ロンゴロンゴ 出典

ロンゴロンゴ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/14 09:44 UTC 版)

ロンゴロンゴ (ラパヌイ語: Rongorongo, [ˈɾoŋoˈɾoŋo]) は、イースター島19世紀に発見された、文字あるいは原文字と思われていた記号の体系。


注釈

  1. ^ 木製のレプリカがイースター島の主都ハンガ・ロアのゼバスティアン・エングレルト神父人類学博物館 に所蔵されている。
  2. ^ ジャン=フランソワ・シャンポリオンロゼッタ・ストーンの解読とヒエログリフの解析で快挙を成し、一大センセーションを巻き起こしたのが1822年。
  3. ^ a b ドイツ出身でイースター島に居住した神父、言語学者のゼバスティアン・エングレルト (Sebastian Englert) がロンゴロンゴをこのように訳しており("recitar, declamar, leer cantando" <to recite, declaim, read chanting>)、「タンガタ・ロンゴロンゴ」(tangata rogorogo = ロンゴロンゴ男)を「コハウ・ロンゴロンゴ(詠唱の絵文字を記した板)を読むことが出来る男」と説明している。ロンゴロンゴは「伝言、命令、知らせ」を意味する rongo畳語であり、tangata rongo は「伝令者」の意である。
    また、「コハウ」Kohau は「板の上に線 (hau) で書かれた絵文字、あるいは棒状の書記道具」とされている。
    ラパ・ヌイ語の rongo /ɾoŋo/同根語は、 マレー語dengar /dəŋar/フィジー語rogoca /roŋoða/ハワイ語lono /lono/等、他の多くのオーストロネシア語族の言語に見られ、いずれも「聞く」などの意味を有する。
  4. ^ Merton D. Simpson Gallery収蔵
  5. ^ a b 例えば、スイスの人類学者アルフレッド・メトロー(Alfred Métraux)は1938年、「文字板 V」について、「本物であるか疑わしい。絵文字は金属製の道具で刻まれたとみえ、本物の文字板の特徴である、絵文字の輪郭の規則性や美しさが見られない。」と述べている。1880年代には、文字板の模造品が旅行者の土産品として製作されていた。
  6. ^ これはおそらく、サンクトペテルブルクの博物館で моаи папа(翻字:moai papa) というラベルとともに所蔵されている、「モアイ・パアパア」の像(mo‘ai pa‘apa‘a, Catalog # 402-1)のことを指しているのであろう。
  7. ^ もし、ロンゴロンゴが純粋な音節文字であるなら、ラパ・ヌイ語を表記するのに必要な文字数は、母音の長短を区別しない、あるいは長母音を二重母音として扱った場合、55種類である[10]
  8. ^ バルテルはこの方法を実際に試しており、ベルギーのフランソワ・デドラン(François Dederen)は、1993年に同じ方法でいくつかの文字板を複製している。フィッシャーは次のように述べている[23]

    「サンクトペテルブルク大文字板([P]r3)」では、…鳥の嘴が黒曜石の薄片で刻まれた跡を確認できるが、書記が上から清書する際により丸い形に直されている。…なぜなら、書記は清書の際にはサメの歯でできた別の道具で刻んでいるからである。「サンクトペテルブルク大文字板 [文字板 P]」には、清書の際に少し形を変えて刻まれた絵文字の例が多く見られる。 ロンゴロンゴの絵文字は、「物の輪郭を描いた絵文字」("contour script") であり、輪郭の中、あるいは外には、様々な線や、円、斜線、点が加えられている[24]、…しばしば、そのような絵文字の輪郭以外の部分が、サメの歯で清書されずに、黒曜石で刻まれた細かい線の下書のまま残されている例がある。このような例はとくに、「ウィーン小文字板(文字板 N)」ではっきりと認められる。

  9. ^ 一方ニワトリは、イースター島でも主な流通品のひとつであり、文字板の中には、首長が何人殺して、何羽のニワトリを盗んだのかを記念したものと推定されているものがあるにもかかわらず、ニワトリを描いたと思われる絵文字は見つかっていない[27]
  10. ^ 「通常の炭素年代法で得られた結果は… 80 ±40 BP で、2-シグマ修正による年代は(95%の可能性)、Cal AD 1680からCal AD 1740の間(Cal BP 270から200)、Cal AD 1800から1930(Cal BP 150から20)、そして AD 1950から1960(Cal BP 0 から 0)であった; 実際、この文字板は1871年に収集されたものであるため、それより後の測定年代は誤りである。」"
  11. ^ 「ママリ」の木は幅19.6 cmで、外側の円周部に白木質を含んでいる。そのような幹の直径の特徴は、最大で高さが15 mになるPacific rosewoodの幹の特徴と一致する。
  12. ^ Dans toutes les cases on trouve des tablettes de bois ou des bâtons couverts de plusieurs espèces de caractères hiéroglyphiques: ce sont des figures d'animaux inconnues dans l'île, que les indigènes tracent au moyen de pierres tranchantes. Chaque figure a son nom; mais le peu de cas qu'ils font de ces tablettes m'incline à penser que ces caractères, restes d'une écriture primitive, sont pour eux maintenant un usage qu'ils conservent sans en chercher le sens.
  13. ^ メトローは、「現在の島の先住民456人は全員、1872年にフランスの宣教師達が島を離れた後に残っていた住民111人の子孫である」と述べている[38]。しかし、イギリスの人類学者キャサリン・ルートリッジ(Katherine Routlegde)は、ルーセル神父が島から避難した1871年に、島に残っていた住民の数は171人で、ほとんどが老人であったとしている[39]。また、アメリカ海軍の軍医でイースター島を訪問したジョージ・H・クーク(Geroge H. Cooke)は、1878年に約300人の人々が島から避難し、「イギリス海軍の軍艦サッフォー(H. M. S. Sappho)が1878年、イースター島に到着した際に島に残っていた住人の数は150人であった。」と記している。その中でクークは1886年に受け取った島全土の人口調査の要約を記載しており、それによると先住民が155人、外国人が11人となっている[28]
  14. ^ バルテルは、「その形状、大きさ、置かれていた状況から、これらはここで2度行われた埋葬の際に、奉納された文字板であるとかなりの高い確率で言うことができる。」と述べている[40]
  15. ^ しかし、ロシアの研究者イゴール・ポズドニアコフ(Igor Pozdniakov)とコンスタンティン・ポズドニアコフ(Konstantin Pozdniakov)は2007年、テキストのパターンの数に限りがあり、繰り返しが多い点から、歴史や神話のような複雑な内容の記録であることはありえない、という考えを示した。

出典

  1. ^ a b Englert 1993[要ページ番号]
  2. ^ Barthel June 1958:66
  3. ^ Fischer 1997:667
  4. ^ Fischer 1997:ix
  5. ^ Fischer 1997[要ページ番号]
  6. ^ Fischer 1997:534
  7. ^ Fischer 1997:543
  8. ^ バルテルの絵文字の分類方法の解説”. www.rongorongo.org. 2008年6月9日閲覧。
  9. ^ Pozdniakov 1996:294
  10. ^ Macri 1995
  11. ^ Pozdniakov and Pozdniakov 2007[要ページ番号]
  12. ^ Guy 2000[要ページ番号]
  13. ^ 1958: Appendix
  14. ^ Guy 1998a
  15. ^ Fischer 1997:382
  16. ^ Fischer 1997:483
  17. ^ Fischer 1997:497
  18. ^ Fischer 1997:382–383
  19. ^ Barthel 1971:1168
  20. ^ Fischer 1997:386
  21. ^ Fischer 1997:353
  22. ^ Métraux 1940:404
  23. ^ 1997:389–390
  24. ^ Barthel 1955:360
  25. ^ Fischer 1997:501
  26. ^ Guy 2006[要ページ番号]
  27. ^ Routledge 1919:251
  28. ^ a b Cooke 1899:712
  29. ^ Englert 1970:149–153
  30. ^ a b Orliac 2005[要ページ番号]
  31. ^ Flenley and Bahn 1992:172
  32. ^ Bahn 1996[要ページ番号]
  33. ^ Lee 1992[要ページ番号]
  34. ^ a b 参照。その他、ロンゴロンゴの絵文字と似たペトログリフの例をここや、ここで見ることができる。
  35. ^ Macri 1995[要ページ番号]
  36. ^ Fischer 1997:21–24
  37. ^ Routledge 1919:207
  38. ^ Métraux 1940:3
  39. ^ Routlegde 1919:208
  40. ^ Barthel 1997:526
  41. ^ Barthel 1959:162–163
  42. ^ Fischer 1997:Appendices
  43. ^ Routledge 1919:253–254
  44. ^ Englert 1970:80
  45. ^ Comrie et al. 1996:100
  46. ^ Pozdniakov and Pozdniakov, 2007





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