リン青銅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/31 09:31 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動特徴
溶解鋳造時にリンを添加することにより脱酸を行う。同時に、溶湯の湯流れが良くなることで鋳造性を向上させている[1]。リン青銅は、ばね性に優れている、強度が高い、曲げ・絞り加工性が良いといった機械的性質[1]に加えて、電気伝導率が高いことから、各種コネクタ、リレー(継電器)端子、ベアリングフレーム、ブレード材などの工業製品の素材として広く利用されている[2]。
青銅は古くから知られている合金であるが、リン青銅は歴史が比較的新しく、鉄で大型製品の均一鋳造を行う技術がなかった19世紀頃に、当時の大砲の鋳造に用いられていた[3]。第二次大戦後、電子部品の軽量化・小型化が進む中で、上記のような特徴を備えたリン青銅の活用が始まった。その後、とりわけデジタル家電製品や携帯電話等の普及と共に、現在のようなリン青銅の用途が確立した[4]。
材料記号
銅合金として、JIS規格の材料記号は頭文字Cで始まる4桁記号で表される[5]。なお、以下に示すものは旧JIS(2006。2013年10月21日までの経過措置期間あり)も含む。詳細は「参考文献」節のJIS H 3110を参照。
- リン青銅
- C5050: 錫1.0~1.7%、リン 0.15%以下、残りが銅
- C5111: 錫3.5~4.5%、リン 0.03~0.35%、残りが銅
- C5102: 錫4.5~5.5%、リン 0.03~0.35%、残りが銅
- C5191: 錫5.5~7.0%、リン 0.03~0.35%、残りが銅
- C5212: 錫7.0~9.0%、リン 0.03~0.35%、残りが銅
- ばね用リン青銅
- C5210: 錫7.0~9.0%、リン 0.03~0.35%、残りが銅
- C5240: 錫9.0~11.0%、リン 0.03~0.35%、残りが銅
脚注
参考文献
- 中小企業事業団中小企業研究所 『新金属材料 : 特性と加工技術』 日刊工業新聞社、1986年。ISBN 4526019925。
- 通産資料調査会 『新ミネルバ金属素材の将来展望 : 地球環境と金属素材の調和をめざして』 通産資料調査会、1991年。ISBN 4885281199。
- JIS H 3110:2012「りん青銅及び洋白の板並びに条」
関連文献
- MurakawaKiyoshi 『圧延した低錫りん青銅版のたわみの塑性』、1952年 。
- ^ a b 中小企業事業団中小企業研究所 1986, p. 230
- ^ 通産資料調査会 1991, p. 66
- ^ “リン青銅”. 日本特殊管製作所 (2006年). 2013年4月20日閲覧。
- ^ “用途・展望”. 原田伸銅所 (2013年). 2013年4月20日閲覧。
- ^ 日本工業標準調査会 2012, p. 2
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