人種
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人種(じんしゅ、英語:Race)とは、ヒトの分類の概念[注釈 1][1][2]。
- ホモ・サピエンスと、その亜種に相当すると見なされる集団[3][注釈 2]。
- 自然的な骨格・皮膚・毛髪等の遺伝的・形質的特徴で区分した生物学的な区分。
- 四大人種(ネグロイド(黒色人種群)、コーカソイド(白色人種群)、モンゴロイド(黄色人種群)、オーストラロイド(黒褐色人種群))などの現生人類の集団[4][5]。英語 raceの日本語訳語[6]。
- 現生人類を地位、職業、環境、生活習慣、気質の違いで区分したもの[4]。
- 血筋。血統[4]。
なお、日本語としての用例は古く、日本において確認される「人種」はいずれも、
- 人類のたね[4]。人類の元となるもの。始祖。また、人類[4]。1358年頃に成立したとされる「神道集」に「神明国を守る時は、人種繁昌し天下迸れり」とある[4]〔法苑珠林‐一〕ほか------玉塵抄(1563)などにも用例がある。
- その場にいる人数。また、役に立てられる人数。人材[4]。落窪物語や平家物語に用例がある[4]。
- 1844年頃に成立したとされる『随筆百草』には「亜伊能(アイヌ)人種」の用例がある[4]。
というものであり、ヒトの分類を当てはめるようになったのは西洋文化が多く流入した江戸末期とされる[7]
人種(ヒトの分類)の概念が虚構とする考え方から、人種主義への批判や反論などの議論が続いている(後述)[8][9]が、本項ではヒトの分類上における人種を扱う。
注釈
- ^ なお、今日ではヒトの分類は科学的な妥当性は認められず、社会の作り出した文化的概念とみなされている。
- ^ 人種は生物学的な種や亜種ではなく、現生するヒトは、遺伝的に、種や亜種に値する程の差異は存在しないとされる。この場合の「種」は、生物学の概念としての「種」と混同してはならない。英語では、生物学的な「種」は speciesであり、人種はraceであり、両者はまったく異なる単語である。にもかかわらず、日本語では同じ「種」という訳語が採用されているので、両者が混同されやすい。「人種」の「種」が意図しているのは、あくまでも現生人類を、さらに細かく形質的特徴によって区分する試みである。しかも、この区分の基準は、時代や社会によって異なる流動的なものであることに留意する必要がある。[要出典]
- ^ 他の生物における亜種に該当する。
- ^ 「すべての人間は単一の種に属し、共通の先祖の子孫である。すべての人間は尊厳と権利において平等に生まれ、誰もが欠くことのできない一員として人類を形成している」
- ^ 「人類の多様性は人類が環境に適応し選択され、また遺伝的浮動や遺伝的混入によって生まれてきたもので、その多様性は連続的で、カテゴリーに分けられるものではない」
- ^ 「遺伝学(DNAなど)の解析から得られた証拠は、約94%の身体的変異がいわゆる人種集団内にあることを示している。従来の地理的「人種的」グループ分けでは、その遺伝子の約6%においてのみ互いに異なる。このことは、人の遺伝子変異は集団間よりも集団内で大きく変異していることを意味している。隣接する集団では、遺伝子とその表現型(物理的)発現の重複が多く、歴史を通じて、異なる集団が接触するたびに交配が行われてきた。遺伝物質の継続的な共有は、人類全体を単一種として維持してきた。」
出典
- ^ “コトバンク”. ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. 2021年3月16日閲覧。
- ^ Keita, S O Y; Kittles, R A; Royal, C D M; Bonney, G E; Furbert-Harris, P; Dunston, G M; Rotimi, C N (2004). “Conceptualizing human variation” (英語). Nature Genetics 36 (11s): S17–S20. doi:10.1038/ng1455. PMID 15507998 .
- ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)
- ^ a b c d e f g h i 精選版 日本国語大辞典、小学館。
- ^ 木畑洋一ほか20名 2023, p. 10.
- ^ 同じ漢字表記の「種」は生物学的な種(species)とは異なる。
- ^ 竹沢 泰子「中等教育でまなぶ「人種」「民族」とヒトの多様性 創られた「人種」」『学術の動向』第19巻第7号、公益財団法人日本学術協力財団、2014年7月1日、80-82頁、doi:10.5363/tits.19.7_80。
- ^ 廣瀬 典生「「人種」という概念の虚構性を見透かす : ジョージ・S・スカイラーの「プープーイズム」あるいは「ホーカム」の感性 (ジャーナル掲載のエッセイを中心にして)利用統」『外国語外国文化研究』第16巻、関西学院大学、2014年3月31日、190(1) - 326(137)、ISSN 02871327。
- ^ a b c 高橋 健司「世界史教育における「人種」概念の再考 -構築主義の視点から-」『社会科教育研究 = The Journal of social studies / 日本社会科教育学会 編』第94巻、日本社会科教育学会、2005年、14-25頁、doi:10.18992/socialstudies.2005.94_14。
- ^ 岩波生物学辞典 第四版
- ^ スターン, C 著、田中克己 訳『人類遺伝学』岩波書店、1952年。原著The Principles of Human Geneticsは、ドイツ生まれのアメリカの遺伝学者カート・スターンの1949年の著作。
- ^ a b ピーター・バーク 2015, p. 244.
- ^ "竹沢泰子 「人種とは何か考える」". 11 October 2002. NHKラジオ第一放送。
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は必須です。 (説明) - ^ a b 竹沢泰子『人種概念の普遍性を問う』人文書院、2005年。ISBN 978-4409530306 。
- ^ 「19世紀フランス人種思想のなかのアラブ人」杉本淑彦、2004年、『フォーラム 白人性と帝国』
- ^ 福澤諭吉『掌中萬國一覧』1869年
- ^ 浦野茂 著「類型から集団へ」、酒井, 泰斗、浦野, 茂; 前田, 泰樹 ほか 編『概念分析の社会学─社会的経験と人間の科学』ナカニシヤ出版、2009年。
- ^ クロード・レヴィ=ストロース 荒川幾男訳 (2008) [1952]. 人種と歴史 (新装版). みすず書房
- ^ a b Leda Cosmides,John Tooby,Robert Kurzban Perceptions of race TRENDS in Cognitive Sciences Vol.7 No.4 April 2003
- ^ 斎藤成也「人種よさらば」
- ^ ピーター・バーク 2015, p. 246.
- ^ a b “AAPA Statement on Race & Racism”. AAPA(American Association of Physical Anthropologists). 2021年3月19日閲覧。
- ^ a b “人種主義に反対するユネスコ(国連教育科学文化機関)人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議”. UNESCO(国連教育科学文化機関). 2021年3月19日閲覧。
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- ^ スティーブン・ピンカー 著、山下/篤子 訳『人間の本性を考える 下 第8章 「もし生まれついての差異があるのならば……」』NHK出版、2004年9月30日。ISBN 978-4140910122。
- ^ a b 香原志勢「人種>人種の未来」日本大百科全書(ニッポニカ)
- ^ 崎谷満(2009)『新日本人の起源:神話からDNA科学へ』勉誠出版
- ^ 崎谷満(2009)『DNA・考古・言語の学際研究が示す新日本列島史:日本人集団・日本語の成立史』勉誠出版, 2009(単著)
- ^ 佐藤桃子ほか(2014)「人種を再定位する」『化学史研究』第42巻 第3号
- ^ “Declaration on Race and Racial Prejudice 27 November 1978”. UNESCO(国連教育科学文化機関). 2021年3月19日閲覧。
- ^ “AAPA Statement on Biological Aspects of Race”. AAPA(American Association of Physical Anthropologists). 2021年3月19日閲覧。
- ^ 瀬口 典子「シンポジウム特集 アメリカ自然人類学会の歴史と動向」『Anthropological Science (Japanese Series)』第116巻第1号、日本人類学会、2008年、57-66頁、doi:10.1537/asj.116.57。
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- ^ “サテライト・シンポジウム京都大学人文科学研究所国際シンポジウム国際人類学民族学会議(IUAES) 2002 京都会議 「人種概念の普遍性を問う-植民地主義、国民国家、創られた神話-」”. 日本人類学会. 2021年3月19日閲覧。
- ^ High resolution of human evolutionary trees with polymorphic microsatellites. Nature 368,455-457
- ^ SCIENCE VOL 319 Worldwide Human Relationships Inferred from Genome-Wide Patterns of Variation
- ^ “Special Feature: The Neandertal Genome”. Science (アメリカ科学振興協会). (5 2010) 2010年8月12日閲覧。. アブストラクト和訳PDF
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- ^ 崎谷満(2009)『新日本人の起源』勉誠出版
- ^ 崎谷満(2009)『DNA・考古・言語の学際研究が示す 新・日本列島史』勉誠出版
- ^ The Evolution of Human Genetic and Phenotypic Variation in Africa
- ^ Robert Kurzban, John Tooby, and Leda Cosmides Can race be erased? Coalitional computation and social categorization
- ^ Jonathan Kahn (August 2007). “Race in Bottle”. SCIENTIFIC AMERICAN .
- ^ “Kaiser Health Disparities Report: A Weekly Look At Race, Ethnicity And Health, Science & Medicine NitroMed To End Promotion of Heart Failure Medication Specifically Approved for Blacks”. kaisernetwork.org. 2010年1月22日閲覧。
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