ラストタンゴ・イン・パリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/31 09:27 UTC 版)
ラストタンゴ・イン・パリ | |
---|---|
Ultimo tango a Parigi Last Tango in Paris | |
監督 | ベルナルド・ベルトルッチ |
脚本 |
ベルナルド・ベルトルッチ フランコ・アルカッリ アニエス・ヴァルダ(仏語台詞) |
製作 |
ベルナルド・ベルトルッチ アルベルト・グリマルディ |
出演者 |
マーロン・ブランド マリア・シュナイダー |
音楽 | ガトー・バルビエリ |
撮影 | ヴィットリオ・ストラーロ |
編集 |
フランコ・アルカッリ ロベルト・ペルピニャーニ |
配給 | ユナイテッド・アーティスツ |
公開 |
1972年12月15日 1972年12月16日 1973年1月27日 1973年6月23日 |
上映時間 |
136分 129分 250分(オリジナル) |
製作国 |
イタリア フランス アメリカ合衆国 |
言語 |
英語 フランス語 |
製作費 | $1,250,000[1] |
興行収入 |
$36,144,000[1] $36,182,181[1] |
配給収入 | 3億1800万円[2] |
概要
1970年代前半の映画にして大胆な性描写(一般映画として、アナル・セックスの描写がある初の映画と言われる)が世界中に物議を醸し、本国イタリアに至っては公開後4日にして上映禁止処分を受け、日本でも下世話な話題ばかりが先行し、当時の興行成績は芳しくなかった。反対に支持者も多く、ミッキー・ロークはこの映画の大ファンであり『ナインハーフ』を作るきっかけになった。
主演のマーロン・ブランドにとっては辛い映画であり「役者として拷問のような体験だった」と語っており、私生活でも泥沼の裁判劇のあげく敗訴という憂き目に遭った。ヒロイン役のマリア・シュナイダーに至っては波乱万丈の人生を余儀なくされ、この映画に出演した事を「人生最大の痛恨」と語っている[4]。しかし両名の演技の評価は高く、特にブランドの中年男の悲哀感をたっぷりにじませた迫真の演技は圧倒的なものであり、本作でブランドはニューヨーク映画批評家協会賞を受賞している。
当初はドミニク・サンダがヒロイン役として考えられていたが、妊娠のため降板した。映画冒頭ではフランシス・ベーコンの絵画が2点起用されており、主人公達のコスチュームデザインもベーコンの絵画から作られている[5]。
2016年、ベルトルッチが2013年に応じたインタビュー動画が公開され、その中でレイプシーンの撮影はマリア・シュナイダーに告知せず、了承を得ないで行われていたことを明らかにした。ベルトルッチは自身とブランドがシュナイダーに詳細を言わないままレイプシーンを撮影する計画を共謀したと告白、「罪悪感はあるが後悔はない」と述べた[6]。
批判的な反響が巻き起こり、ベルトルッチは12月5日に声明を発表。脚本に強姦場面が含まれていることはシュナイダーも事前に知っていて、知らせなかったのはバターを使うという点だけだったと説明し、実際の性行為はなかったと反論した[7]。
ストーリー
パリ・パッシーのアパルトマンの空室でうらぶれた中年男(マーロン・ブランド)とブルジョア系の若い娘ジャンヌ(マリア・シュナイダー)は単に部屋を探していた身であったが、間違って掛かってきた電話の男に刺激され、男はジャンヌを犯す。ジャンヌにはTVディレクターのトム(ジャン=ピエール・レオー)というれっきとした恋人が居たものの、アパートで会う時は互いにただのオス・メスとして行為に耽る。やがて、実は男の妻が最近自殺したばかりだという暗い過去が明らかに。男はジャンヌを牝の肉玩と見なしていたが、次第に2人の立場が逆転していき男が中年の哀れで醜い姿を晒した時、二人の間の肉欲の関係は終わりを告げる。
注釈
- ^ 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンは2020年11月16日付で法人解散。
- ^ 現在は旧作を中心に、ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント(ワーナー ブラザース ジャパン)が発売、NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンが販売を担当。
出典
- ^ a b c “Last Tango in Paris” (英語). Box Office Mojo. 2023年1月17日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社、2012年、312頁。
- ^ “ラストタンゴ・イン・パリ”. WOWOW. 2023年1月17日閲覧。
- ^ “Downhill ride for Maria after her tango with Brando” (英語). The Sydney Morning Herald. (2006年6月22日) 2011年5月19日閲覧。
- ^ “Magritte, Bacon & Bertolucci: Last Tango in Paris” (英語). Vassar College. 2011年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月17日閲覧。
- ^ Kelley, Seth (2016年12月3日). “‘Last Tango in Paris’ Rape Scene Was Not Consensual, Director Bernardo Bertolucci Admits” (英語). バラエティ
- ^ “「映画 『ラスト・タンゴ・イン・パリ』の暴行場面めぐる非難に監督反論」…知らせなかったのはバターを使うという点だけだったと説明”. BBC News Japan(BBCニュース) (英国放送協会). (2016年12月7日) 2019年6月27日閲覧。
- ^ a b “Gato Barbieri Awards” (英語). AllMusic. All Media Network. 2016年6月18日閲覧。
- ^ a b Unterberger, Richie. Last Tango in Paris – Review - オールミュージック. 2016年6月18日閲覧。
- ^ Edwards, D., Eyries, P., Watts, R., Neely, T. & Callahan, M., Discography Preview for the United Artists label "LA" Consolidated Series (1972-1981) 2016年6月18日閲覧。
- ^ Payne, D., Oliver Nelson dicography 2016年6月18日閲覧。
- ^ "Last Tango in Paris". Rotten Tomatoes (英語). 2023年1月17日閲覧。
- ^ "Last Tango in Paris" (英語). Metacritic. 2023年1月17日閲覧。
- ^ “1973年 第46回 アカデミー賞”. allcinema. 2023年1月17日閲覧。
- ^ “第46回 アカデミー賞(1974年)”. 映画.com. 2023年1月17日閲覧。
- ^ “第31回 ゴールデングローブ賞(1974年)”. 映画.com. 2023年1月17日閲覧。
- ^ “1973年 第8回 全米批評家協会賞”. allcinema. 2023年1月17日閲覧。
- ^ “1973年 第39回 NY批評家協会賞”. allcinema. 2023年1月17日閲覧。
- ^ “1973年 第27回 英国アカデミー賞”. allcinema. 2023年1月17日閲覧。
- 1 ラストタンゴ・イン・パリとは
- 2 ラストタンゴ・イン・パリの概要
- 3 キャスト
- 4 ポルノ裁判
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