ユダヤ教
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/11 06:52 UTC 版)
教派
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- 正統派
- 超正統派
- 現代正統派ユダヤ教
- 新正統派「トーラー・イム・デレフ・エレツ Torah 'im Derekh Eretz:聖地の道と共にあるトーラー」(新正統派神学 Neo-orthodoxyではない)
- 保守派
- 伝統派(マーソルティー)
- シャブタイ派(サバタイ派)
- 改革派
- 再建派
- カライ派
- フランク派
他にヒューマニズム・ユダヤ教 Humanistic Judaism、自由主義ユダヤ教 Liberal Judaism、進歩主義ユダヤ教といった教派がある。
信徒分布
21世紀初頭において、ユダヤ教徒が多数を占めている国家はイスラエル一国のみであり、2014年においては人口の約75%がユダヤ教徒によって占められている[16]。これはイスラエルがもともと19世紀末以降に盛んになったパレスチナにユダヤ民族の故郷を再建しようとする運動、いわゆるシオニズムの結果として生まれた国家であり、ユダヤ教徒・ユダヤ人の祖国として建設されたことに由来する。このために、1920年代以降パレスチナにはユダヤ教徒が大挙移民として流入するようになり、1948年のイスラエル独立後にこの流れはさらに加速した。イスラエル独立とそれに続く第一次中東戦争によって、イスラエルとアラブ諸国との関係が極度に悪化し、それまでアラブ諸国内においてイスラム教徒と共存していたユダヤ教徒のほとんどがイスラエルへと移民したからである。この移民の波は1948年から1951年までの間に最盛期を迎え[17]、その後も継続した。イスラエル政府は1950年に帰還法を制定し、国外のユダヤ教徒がイスラエルへと移民することを認めた。こうしたことからイスラエルにおいてユダヤ教徒は人口のみならず文化的にも経済的にも主流派となっている。しかし継続するユダヤ教徒移民の波にもかかわらず、イスラエルにおけるユダヤ教徒の割合は減少傾向にある。
イスラエルは宗教の自由を認めており、イスラム教徒などユダヤ教以外の宗教も信仰の自由は保障されている[18]が、ユダヤ教のイスラエル国家に対する影響力は強く、政治と宗教の関係に関しては同国内で激しい論争がある[19]。各教派の自立性も高く、超正統派に至ってはイスラエルのユダヤ人に義務として課せられている兵役が免除されているほどだったが、2014年にイスラエルのクネセトで超正統派にも兵役の義務を課す法案が可決され、2017年より超正統派にも兵役が課せられることとなった[20]。イスラエルのユダヤ教徒は多くの教派に分立しており、厳格に戒律を守るものが約20%、ある程度戒律を守っているものが60%、ほとんど戒律を気にしないものが20%となっている[21]。いくつかの教派は政界に進出してある程度の政治的発言力を有している。
それ以外の国家においてユダヤ教徒の割合が2%を超える国家は存在しないが、歴史的な事情からヨーロッパには古くからユダヤ人のコミュニティが存在し、現代においても各国ごとに数万人から数十万人のユダヤ教徒が存在する。新大陸の発見以降、ヨーロッパから移民の押し寄せた南北アメリカ大陸においても事情は同じで、多くの国にユダヤ教徒のコミュニティは存在する。特にユダヤ教徒の数が多いのはアメリカ合衆国で、統計によって数値が異なるもののおそらくイスラエルとほぼ同じかやや多い程度のユダヤ教徒が存在すると推定されている。
歴史
ユダヤ教の成立
ユダヤ教の組織の概略
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タナハ(モーセ五書、預言書、諸書)時代
ヤハウェ信仰に改宗した、もと「異邦人」をゲール・ツェデク (gēr tzedeq、正しい改宗、改宗者)、イスラエル人、あるいはヤハウェ信徒以外でイスラエルの地に住んだ人々をゲール・トーシャーブ (gēr tōšābh) Ger Toshav(正しい異邦人、寄留者)と呼んだ。
- 祭壇(ミズベーアハ)での信仰
- 幕屋(移動式テント神殿、タバナクル)での信仰
- エルサレム神殿での信仰(ソロモンの神殿 Solomon's Temple)
- 預言者によるユダヤ教
第二神殿時代
中世初期
中世後期
- ルリアニック・カバラ(イツハク・ルリア)
- ハラハーのユダヤ教
- アシュケナジムのユダヤ教
- 初期のミスナグディーム(エリヤ・ベン・ソロモン<ヴィルナのガオンen:Vilna Gaon>など)
- 初期のハシディズム(イスラエル・ベン・エリエゼルなど) Early Hasidic Judaism
- セファルディムのユダヤ教 Sephardic Judaism(スペイン、北アフリカ、トルコなど)
- ミズラヒムのユダヤ教 Mizrahi Judaism(イエメン・ユダヤ人<テーマーニー>、イラク、ペルシア系、その他全て)
- アシュケナジムのユダヤ教
現代
- 正統派
- ハレディーム
- ハシディズム
- ハバド・ルバヴィッチ派 Chabad Lubavitch
- サトマール派 Satmar
- ゲル Ger
- ボボフ派 Bobov
- ブレスロフ派(ブラツラフ派) Breslov(ナフマン・ブラツラフなど)
- プッパ Puppa
- ヴィジュニッツ派 Vizhnitz(その他星の数ほど。ハシディズムの宮廷(王朝、ホイフン hoyfn, コート court)に関しては、ハシディズムの宮廷の一覧を参照)
- 近代ミスナグディーム
- ムーサール運動
- トーラー・イム・デレフ=エレツ Torah im Derech Eretz (デレフ=エレツと共にあるトーラー)デレフ=エレツ(聖地の道)とは、トーラーの実践のこと。新正統派創設者ザームゾン・ラーファエル・ヒルシュによる哲学
- リトアニアのイェシーバー世界(ハイム・ヴォロジンなど)。現在はイスラエル、アメリカ、イギリスに移動。リトアニア人の一覧、Lithuanian Jews (Litvak) もあわせて参照
- ナートーレー・カルター(ネトゥレイ・カルタ)
- ハシディズム
- 現代正統派ユダヤ教
- イェシーバー大学の世界
- アメリカ・ラビ評議会 Rabbinical Council of America
- 正統派ユダヤ教信徒協会連合 The Union of Orthodox Jewish Congregations of America [注 4]
- イェシーバー大学の世界
- 宗教シオニズム Religious Zionism(→シオニズム:ツィーヨーヌース、ツィヨヌート tziyyônūth (tzīyônūth) )
- 精神的シオニズム duchovnij cionizm (近代にはアハド・ハアムなど)
- 文化シオニズム cultural Zionism (近代はマルティン・ブーバーなど)
- 国民宗教党(マフダル) Miphlāghāh dhāthīth-lə’ummīth, MaPhDaL
- バアル・テシューバー運動 Ba‘al Təšūbhāh
- アイシュ・ハ=トーラー Aish HaTorah
- ナショナル・ジューイッシュ・アウトリーチ・プログラム(教化プログラム) National Jewish Outreach Program
- ハレディーム
- 保守派ユダヤ教
- 保守派ユダヤ教シナゴーグ連合 United Synagogue of Conservative Judaism
- マーソルティー(伝統派)
- ヒューマニスティック・ジュダイズム Humanistic Judaism
- 改革派ユダヤ教
- 改革派ユダヤ教の連合 en:Union for Reform Judaism
- 再建派ユダヤ教
- ユダヤ教復興(ジューイッシュ・リニューアル) Jewish Renewal
- ネオ・ハシディズム Neo Hasidism
- ファラシャのユダヤ教
- ヘレニズム的ユダヤ教 Hellenistic Judaism
- ネオ・ジュダイズム Neo Judaism
- サンニカンドロ San Nicandro (ユダヤ教に改宗したイタリア人キリスト教徒の一派)QUESTO SITO PUO Area Geografica di Attività
- アバユダヤ Abayudaya(改宗ウガンダ人)、ミゾ Mizo(改宗者)、ブラック・ジュー参照
- サマリア教 Samaritanism - 現在ユダヤ教の一派となっている。サマリア人参照。
- ノアヒディズム Noahidism(ノアの法 Noahide Laws参照)
派生した思想・組織
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ユダヤ=キリスト教徒
ユダヤ教・キリスト教に共通の信条・教義を認める人々(Judeo-Christian, Judeochristianity)。ユダヤ教からの視点では、キリスト教は行動・行為の実践よりも信仰を重視するものが多く、イエスをメシアとする、原罪、贖罪、再臨信仰などの三要素ほか、さまざまな点において、ユダヤ教との違いが指摘される(教祖をメシアとするキリスト教的にも異端とされる物を含む)。
- エビオン派 Ebionites
- エルカス派 Elkasites
- ナザレ派→イエスの死後キリスト教として分離
- イエスのためのユダヤ人(イエスのためのユダヤ人運動)Jews for Jesus(原理主義的発想はユダヤ教には馴染まないとして、ユダヤ人の間から批判されている)
- メシアニック・ジュダイズム(ユダヤ教の伝統を保ちながらイエスをメシヤと信じる信仰。正統派からは異端視されている)
- メシアニック・リニュード・ジュダイズム
- ユダヤ人キリスト教徒
- キリスト再臨論 Adventism
- キリスト=イスラム伝統 Christo-Islamic
ユダヤ=イスラム伝統
イスラムは、キリスト教と違って正しい信仰より正しい行動を重視し、割礼やイスラム法と司法律法、カシュルートとハラールなどで共通点と持つ。二つの伝統の間に位置する人々もいる(Judeo-Islamic)。
- シャブタイ派 Sabbatianism(ユダヤ教の中のメシア運動)
- デンメ派 Dönmeh(もとシャブタイ派の隠れユダヤ教徒)
- ムスリム・ユダヤ人 Muslim Jew
- ジューズ・フォー・アッラー Jews for Allah
隠れユダヤ教徒 (クリプト・ユダヤ)
弾圧などによってユダヤ教の信仰を密かに続けてきた人々(Crypto-Judaism)。
ユダヤ仏教徒とユダヤ=ヒンドゥー教徒
7つの戒めとは、タルムードの記載によれば神がノアを通じて全人類に与えたものといわれる七つの戒めのことである。7つの戒めを守ろう道もユダヤ教並の神へ帰る道であるとされる。
ユダヤ戒律を破らずにいれば、ユダヤ教と他の宗教を習合することができるとされる。たとえばユダヤ仏教、ユダヤ=ヒンドゥー教などがある。
注釈
- ^ ラテン文字転記:Yahadut、仮名文字転記:ヤハドゥート
- ^ 「ユダヤ教をヘブライ聖書と結び付けようとする試みは、ハラハーとは無関係であり … ルター主義的であって、ユダヤ教的ではない。イスラエルは聖典によって生活したこともなければ、そうしようとしたこともなく、そのように考えられたこともなかった …」とイェシャヤフ・レイボヴィッツ Yeshayahu Leibowitz はいう[1]。
- ^ 例えばイスラエル国においてロシア系移民の改宗手続きをする場合、440時間を費やすので、一日2時間勉強しても最低7ヶ月かかる。
- ^ コングリゲイション Congregation とは集会・会衆・宗派の意味、ユダヤ教では全ユダヤ教徒(イスラエル人)の意味も持つ。キリスト教ではキリスト教全体、カトリックでは聖省、修道会、修族、英国の会衆派教会などの意味。ユダヤ教では、シナゴーグにこの名前が使われることもある。
出典
- ^ Judaism, Human Values and the Jewish State, ed. E. Goldman (Cambridge MA, 1992) , p11
- ^ 『創世記』
- ^ 『イザヤ書』56章
- ^ 『ユダヤ5000年の知恵』 マーヴィン・トケイヤー ISBN 978-4408395746[要ページ番号]
- ^ “Niddah 45a:9”. Sefaria. 2019年12月21日閲覧。
- ^ a b ニッダー 2007, p. 184.
- ^ “Sanhedrin 55b:4”. Sefaria. 2019年12月21日閲覧。
- ^ ニッダー 2007, p. 185.
- ^ ニッダー 2007, pp. 185–186.
- ^ 三好迪 訳『タルムード ナシームの巻 ケトゥボート篇』三貴、1994年、33頁。
- ^ 宇佐美公史 訳『タルムード ネズィキーンの巻 アヴォダー・ザラー篇』三貴、2006年、157頁。
- ^ “Avodah Zarah 37a”. Sefaria. 2019年12月17日閲覧。
- ^ ニッダー 2007, p. 186.
- ^ “Sanhedrin 55b:10”. Sefaria. 2022年3月28日閲覧。
- ^ “DIDASCALIA - JewishEncyclopedia.com”. www.jewishencyclopedia.com. 2023年5月28日閲覧。
- ^ “イスラエル基礎データ”. 日本国外務省 (2018年7月5日). 2019年3月4日閲覧。
- ^ 臼杵陽『イスラエル』岩波書店〈岩波新書〉、2009年4月、96-97頁。
- ^ イスラエル外務省 2010, p. 145.
- ^ イスラエル外務省 2010, p. 137.
- ^ “超正統派ユダヤ教徒も兵役/イスラエル、17年から”. 四国新聞社 SHIKOKU NEWS. (2014年3月12日) 2019年3月4日閲覧。
- ^ イスラエル外務省 2010, p. 135.
ユダヤ教と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
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