三角形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 05:31 UTC 版)
三角形 | |
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三角形 | |
辺・頂点 | 3 |
シュレーフリ記号 | {3} (等辺の場合) |
面積 | さまざまな方法: #面積を参照 |
内角 (度) | 60°(等辺の場合) |
記法・定義
3点 A, B, C を頂点とする三角形は記号 △ を用いて △ABC と表記する。記号△はピエール・エリゴンなどが16世紀に使うようになった[1]。
三角形の 2辺がなす角をその三角形の内角という。
図1においては、∠ABC が内角の 1つとなる。三角形は 3つの内角をもち、その和は平面上では2直角(180度)となる(本稿はユークリッド幾何学における三角形を論じる)。
また、∠ACD のように、1つの辺と、他の辺の延長が作る角を三角形の外角という。三角形の 1つの頂点(内角)に対して、内角をはさむ2辺以外の辺をその頂点(内角)の対辺という。また、三角形の 1つの辺に対して、辺の両端以外の頂点(内角)をその辺の対頂点(対角)という。
一般に、三角形の頂点やその頂点の内角を表すには、大文字のアルファベットを用いる。特に、内角(内角の大きさ)を表すときには、頂点の前に記号 ∠ をつけるか、頂点の文字を斜体にして表すのが慣例である。たとえば、図2 の頂点 B を持つ内角(内角の大きさ)を ∠B、または B と表す。
辺(辺の長さ)を表すには、対頂点(向かい合う頂点)の文字に対応する小文字のアルファベットで表すことが行われる。たとえば、図2 の角 B の対辺 CA は、b と表す。この記法は、18世紀のオイラーの頃から使われるようになった[2]。
三角形の3辺となる条件
三角形のどの辺の長さも他の二辺の長さの和より小さい。すなわち、三角形を構成する3辺の長さを a,b,c とするとき、次の三つの不等式が成り立つ。
- a < b + c
- b < c + a
- c < a + b
この関係は三角不等式として一般化される。 逆に、この不等式が三つとも成り立てば、a,b,c を3辺の長さとする三角形を作ることができる。
辺の大小と内角の大小
- a < b ⇔ A < B
- b < c ⇔ B < C
- c < a ⇔ C < A
特に、三角形の最長辺(最短辺)と最大内角(最小内角)は向かい合う関係にある。
三角形の底辺と高さ(中線と中点連結)
三角形の 3つの辺のうちの一つを底辺としたとき、その対頂点から底辺またはその延長に下ろした垂線が、三角形によって切り取られる線分(線分の長さ)を、三角形の高さという。底辺をどの辺と見るかによって、三角形には 3つの高さがある。
三角形の高さは、底辺と対頂点の距離に等しい。
底辺の中点と、対頂点を結ぶ線分を、三角形の中線という。底辺をどの辺と見るかによって、1つの三角形には 3本の中線がある。
三角形の中線は、三角形の面積を二等分する。
底辺を除く 2辺それぞれの中点を結ぶ線分を、三角形の中点連結という。底辺をどの辺と見るかによって、1つの三角形には 3つの中点連結がある。
三角形の中点連結は、底辺と平行で、長さは底辺の半分に等しい(中点連結定理)。
三角形の種類
三角形は、その辺や角の大きさにより、いくつかの方法で分類することができる。
- 大きさが 0度より大きく 90度より小さい角を鋭角という。
- 大きさが 90度である角を直角という。
- 大きさが直角 90度より大きく、平角 180度より小さい角を鈍角という。
三角形の内角の和は 180度なので、三角形の内角で 90度以上のものは高々1個である。三角形の内角は、すべて鋭角であるか、直角1個と鋭角2個であるか、鈍角1個と鋭角2個、のいずれかである。
三角形を内角の大きさで分類するとき、内角が全て鋭角である三角形を鋭角三角形(図2)、1つの内角が直角である三角形を直角三角形(図4)、1つの内角が鈍角である三角形を鈍角三角形(図3)という。
また、三角形を辺の長さで分類するとき、3つの辺の長さがすべて異なる三角形を不等辺三角形(図2)という。
2つの辺の長さが等しい三角形を二等辺三角形(図5)という。
二等辺三角形のうち、直角三角形の直角をはさむ 2つの辺が等しいものを直角二等辺三角形(図6)という。
二等辺三角形のうち、3つの辺の長さがすべて等しい三角形を正三角形(図7)という。
直角三角形
1つの内角が直角である三角形を直角三角形と呼ぶ。直角三角形の頂点のうち、内角が直角である頂点を直角頂と呼ぶ(図4)。
直角三角形の直角以外の内角 2つは 90度未満となり、これらを直角三角形の鋭角と呼ぶ。それらの和は直角に等しい。
直角三角形の直角の対辺を斜辺という。斜辺は、直角三角形の 3つの辺の中で最も長い辺である。斜辺でない 2辺を、直角をはさむ 2辺と呼ぶ。
直角をはさむ 2辺 a,b と、斜辺 c の間には、次の関係が成り立つ(ピタゴラスの定理)。
- a2 + b2 = c2
逆に、△ABC の 3辺 a,b,c が上の等式を満たすならば、△ABC は辺 c を斜辺とする直角三角形となる(ピタゴラスの定理の逆)。
二等辺三角形
二等辺三角形において、長さの等しい 2つの辺を等辺といい、残りの 1つの辺を二等辺三角形の底辺と呼ぶ。2つの等辺のなす角を頂角といい、残りの 2つの内角を底角という。頂角の対辺が底辺であり、底辺の両端の角が底角である。また、二等辺三角形で頂点と言った場合、特に底辺の対頂点を指す。
△ABC が b = c の二等辺三角形であれば、底角 ∠B = ∠C であり(二等辺三角形の底角の性質)、逆に、△ABC の 2角が ∠B = ∠C であれば、b = c の二等辺三角形となる(二等辺三角形の成立条件)。
二等辺三角形は線対称な図形であり、頂角の二等分線、底辺の垂直二等分線、頂点から底辺に引いた中線はすべて対称軸上に乗る。
二等辺三角形のうち、頂角が直角であるものを直角二等辺三角形という。直角二等辺三角形においては、直角をはさむ 2辺を等辺、底辺を斜辺と呼ぶこともできる。2つの鋭角ないし底角の大きさは、それぞれ 45度となる(図6)。
正三角形
二等辺三角形のうち、等辺と底辺の長さが等しいものを正三角形という。(図7)
正三角形の内角は全て等しく 60度となる。逆に、ある内角が 60度である二等辺三角形は正三角形である。
正三角形は正多角形の一種である。正多角形とは、全ての辺が等しく、全ての内角が等しい多角形と定義されるが、正三角形に限って3辺が等しいことのみで定義される。
正三角形には、対称軸が 3本ある。正三角形の重心、外心、内心、垂心、フェルマー点は、全て一致する。
- ^ 黒木哲徳『なっとくする数学記号』講談社〈ブルーバックス〉、2021年2月、80頁。ISBN 9784065225509。
- ^ 片野善一郎『数学用語と記号ものがたり』裳華房、2003年8月25日、150頁。
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