中皮腫 臨床像

中皮腫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/28 23:43 UTC 版)

臨床像

初発症状に乏しいことが多い。進行例で症状が発現することが多い。症状としては胸膜浸潤による胸水の貯留による呼吸困難が強く出てくる。肺癌と異なり血痰を初発にすることはまずない。

転移形式や浸潤など、いまだ多くのことが不明である。そのため、固形の悪性腫瘍はTNM分類を用いて進行度を評価するが、その評価形式に疑問が投げかけられている。(現時点では肺癌のそれを用いて進行度を評価している。) 浸潤はびまん性で、横隔膜を伝うような形で腹膜に浸潤することもある。また縦隔を通って心膜に腫瘍を形成すると拡張不全による心不全がおこる。 びまん性の浸潤だが、腫瘤の形成もきたしうる。

腹膜発生のものは、進行すると腹部膨満、腹痛、食欲不振、悪心嘔吐腹水など。

末期では腫瘍が腸管に癒着し、腹腔内臓器が一塊となる。

検査

  • 画像所見:多くの場合、X線ではextrapleural signや胸水貯留を認める。通常は片側性である。胸部CTでも同様の所見を得ることが出来る。またFDG-PETでは、集積像を認める。
  • 胸水の細胞診では、腫瘍細胞を認めることがある。
  • 組織:生検はきわめて重要で確定診断をする最大の根拠となる。HE染色では肺癌との鑑別が難しいことが多い。免疫染色が有用であり、カルレチニンなどの陽性マーカーとCEAなどの陰性マーカーとを組み合わせて診断する。
  • 腫瘍マーカーとしてヒアルロン酸CYFRAがある。CEAは陰性であり肺癌との鑑別に有用である。また血算では血小板が高値となる。

治療

肺癌に準じたTNM分類を用いてステージIIまでには外科療法も行われる。ステージIII以降は化学療法が中心である。

手術適応症例は胸膜肺全摘術(胸膜、横隔膜の一部を摘出して、再建を行う。)
あまり奏効する薬剤は無いとされていたが、悪性胸膜中皮腫治療薬として2007年1月にペメトレキセド(商品名アリムタ®)が承認され、シスプラチン(CDDP)との併用である程度の効果をあげている。

予後

臓器転移を起こすことはほとんどないものの、診断時にすでに広範囲に進展し、根治手術が不可能であることが多い。予後はきわめて不良で、1年生存率が50%、2年生存率が20%である。


  1. ^ エリオン沸石によるがん (PDF) MHLW 2021年4月2日閲覧。


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