜→重力ポテンシャル→水流→動力→電力)
実証試験段階である[47]。海水と真水の塩分濃度差を利用して浸透圧による水流を利用してタービンを回し発電する。

再生可能エネルギーに含まれるかどうか不明なもの

下記の代替エネルギーは、原料である水素の製造などエネルギーの創出努力を伴うため、全体ではカーボンオフセットにあたるのかという議論が継続的に行われている。

水素(化石燃料+熱+電力→水素)
石油精製製鉄等の副産物として発生するほか、天然ガスを水蒸気改質して大量生産する。
燃料電池(化石燃料+マイクロヒーター+触媒→水・熱・電力)
触媒を用いて水素と酸素を反応させ水と熱と電力を作り出す。家庭用燃料電池の作動には外部からの都市ガス・電力・水の供給が必要である[48]
ゴミ発電(化石燃料→熱→電力)
気化現象(風力+気化現象→熱)
水などが蒸発時に付近のものを冷却する現象。この場合の熱は何かをするためエネルギー源というよりも廃棄物であり、熱を移動させること自体が目的である。水を入れた素焼きの壷の表面から染み出た水の気化熱で中の水や周囲の空気を冷却する方法が古くから用いられる。[要出典]
バイオマス発電所以外の一般的なゴミ焼却炉で発電する場合には化石燃料由来の再生可能でないゴミが含まれる。統計上も一部だけが計上されたり、別記される等の例が見られる[14]
  • 人力発電 :腕の動きによりバネを自動で巻き発電する腕時計のほか、手回し発電により充電池に充電して作動させる懐中電灯・ラジオ・ノートパソコン(■右列に画像あり)が存在するほか、エアロバイクで発電してスポーツジムの電力の25%を担っている例[49]がある。
  • 振動発電圧電素子を用いて振動を電力に変換する。リモコン[50]発電床[51]等が試作されている。振動源が人力の場合人力発電である。
  • 熱電発電 :研究段階である。熱電素子を用いて物質の表と裏の温度差による電子の移動を電力として取り出す。原理の発見は古いものの高温に耐える材料がなく実用化は原子炉の熱を有効利用する目的で宇宙開発に限定されていた。近年適した材料が開発されマグマ発電が研究されるほか、自動車等の廃熱を利用する方法が研究されている[52]。温度差が生じると起電力が発生する(ゼーベック効果)ため、継続して発電するには温度差を維持しなければならない。
  • 水渦振動発電 (vortex power) :構想段階である。川や海の緩やかな流れの場所にバネのついた横方向の円柱を設置し、水の抵抗でできた渦の力によって起きる円柱の上下動を利用して発電する。ミシガン大学がVIVACEと呼ばれる時速3.2km以下で作動する装置を開発[53]している。



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注釈

  1. ^ 日本語の「再生可能」という語は、英語の「renewable」を翻訳してつくられた語である。日本語の「再生」には「リサイクル」の意味もあるため、「renewable」を「再生」と翻訳したことについて疑問を呈する者もいる[3][4][5]。しかし、原語の語に「リサイクル可能」の意味は無く[6]、その訳である「再生可能」も「リサイクル可能」の意味ではない。「森が再生する」のように、(自然環境等が)「更新できる、復活できる」等の意味で用いられる[6]
  2. ^ 再生可能エネルギーの割合を増やし、資源が偏在する化石燃料への依存を減らす事は安全保障の観点からも望ましい。
  3. ^ 機器が稼働できる状態の割合。実際に稼動する状態の割合を示す設備稼働率とは異なる。

出典

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  17. ^ 株式会社日本政策金融公庫法施行令12条4号。
  18. ^ エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)2条3項。
  19. ^ 「前二号に掲げるものを除く。」として、「地熱」と「太陽熱」以外の自然熱である。
  20. ^ 「法第2条第2項に規定する化石燃料を除く。」として、「化石燃料(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される燃料(その製造に伴い副次的に得られるものであって燃焼の用に供されるものを含む。)」を除いている。
  21. ^ なお、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法2条4項各号のように、「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品を除く。)をいう。)」「前各号に掲げるもののほか、原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品以外のエネルギー源のうち、電気のエネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」として、政策的な理由から、限定的に列挙定義する例もある。
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  29. ^ ここでいう「事実上」とは、地球が、生物(特に現生人類型の生物)が生存できる環境を保っている期間のことを指す。地球上から生物が生存できる環境が失われてしまうということは、エネルギーを利用する主体が消滅することと同義であり、そもそもエネルギー利用を云々すること自体が無意味になってしまうからである。こうした期間を正確に算定することは不可能であるが、10億年から数十億年程度であると考えられている。この期間は、太陽が現行のような形とエネルギーの放出を保っていられる期間と関連する
  30. ^ [1]
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  34. ^ 太陽温室内部の様子[リンク切れ]
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  149. ^ Now or Never - IEA Energy Technology Perspectives 2008 shows pathways to sustained economic growth based on clean and affordable energy technology, IEA, 2008年6月
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  152. ^ NEDO海外レポート NO.1000, 2007.5.23 (PDF)
  153. ^ 日独気候政策シンポジウム2005 の資料(PDF)Germany's Ecotax Reform 1999 - 2003: Implementation, Impact, Future Development(英語) (PDF) などを参照
  154. ^ 炭素税は対策として有効か?(国立環境研究所によるコラム)
  155. ^ 環境税について(環境省)






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