僕だけがいない街 登場人物

僕だけがいない街

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/07 14:20 UTC 版)

登場人物

主要人物

藤沼 悟(ふじぬま さとる)
- 満島真之介(成人)、土屋太鳳(小学生)
主人公。北海道出身。1977年3月2日生まれ[注 2]
2006年5月時点では29歳[注 2]漫画家。画力やストーリー構成力はあるものの、自分の心に踏み込めないという欠点のためにデビュー後はなかなか成功せず、ピザ屋「Oasi Pizza」のアルバイトで生計を立てていた。人間関係は希薄。漫画は主にゲームのコミカライズを手がけていた。心に思ったことを無意識のうちに声に出す癖がある。
「再上映(リバイバル)」というタイムリープ能力の持ち主で、過去を変えることができるが、自分の意志とは無関係に発動するためにその能力を疎ましく思っていた。しかし母親の死をきっかけに、2006年と1988年を往復する「再上映」が発動。そのチャンスを活かし、過去と現在の悲劇を回避するために奔走する。
1988年に通っていた小学校は市立美琴小学校。子供のころから人付き合いは苦手で、「ユウキさん」の助言を受けるまで友達もいなかった(この性格は父親との離別に原因があると佐知子は推測している)。「戦え!ワンダーガイ」というヒーロー漫画のファンであり、自分もワンダーガイのようなヒーローを描きたいと考えたことが漫画家を志した理由である。
二度目の「再上映」において、連続誘拐殺人事件の被害者となるはずだった3人とユウキさんを救うことに成功するも、真犯人によって湖底に沈められ、15年間の眠り(13年間の植物状態と2年間の昏睡状態)に陥る。
2003年、奇跡的に目を覚ますものの、一度目の「再上映」以降の記憶を全て失っていた(29歳の悟がタイムリープする以前の本来の小学生の状態に戻った)。しかし、現在の記憶に抱いた違和感や加代との再会によって徐々に記憶が戻り、愛梨との邂逅を経て(アニメでは未来の手に触れたことで)29歳の悟の記憶を完全に取り戻す。記憶が戻った後は、その意志力をもって医学を超えた驚異的な速度で身体能力を取り戻し、賢也らと協力して真犯人を追い詰めることに成功した。事件解決後は以前の歴史同様に漫画家になり、2012年(アニメ版では2010年)には作品がアニメ化されるほどの人気作家となる。
一人称は「俺」だが、植物状態から回復後は一度記憶を失った影響か「僕」になっており、口調もやや穏やかになっていた(アニメでは時折「俺」に戻る)。
実写映画版
原作と違って真犯人には川に落とされるが、その瞬間に「再上映」が終わり、物語冒頭のトラック暴走事故直後に戻る。そこは加代救出に成功した三度目のタイムラインにおける2006年であり、傍に居たのは愛梨ではなく大人になった加代であった。それに伴い、原作・アニメのように植物状態や記憶喪失になることはなく、2006年まで無事に過ごしていたことになっている(悟自身の認識としては沈められた直後に2006年で目を覚ましたのであって、その間の記憶は無い)。その後は真犯人を止めるために行動するも、最期は真犯人にナイフで首を切られて致命傷を負い、命を落とす。これによりタイトルの「僕だけがいない街」の意味合いが原作とは異なったものになっている。
雛月 加代(ひなづき かよ)
声 - 悠木碧
小学校時代の悟のクラスメイト。1977年3月2日生まれ(悟と同じ日)。リバーシトランプが強い。母子家庭で、母親とその愛人から虐待を受けている。その家庭環境ゆえに卑屈な性分となってしまっており滅多に言葉を発さず、クラスでは貧乏ゆえに偏見を持たれている。口癖は「バカなの?」。
オリジナルのタイムラインでは連続誘拐殺人事件の被害者となり、1988年3月1日に死亡。
二度目のタイムラインでは、積極的に自分と関わろうとする悟に徐々に心を開き、悟たちのグループと交流を深める。3月1日を超え11歳の誕生日を迎えたが、3月2日夜から3日未明の間に行方不明となる。虐待死と思われたが、実際には物置小屋から誘拐され殺害されてから遺体を戻されていた。
三度目のタイムラインでは、悟が犯人よりも先に彼女を「誘拐」したことで殺人事件から救出された。佐知子・八代の協力により児童相談所に保護された後は、祖母に引き取られる。原作では、その後、八代と市教育委員会の計らいで祖母の家から再び美琴小に通うことになり、悟たちと再会する。『Re』では悟が植物状態に陥った直後から中学時代の加代が描かれており、毎日のように悟の病室に通う献身的な姿が憔悴した佐知子に希望を与えていた。中学入学後も部活に入らず病院に通い続けたが、知らぬ間に悟が千葉の総合病院に転院したこと(佐知子の配慮による)を機に自身も前へ進むことを決める。成人後は広美と結婚し一児(未来)を授かり、その子供を連れて悟の病室を訪れた。
実写映画版
原作同様に一児を授かるが、息子ではなく娘になっている。
片桐 愛梨(かたぎり あいり) / アイリ
声 - 赤﨑千夏
悟のバイトの後輩である女子高生。2006年5月時点で17歳。一人称は「あたし」だが、親しい人物の前では「愛梨」になる。快活で人見知りしないオープンな性格。良くも悪くも素直に物を言うため、当初は悟に「距離感が掴めない」と困惑されていたが、何事にも踏み込んでいく姿勢が悟の心境に変化を与えていく。自分の「正義」に忠実で一本気だが、許せない相手には即殴りかかるような一面もあり、美穂からは「我慢が足りない」とも言われる。
元々悟とはさほど親しくはなかったが、子供を助けて負傷した悟の見舞いに行ったり、廃ビルで転落しかけたところを悟に助けられたことなど(後者は原作のみ)から、悟のことを「尊敬できるお友達」と認識するようになった。加代ほどではないが「バカなの?」と口走ることがある。ある夢のために自立を試みており、大学には進学しないと語る。地元が田舎のせいで高校に通うには下宿する必要があったため、母の兄夫婦の厚意で佐々岡家に居候している。
幼少期に父親が万引きした疑いをかけられ、母親が信じきれずに離婚した経験から、人を信じることを信条としている。真犯人の奸計により母親殺害の容疑者となった悟を信じ、逃亡を陰で支えた。だが、それによって愛梨自身も事件に巻き込まれ、結果的に最後は彼女の行動が悟が逮捕される原因になってしまう。しかし、その信頼は悟の大きな力となり、連行される悟に泣きながら謝り続ける中、去り際の彼から「君が信じてくれたから俺はまだ頑張れる」「君を信じて良かった」と告げられた。その直後、発生した「再上映」で悟が過去改変に成功したため、悟との関係性が消滅する。
原作では、三度目のタイムラインの2004年に、悟と邂逅を果たす。そこで以前の2006年では聞けなかった「写真家になる夢」を聞かされたことが、悟の記憶を呼び覚ますきっかけとなり、その際の一年の昏睡から目覚めた悟は、直接愛梨に会いに行く。しかし、愛梨の姿を見て全てを思い出した悟が敢えて声を掛けず立ち去ったため、愛梨自身は彼に気付くことはなかった。アニメでは悟の記憶が戻る過程が異なるため、このエピソードは無い。
それから時が流れた2012年(アニメでは2010年)1月、愛梨と悟が再び邂逅するシーンで物語は幕を閉じる。その場所は、一度目の「再上映」が起こった2006年で二人が離れ離れになった橋の下であった。
『Re』ではその前日から悟と再会するまでの愛梨が描かれる。写真家見習いとして館山事務所に勤めていたが、所長の館山に写真を認められなかったことから勢いのまま辞職して無職になっていた。その翌日、同じく佐々岡家で暮らす従姉の美穂の助言でゼロからの再出発を決意し、「次に会った人と笑顔で話すことから全てを始めよう」と考えて街を歩くうちに橋の下に佇む悟を発見。何かを感じ取ったように彼の元へと駆け出し、本編のラストシーンへと繋がる。
実写映画版
原作と違って高校生であるという言及や描写はなく、(三度目の)2006年の時点で自身のカメラを所持している。また、悟は川に落とされても植物状態に陥らないが、その後の時系列では漫画家として成功しているためにピザ屋のバイトはしていないことになっており、三度目のタイムラインにおける愛梨は原作同様に悟との面識がなくなっている。三度目の2006年にて橋の下で悟と邂逅を果たす。映画ラストシーンでは悟が生前に描いた漫画を読んでいる。
藤沼 佐知子(ふじぬま さちこ)
声 - 高山みなみ
悟の母。2006年5月時点で52歳。夫とは悟が赤子のころに別れ、女手一つで悟を育てた。元テレビ石狩の報道部アナウンサーで高い洞察力と推理力があり、心を読んでいるかのような発言をするため、悟は頭があがらない。愛梨が姉と見間違うほど外見が若いままであり、1988年と2006年で容姿にほとんど変化がなく(原作最終回で2012年の姿も登場するが、やはり変化はなかった)、悟曰く「妖怪」と揶揄されている。悟にはうっかり口を滑らせる癖があり、その都度「冗談に決まってるべさ」と誤魔化している(悟には「冗談に決まってるべさ」=真実である、と見抜かれている)。また、学生時代には部屋に入り込んだ下着泥棒を退治したほどの猛者であった。
オリジナルのタイムラインにおいて、1988年に起きた連続誘拐殺人事件では、報道が子供たちの目に触れてトラウマとならないように奔走した。2006年、北海道の実家で暮らしていたが、事故に遭った息子の様子見と称して悟のアパートに滞在する。滞在中に、解決したとされていた事件の真犯人の正体に気付き、真相を解き明かすために行動を始めた矢先、先手を打った真犯人に殺害される。
「再上映」後の1988年では、悟の変化に違和感を抱きながらも、陰ながら息子を支え続けた。事件に巻き込まれ植物状態となった悟を献身的に介護し、15年掛けて遂に目覚めさせる。その後もリハビリに励む悟を支え、最後の戦いにも間接的に協力した。
『Re』では悟が加代を救うために奔走していたころの佐知子の心情が描かれた。また、虐待を受けていた友人を救ったことがあるという過去も明かされた(偶然にもこの時の手口を悟がユウキさんのアリバイ作りに利用することになる)。
白鳥 潤(しらとり じゅん) / ユウキさん
声 - 水島大宙
1988年時点で悟の友人であった近所に住む青年。当時23歳。軽度の吃音症持ちだが、ペーパークラフトが得意。朝4時から父親・清一郎(せいいちろう / 声 - 手塚秀彰)が営む弁当屋「白鳥食品」を手伝い、仕事明けの昼過ぎには街をブラブラしていたため、再上映前の悟からは無職だと思われていた。悟にとっては、自分を変えるきっかけを与えてくれた存在であり、尊敬する相手である。1988年の事件の犯人として捕らえられ、死刑を宣告される。
「勇気を出して」が口癖で、悟の記憶の中の名前は「ユウキさん」だった。また、子供のころはいじめられっ子で、靴を隠された際に当時同じ小学校の上級生だった八代に助けられたことがある。
悟と知り合った時のように、一人でいる子供に声を掛ける性質があり、事件の被害者である加代や彩とも親交があった。それゆえ、何も知らない人間からは怪しまれることもあり、真犯人の偽装工作に加え、彼を疑っていた賢也の目撃証言が決定打となって逮捕されていた。
三度目のタイムラインでは、あらかじめ悟がアリバイ作りに動いていたために、事件に巻き込まれることはなかった。後に父が会社を畳んだことで外国へ引っ越し、外国人と思しき女性との間に一子を授かった後、故郷に戻って新しい白鳥食品を立ち上げている。原作では目覚めた悟に手紙を送り、再び勇気を与えた。アニメ版ではエピローグで悟が彼の元を訪れている。
実写映画版
悟からの呼称が「潤さん」になっている。再上映後は特に悟がアリバイ作りに動いた様子はなく、三度目のタイムラインにおいても容疑が晴れたどうかの言及はない。
小林 賢也(こばやし けんや) / ケンヤ
声 - 大地葉(10歳)、柄本佑(26歳)
悟のクラスメイトでアジト仲間。サッカー少年で、泉水小学校の友達とも親しい。父親が弁護士ということもあり、頭脳明晰で観察眼が鋭く、テレビ石狩による事件の報道規制や、大人の意識をもっている悟の変化を見抜いた。一方、アプローチは下手と自認している。『Re』にて5歳年下の美幸(みゆき)という妹がいることが判明した。
かつては優等生ゆえに「自分だけが特別だ」という驕りから他人を上から目線で見る癖があったが、カズに強引にアジト仲間に加えられて以降は考えを改めるようになる。加代の虐待には以前から気付いていたが、自分の出る幕ではないと特に行動を起こすことはなかった。しかし(2006年からタイムリープしてきた)悟の加代を救おうと奮闘する姿にある種の憧れを抱き、それまでの自分を恥じると同時に悟の親友として彼に協力を惜しまなくなる。
悟が昏睡状態に陥った後は犯人を追ってすぐさま行動を開始しようとしたが、父の助言を受けてそのために弁護士になるべく学業に専念することを決意。両親の支援もあって慶應義塾大学に進学(真犯人と目する八代を追うことと、学業の合間に悟のいる病院に尋ねることも兼ねていた)したが、2001年に北海道C市女児殺害事件(八代が加代を狙う以前に起こした事件)が時効を迎え、西園(八代)の屋敷の前で悔し涙を流していたところを澤田と出会う。以後は真犯人を追い詰めるために澤田と行動を共にし、2003年に弁護士になった。悟覚醒後は再び彼に全面的に協力し、共に真犯人である八代を追い詰めることに成功する。
小説版では主人公を務める。『Re』では悟に協力し始める前後と、悟が植物状態に陥った後の賢也の軌跡が描かれる。そのため、彼のエピソードのみ2話分描かれている。
八代 学(やしろ がく)
声 - 宮本充
小学校時代の悟のクラスの担任教師。1988年時点では29歳前後。明るく親身なために人気がある。禁煙の代償行動で、一人でいるときは飴を手放さない。加代の保護にも積極的に動き、再上映後の悟に父親に似た感情を抱かれていた。
しかし、実は作中で起きる連続児童誘拐殺人事件の真犯人であり、悟や「ユウキさん」を陥れるなど、周到で狡猾な人物。誘拐対象の警戒心を容易く解きほぐすほど人心掌握術に長けており、悟や加代の味方を演じ続けることで信頼を得て、悟に自ら殺害の意思を暴露するまで隠し通した(悟も冷静に考えれば八代を容疑者と疑える情報を持っていたが、八代を信頼し無意識にその可能性を排除していた)。
少年時代、悪行の限りを尽くした兄に関する経緯やその兄を殺したこと(原作のみ)、仲間の屍の上に立ってでも生き延びたハムスターに(自身の「生」に刺激を齎す)スパイスと名付けて飼育したこと、そして人間の頭上に「蜘蛛の糸」が見えるようになったことなど、さまざまな要因が重なった結果、「他者の死とその死に抗う姿」に生の喜びを見出すようになり、それを得るために数々の事件を起こした。愛車はトヨタ・スプリンターカリブ
西園 学(にしぞの まなぶ)
声 - 大泉一平
市議会議員。高橋親子とも親しく、Oasi Pizzaの事務室を度々訪れていたため、愛梨からは「店の奥にあるバイトのシフト表を見て、悟たちの行動を把握できる唯一の部外者」として、事件の犯人ではないかと目されていたが、18年前の事件の容疑者リストには名前は載っていない(アニメ版では愛梨の話を聞いた悟がその矛盾に混乱するシーンが追加されている)。
実は八代と同一人物である。悟が雛月らを救ったタイムラインにおいても、ベテラン議員の娘(その恋人を殺害している)と婿養子の形で結婚して西園姓になった。同時に名前の読みも「がく」から「まなぶ」に改め、後に死去(殺害)した妻の父親を引き継いで市議となった。
自身の奸計に何度も抗い、死の淵からすらも戻って来た悟を新たな「スパイス」として認識し、植物状態となった以降の彼の様子をペットのように観察していた。悟が目覚めると同時に再び動き出し、原作では市議会経済企画委員長の立場を利用して「リハビリ患者との交流会」と称した対決の舞台を用意。様々な策を講じて悟を陥れようと目論むも、その全てが悟に見抜かれて阻止され、最後は久美を人質に取って悟を誘い出す。吊り橋を炎上させることで悟共々自ら命を断とうとしたが、既に歩けるようになっていた悟の演技に騙され、共に川に転落。救助された後に逮捕された。
アニメでは身分を明かして直接悟に接触を図った(それに伴い、ゴシップ誌のカメラマンを撃退する役目を愛梨に代わって務めている)。屋上で直接対決するも15年の間、眠る悟を見守り続けることで己の生き甲斐を見出していた心境を悟に指摘され、動揺するなど人間的な弱さが描かれた。そして悟を落下させた後、投身自殺を図るが全ては悟の策略で、彼自身は地面に敷いたマットの上で生存しており、結果として自身の悪事を暴かれて逮捕された。
実写映画版
三度目のタイムラインの2006年にて、子供を誘拐しようとしたところ(一度目のタイムラインで再上映が発動した時)を悟に呼び止められ、ナイフで自殺を図るが、悟に止められてもみ合いになった際に逆上して切り付けて悟に致命傷を負わせる。その後、賢也が連れてきた警官に現行犯逮捕された。過去については特に語られず、「子供が穢れる前に救ってやる」「理不尽な孤独や恐怖から解放してやる」「その代価として自分だけの死を得る」という極めて独善的な動機から事件を起こしたことになっている。
杉田 広美(すぎた ひろみ) / ヒロミ
声 - 鬼頭明里(10歳)、田丸篤志(26歳)
1988年のクラスメイトで、女の子のような名前と外見を持つ少年。アジト仲間。『ファイナルファンタジー』が好き。将棋が強い。悟は「俺と同じで人付き合いが苦手だった」と回想しているが、作中ではそう言った一面はあまり描かれていない。
オリジナルのタイムラインでは1988年に事件の3人目の被害者になって死亡した。連続誘拐殺人事件唯一の男児被害者だが、それは広美が男児だと知っている犯人が「広美は女児だと思われて殺された」と見せかけることで自分を容疑者リストから外すための殺害であった。加代や彩と違って元々は一人でいる時間が長かったわけではないが、悟の何気ない一言がきっかけで徐々にアジト仲間から離れて孤立し、やがて犯人の手に掛かってしまう。それゆえ、悟が「自分なら助けられたはず」と後悔し続ける対象であり、最も忘れたかった人間である。
二度目の再上映において悟の仲間として行動したことで、結果的に殺人事件から救出される。その後、加代と結婚し一児(未来)をもうける。成人後は(植物状態になった悟を助けたいという動機で)医師になる。原作では成人後に事件に関わることはなかったが、アニメでは最後の八代との対決まで悟に協力した。
実写映画版
事件の3人目の被害者は「浩子」という女児になっており、広美自身は登場しない。アジト仲間は悟、賢也、カズ、オサムの4人だけになっている(そもそもアジトについても語られない)。

小学校の生徒

カズ
声 - 菊池幸利
1988年のクラスメイト。アジト仲間であり、「アジト」を作った張本人。シューティングゲーム好き。仲間思いの性格で行動力に溢れており、友達のいなかった賢也をアジトに誘ったり、悟が植物人間になった後は落ち込んでいる仲間たちを元気付けるためにお好み焼きパーティーを開いた。三度目のタイムラインにて、アジトを子供っぽいとバカにした中西彩に「アジトは男のロマンだ」と力説した結果、その子供っぽさを突き抜けた男っぽさに惹かれた彼女と恋仲になった。植物状態となった悟の医療費のための募金活動にも参加。成人後は大工になる。
修(おさむ) / オサム
声 - 七瀬彩夏
1988年のクラスメイト。アジト仲間。『ドラゴンクエスト』が好き。一時期、悟たちの行動に加えてもらえないことから疎外感を抱いていたが、後に理由を聞いて納得した。三度目のタイムラインでは植物状態となった悟の医療費のための募金活動に参加していた。成人後は板前になった様子がエピローグで描かれている。
柳原 美里(やなぎはら みさと)
声 - 木野日菜
1988年のクラスメイト。気が強く悟や加代をからかう。加代とは過去の事情から互いに嫌い合っており、彼女に給食費盗難の疑惑を掛けようとしたが悟と賢也によって失敗。それ以降はクラスでは浮いた存在になっていた。誘拐殺人事件の本来の被害者3人が全員助かったため、代わりのターゲットにされるのではないかと悟に疑われていたが、逆に彼女の存在を罠として悟が真犯人に嵌められることとなる。
三度目のタイムラインでは、植物状態となった悟の医療費のための募金活動に協力していたことが、賢也の手紙から明らかにされた(アニメ版では募金活動の言い出しっぺであったとされ、『Re』でもそのように描かれている)。原作では大人になった姿は描かれないが、アニメ版ではエピローグで登場する。
浜田 コウイチ(はまだ コウイチ)
声 - 吉田麻実
1988年のクラスメイト。アイスホッケー部のレギュラーで、全国優勝の実力者。短距離走で悟に勝利するが、悟が遠慮から手を抜いたことに気付き彼を罵倒する。
中西 彩(なかにし あや)
声 - 金子彩花
悟らが通う小学校の隣にある泉水小学校の生徒。エレクトーン教室に通っている。趣味は読書で母が薦めたシェイクスピアの『リア王』を読んでいる。オリジナルのタイムラインでは1988年に起きた連続誘拐殺人事件の第二の犠牲者。明るく人懐っこい性格で友人も多いが、塾にも通っているせいで友達と遊べず一人でいることが多い。そのために事件の標的にされてしまう。
三度目のタイムラインにおいて、加代に続いて彼女も事件から救出しようとした悟たちに接触されるも、そもそも違う学校の生徒で互いに相手のことをよく知らないせいもあってうまくいかず、アジトで遊ぶ彼らを子供っぽいとバカにして立ち去ろうとした。しかしその際に知り合ったカズに恋心を抱くようになり、アジト仲間に加わったことで殺人事件から免れる。中学時代はアジト仲間たちと同じ学校に通っており、植物状態となった悟の医療費のための募金活動の一員を務めた。アニメ版ではエピローグで悟たちの同窓会に参加している。
実写映画版
三度目のタイムラインにおいても救出されることはなく、加代救出後に事件の犠牲者となったことがニュースで語られたのみ。

その他の人物

高橋(たかはし)
声 - 竹内栄治
悟と愛梨が勤めているピザ屋の店長。悟からの印象は「ちょっとウザい兄貴肌」。悟の働きぶりを買っており、漫画が上手く行かないようなら、と社員登用を勧めている。愛梨には好意を抱いており、特にアニメ・実写映画版では原作よりもそれを窺わせる描写がある。
事故に遭った悟を気遣う様子を見せるが、悟が連続誘拐殺人の容疑者になってからは信用できず、味方を装って彼を警察に引き渡そうとしていた。しかし信頼を裏切られたことに激怒した愛梨に携帯電話を壊され、顔面を殴られた(実写版では携帯を壊されただけ)。それによって思い直したのか警察には通報せず、放火事件の際には悟と共に愛梨を救出した。
原作ではそれ以降は出番は無いが、アニメ版ではエピローグでピザの配達をしている様子が描かれている。
澤田 真(さわだ まこと)
声 - 大川透
佐知子の元同僚でテレビ石狩に務めていた記者。2006年時点では退職してフリージャーナリストとなって連続誘拐殺人事件の真犯人を追っており、佐知子とは退職後も意見を交換し合うほか、弁護士である賢也の父とも交流がある。
オリジナルのタイムラインでは、2006年に真犯人に気づいた佐知子に相談を持ち掛けられるがその直後に佐知子は殺害され、母の残した手掛かりを元に尋ねてきた悟に情報を提供する。三度目のタイムラインでは悟が眠り続けて以後、事件の時効に打ちひしがれる賢也をオフィスに誘い、彼を「小林少年」と呼んで共に事件の真相を追求する。最後の戦いでも悟と賢也に協力した。
雛月 明美(ひなづき あけみ)
声 - 岡村明美
加代の母親。旧姓は高島。昭和32年3月12日生まれ。夫・加寿男の暴力にたえかね離婚し現在は愛人(実写版では「須藤」)と暮らしている。元々は優しい母親だったが、次第に心が荒さみ加代を虐待するようになった。最後は児童相談所に虐待が暴かれ、それでも自身の非を認めなかったが、八代によって呼び出された母が自分を庇って謝る姿を見て泣き崩れた。その後、母に預ける形で加代と引き離される。
八代の兄
原作のみ登場。故人。八代が初めて「蜘蛛の糸」を見た人間であり、初めて殺害した人間でもある。
暴力的な性格で、幼いころから度々事件を起こしていた。しかし両親が裕福な家庭の育ちであるためにそれに対処する術を持たなかったことが、その身勝手さを助長させていた。また、対する弟の学が優秀だったことから両親の関心を失っていき、その心はさらに荒んでいった。やがて、好みの女児を学に連れ込ませて性的暴行を働くという悪事を繰り返すようになり、中学時代のある時、連れ込んだ女児を誤って殺害してしまう。その場は遺体を隠すことで逃れるが、密かに学の持ち物であるヒマワリの種(スパイスのおやつ)を利用して学に罪を着せようと画策していた。しかしそれを見抜いた学に後日「罪の意識にたえかねての自殺」に見せかけて殺害される。八代の人格形成に大きな影響を与えており、ある意味では全ての元凶と言える存在である。
北村(きたむら)
声 - 浜田賢二
千葉にある総合病院に所属する悟の主治医。北海道から千葉に悟が転院した後、前任者から引き継いで長い間、悟の治療を続けてきている。悟が目を覚ました後は悟が感じた医学的な疑問に真摯さを以って答えた。感情を表に出さない気難しい人物のようだが、原作では佐知子のカレーの味に(わざわざ人前では平静を装いながら)誰もいないところで一人感激するといった奇妙な一面が描かれている。アニメ版では悟が回復した時は佐知子から感謝されている描写が追加されている。
北丸 久美(きたまる くみ)
声 - 宇山玲加
白血病で入院している少女で、リハビリ中の悟に出会い親しくなった。骨髄移植の手術に恐れており悟に相談にのってもらっている。それゆえに悟に執着していた八代に目をつけられ、事件に巻き込まれることとなる。アニメ版においては、悟と同様に西園(八代)を慕っていた。
原作では手術は無事に終了して健康体になるも、「さざんかの集い」に参加した際に八代の手に落ちる。アニメでは手術の最中に八代に命を狙われる。しかしいずれも悟の作戦で阻止され、無事救出された。原作の最終回では2010年に高校受験に合格しており、藤沼親子とも未だ親交がある様子が描かれている。
杉田 未来(すぎた みらい)
声 - 悠木碧[6]
広美と加代の長男。悟曰く広美に似て睫毛が長い。悟の面会に訪れた加代に伴われて登場した。アニメ版においては、この際にぐずった時に悟の掌に触れた安堵感によってか、瞬時に眠りに落ちたが、そのことが悟の記憶を呼び覚ますきっかけとなった。原作最終回にて、小学校に上がるくらいまで成長した姿で登場した。
佐々岡 美穂(ささおか みほ)
『Re』に登場。佐々岡夫妻の娘で、愛梨の従姉。高校時代から佐々岡家で暮らしている愛梨とは仲が良く、「美穂姉」と慕われている。病弱な体質で子供のころは入退院を繰り返しており、社会人として働いている現在でも病院通いは続いている模様。高校も21歳の時に通信制で卒業した。悟が愛梨に匿われていた時は入院中のためか自宅にはいなかった。そんな経緯から人と接することが苦手だったが、愛梨の存在のおかげで変われたと自認しており、事務所を辞めて落ち込んでいる愛梨に助言を送る。本編最終回で愛梨が被っていた帽子は彼女の物である。
館山 つばめ(たてやま つばめ)
『Re』に登場。愛梨が勤めていたデザイン事務所の所長。リアリストゆえに、また愛梨の腕の未熟さもあって彼女の直感的な写真を評価せず、ショックを受けた愛梨は自ら事務所を辞めてしまう。しかし実際は愛梨のことを気に掛けており、密かに再就職先の手配をしていた。

  1. ^ この能力の説明として、作中ではあらすじに記載の「再上映」という言葉だけが使われ、「タイムリープ」や「タイムトラベル」という言葉は使われない。1巻裏表紙の内容紹介では、「時が巻き戻る」という表現が使われている。
  2. ^ a b 作中では当初「28歳」と書かれていた(初版初刷2巻63-64頁など)が、1988年3月に5年生の誕生日(11歳)を迎えるためには2006年5月の時点では29歳である必要があり、矛盾していた。本件については6巻巻末のあとがき漫画「非日常的な日常」で、作者本人のミスであったと謝罪し、29歳であると訂正している。





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