ヴィクトリア湖
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行政区画
ヴィクトリア湖は周辺三ヶ国の領海であり、湖水部分も明確に自治体によって分割されている。ウガンダでは、本土側に西からリャントンデ県、マサカ県、ムピジ県、ワキソ県、カンパラ県、ムコノ県(以上ウガンダ中央地域)、ジンジャ県、イガンガ県、マユゲ県、ブギリ県(以上ウガンダ東部地域)の10県、ならびにマサカ県の東沖合いに浮かぶセセ諸島を領域とするカランガラ県(中央地域所属)の、合わせて11県によって分割されている。ケニアでヴィクトリア湖の湖水面を持つのは、北の西部州と南のニャンザ州の2州である。タンザニアのヴィクトリア湖は、東からマラ州、ムワンザ州、カゲラ州の3州に分割されている。
交通
ヴィクトリア湖は国際水域であり、沿岸三国の交通の要となっている。キスムやカンパラ、ムワンザ、ブコバなどを基点として、湖畔の各町村や湖に浮かぶセセ諸島、ウケレウェ島への便が発着し、また上記四都市間などを結ぶ国際便も就航している。2002年にはムワンザ港で127000人、ブコバ港では68000人の乗客があった[39]。しかし近年では過積載や老朽化による事故も伝えられ、1996年にはフェリー・ブコバ号が定数の3倍以上の過積載により沈没、1000人以上の死者を出した[40]。その後も状況は改善せず、2010年にはウガンダ領海内でフェリーの転覆事故が発生した。2018年9月20日にもウカラ島にてフェリーのニエレレ(Sinking of MV Nyerere)が転覆事故を起こし、161人が死亡している。
ヴィクトリア湖は古くから沿岸諸民族の交易ルートとなっていたが、本格的な交通の整備が始まったのは1901年にイギリスによって建設されたウガンダ鉄道が西岸のキスムに到達して以降である。これにより湖周辺の農作物の安価な輸出ルートが開け、周辺の農業開発は急速に進んだ。キスムの鉄道交通に接続した湖上交通が盛んになったのもこのときからである。鉄道はさらに支線を延ばし、1931年には北岸のカンパラにまで到達。これによって湖北岸のウガンダ南部地方では綿花栽培がさかんになり、ウガンダ経済を支えるようになった。一方、南岸においてもタンガニーカ鉄道が1928年にムワンザまで到達し、湖から外部への主要ルートの一つとなった。
国際関係
植民地時代にはこの湖畔はすべてイギリス領となっており、そのため交易が盛んであった。独立後も沿岸3政府間では関税協定が結ばれ、東アフリカ共同体が結成されて経済統合を目指しており、その内海であったヴィクトリア湖経済も活況を呈していた。しかしその後3国の路線対立が表面化し、ウガンダの政治の混乱や3国の経済の低迷により交易も停滞し、さらに3国中最も経済の発達したケニアが一方的に有利な協定であるとの不満がタンザニアには根強く、1977年には共同体はついに崩壊。同時にタンザニアとケニアの国境が封鎖され、両国間の行き来ができなくなった。さらに、1978年にはウガンダのイディ・アミン大統領がタンザニアに侵攻し、これに反撃したタンザニア軍がウガンダの首都カンパラまで攻め寄せ、占領した[41]。このウガンダ・タンザニア戦争によって両国の経済は疲弊し、これらの動きは交易に大打撃を与えた。その後、3国間の関係は復活し、1983年にはケニアとタンザニアの国境が開放され、2001年には東アフリカ共同体が再結成され、2005年には関税同盟も締結された。これにより、交流もまた戻りつつある。
1994年より、世界銀行の主導でヴィクトリア湖環境管理プロジェクトが実施され、貧困削減と持続可能な開発を主眼において開発計画が実行に移された[42]。
また、ヴィクトリア湖はナイル川水系に属するため、下流域との関係をも考慮に入れた総合的な開発計画の策定が望まれていた。そこで1999年2月にナイル川流域イニシアチブ(Nile Basin Initiative、NBI)が流域9カ国によって結成され、ナイル川の総合開発や水資源の配分について総合的に話し合う場となった。しかし水配分の既得権が最下流のエジプトに非常に有利になっているためヴィクトリア湖岸諸国などの上流域の不満は大きく、2010年5月には「ナイル流域協力枠組み協定」という新協定が提案された。これは他国に影響を与えない範囲で自国内の水資源を自由に使えるようにするもので、上流域諸国の広い支持を得たものの、下流に当たるエジプトとスーダンは水の割当量減につながるとしてこれを拒否。一方上流域にあたる湖岸3カ国(ケニア、ウガンダ、タンザニア)ならびにルワンダ、およびエチオピアはこれに署名を行い、コンゴ民主共和国やブルンジも支持を表明して、両陣営間の対立が表面化した[43]。
2009年、湖東部に浮かぶミギンゴ島の領有に関してケニアとウガンダの争いが活発化し、衝突寸前となった[44]。
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