二百三高地
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ストーリー
日露戦争の旅順攻囲戦における、203高地の日露両軍の攻防戦を描いた作品。第三軍の司令官・乃木希典を中心とし、大局(戦闘、戦争)の推移が描かれる。
その一方で、第三軍に予備役で徴兵された民間人を通じ、前線で戦う一兵卒の惨状、戦況に一喜一憂する庶民の姿、戦争の悲惨さも描写されている[1]。
オリジナルキャラクター
- 小賀武志
- 映画 - あおい輝彦/テレビ - 永島敏行[注釈 1]
- 金沢の小学校の教師。反戦運動をして暴力を受ける佐知を助けたことから、彼女と懇意になる。ロシア文学を学び、神田のニコライ堂にも通っていた。
- ロシア語に通じており、少尉(小隊長)として召集された身にありながらもロシア国民との友好を願う平和主義者だったが、苛酷な戦場での経験による理想と現実の乖離から、ロシア人を激しく敵視する性格へと変貌する。
- 以下の4名は、小賀の部下。
- 木下九市
- 映画 - 新沼謙治/テレビ - 山田隆夫
- 豆腐屋の息子で、軍隊のラッパ手に憧れている。飄々として憎めないが、軍隊生活に早くから適応し、上官から「兵隊向きに出来ている」と評価される。
- テレビ版では、戦地で豆腐作りに挑戦した。また、家族(厳密には父親)の借金やそれに伴う姉の身売りなどが描かれた。
- 梅谷喜久松
- 映画 - 湯原昌幸/テレビ - 水森コウ太
- 太鼓持ち 出身で、テレビ版では慰問担当として活躍するシーンや、恋仲の芸妓(金太郎-今陽子)とのシーンなど、描写が大幅に増えている。
- 牛若寅太郎
- 映画 - 佐藤允/テレビ - 橋本功
- ヤクザであり、反抗心と義侠心に富む。乱闘騒ぎを起こして牢に入れられていた最中に召集された。両上腕から背中にかけて彫り物がある。
- 米川乙吉
- 映画 - 長谷川明男/テレビ - 山本亘
- 染物の職人。妻に先立たれ、幼い子供2人を残して召集された。そのため、故郷に強い執着を持っており、赤十字社の施設が預かってくれた子供達が脱走したことが追い打ちとなって、自身も脱走を図った。
- 気の弱さから、当初は上官(金平伍長)らに見下されていた。しかし、前線での戦闘の際は、「米川だけは絶対に生還させろ」と金平に言わせ、隊の結束もそれに向かって固まっていた。
- テレビ版では、妻の死が描かれた。
- 松尾佐知
- 映画 - 夏目雅子/テレビ - 坂口良子
- 反戦活動の最中、小賀と知り合う。その後、ニコライ堂の講習会で再会したことで、互いに想いを寄せあっていく。
- 出征に際し、夫婦の契りを結ぶが、入籍はしていない[注釈 2]。
- 教員資格を持っており、召集されて戦地に赴いた小賀の後任として、小学校の教師となる。また、赤十字施設から脱走した米川の子供2人を引き取っている。
- テレビ版では、「入籍の時間が無かった」と変更されている。
重複キャスト
映画版・テレビ版に、重複して登場する俳優(流用シーンは除く)
- 同じ配役
- 南道郎(金平又八) - 映画版は三南道郎名義。
- 大月ウルフ(尋問されるロシア軍人)
- 野口元夫(大山巌)
- 弘松三郎(山本権兵衛)
- 河合絃司(金沢の小学校校長)
- 違う配役
- 永島敏行(映画 - 乃木保典/テレビ - 小賀武志)
- 石橋雅史(映画 - 福島安正/テレビ - 伊地知幸介)
- 矢吹二朗(映画 - 久司大尉/テレビ - 広瀬武夫)
- 浜田晃(映画 - 大庭二郎/テレビ - 中村覚)
- 中田博久(映画 - 奈良少佐/テレビ - 長岡外史)
- 原田力(映画 - 渡辺大佐/テレビ - 第三軍第九師団所属の軍人)
- 北村晃一(映画 - 寺島大尉/テレビ - 第6話登場の軍医)
- 配役不明
- 尾型伸之介(映画 - 松川敏胤/テレビ - )
- 相馬剛三(映画 - 豊島陽蔵/テレビ - )
- 山田光一(映画 - 一戸兵衛/テレビ - )
- 舛田紀子(映画 - /テレビ - 木下トミ)
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注釈
- ^ 永島は乃木保典役で映画版に出演している。
- ^ 「戦争から帰ったら入籍する」という、小賀の申し出による。
- ^ 例:満洲軍関係、三南道郎(通常は南道郎名義)
- ^ 本作のエンドクレジットは、単独配置の人物と並列配置の人物がいる。
- ^ 方言指導にもクレジットされている。
- ^ 丹波は1990年にも、テレビ朝日で放送された乃木希典の生涯を描いた『静寂の声 乃木希典・静子の生涯』(主演:緒形拳)で、特別出演として本作と同じく児玉源太郎を演じている。
- ^ その時の状況や苦労話、逸話などは、笠原の回顧録『昭和の劇』に詳しく記されている。
- ^ ただし、1959年の新東宝映画『明治大帝と乃木将軍』は二番手の扱いではあるものの、実際は一番手の明治天皇の出番の方がずっと少ないために事実上の主役である。
- ^ 丹波は戸田城聖を演じた『人間革命』でも闊達なキャラクターであり、謹直な人格者という役柄は殆どない。
- ^ DVDブックレットに「おじ」と記載。
- ^ 映画版にも登場する予定だった。
出典
- ^ a b 戦争映画の名作『二百三高地』
- ^ 1980年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
- ^ a b #昭和の劇、p422-426
- ^ a b #活動屋人生p26-136
- ^ a b 新潟日報夕刊<連載 ひと賛歌 幸田清 活動屋半世紀①②>2011年11月7、8日
- ^ #やくざなりp91
- ^ 幸田清『活動屋人生こぼれ噺』銀河出版、1995年、p26-136
- ^ 新潟日報夕刊<連載 ひと賛歌 幸田清 活動屋半世紀①②>2011年11月7、8日
- ^ a b c d e f g 「特集 戦記映画 『日本の戦記映画 東映作品を中心に』文・佐藤忠男/スペシャル対談 『東宝 松林宗恵vs東映 佐藤純彌』/人間を描く戦記映画 『女は美意識では動かないから、宿命に対抗できる』 文・秋本鉄次」『東映キネマ旬報』2007年秋号 Vol.04、東映ビデオ、2-11頁。
- ^ a b #いい話p55-56
- ^ #舛田p306
- ^ 幸田清『活動屋人生こぼれ噺』銀河出版、1995年、p94-95
- ^ a b #昭和の劇、p438
- ^ a b c 東宝特撮超兵器画報 1993, p. 123, 「美術監督 井上泰幸INTERVIEW」
- ^ 別冊映画秘宝編集部 編「井上泰幸(構成・文 中村哲/『映画秘宝』2011年2月号掲載)」『ゴジラとともに 東宝特撮VIPインタビュー集』洋泉社〈映画秘宝COLLECTION〉、2016年9月21日、185頁。ISBN 978-4-8003-1050-7。
- ^ a b c d 二階堂卓也『日本映画裏返史』彩流社、2020年、360-362頁。ISBN 9784779126567。
- ^ さだまさし「やばい老人になろう」 2017年 PHP研究所 p94
- ^ a b 右文字右京「映像でみる『俺たちの日本軍』魂が震える戦争映画大全」『実話裏歴史スペシャル』第7巻、ミリオン出版、2011年10月5日、p. 86。
- ^ #やくざなりp97
- ^ 角川春樹氏、思い出語る「ひとつの時代終わった」…岡田茂氏死去 スポーツ報知2011年5月10日(archive)
- ^ asahi.com(朝日新聞社):ヤマトは「文芸もの」だった?
- ^ a b c #舛田308-311頁
- ^ a b #昭和の劇、p423-425
- ^ #やくざなりp94
- ^ 『活動屋人生こぼれ噺』p73-80
- ^ 『活動屋人生こぼれ噺』p107-109
- ^ 毎日新聞 関西版「雑記帳」1980年
- ^ #やくざなり20-25頁
- ^ 高田文夫、イッセー尾形、ビートたけし、大滝詠一、高平哲郎、中野翠、高橋春男『銀幕同窓会 高田文夫と映画育ちの団塊者たち』白夜書房、2002年、63–67頁。ISBN 4893677195。
- ^ 夏目雅子、DVDで甦る…“ツルの一声” - ZAKZAK
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