メタルヒーローシリーズ メタルヒーローシリーズの概要

メタルヒーローシリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/26 10:57 UTC 版)

概要

「メタルヒーロー」とは、主人公がおおむね光沢のある金属質のボディを持った連続する作品群であることから、ファンから便宜的に呼称されたのが始まりであり、後に制作サイドもこの名称を用いるようになった[1][注釈 1]。当初は作品名と同じ名前を持つ主人公単独のヒーロー物であったが、『特警ウインスペクター』以降は集団ヒーロー物となり、『ビーロボカブタック』と『テツワン探偵ロボタック』はコミカルな要素が強い作風になっている。主人公の多くが警察などの公的組織に所属しており、職業として活動を行っている場合が多い。

公式には『宇宙刑事ギャバン』(1982年)から『テツワン探偵ロボタック』(1998年)までの17作品がメタルヒーローとされている[注釈 2]。その一方で『ビーファイターカブト』までとは作風が異なる『ビーロボカブタック』および『テツワン探偵ロボタック』をメタルヒーローに含まないという見解も存在する[注釈 3][注釈 4]

放送当時は明確なシリーズものとしてはアナウンスされていなかったため、シリーズとして扱っていない書籍も多い[注釈 5]。また、一部の作品のヒーローは金属質ではないボディを持っており、その1つである『世界忍者戦ジライヤ』は過去にバンダイから販売されたメタルヒーローの総集編ビデオにも収録されないなど、一時期はメタルヒーローとして扱われていなかった[注釈 6]

シリーズ初期の数年間は、ウルトラシリーズ円谷プロダクション)や仮面ライダーシリーズ(東映)など有力な特撮作品が休止されていた時期とも重なっている。また、それら旧来の特撮作品や継続中だったスーパー戦隊シリーズ、そして本作品とほぼ同時期に新設された東映不思議コメディーシリーズ(共に東映)とは差別化されたヒーロー像や番組のスタイルを構築していた。そういった背景もあって一時期は多くのファンを獲得し、日本の特撮ヒーロー番組を代表するシリーズの1つとなった。本シリーズのレギュラー放送が終了して久しいが、21世紀に入ってスーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズとのクロスオーバー作品や単独作品の映画が制作されていることもあり、知名度は今も衰えていない。

世界観

前述のようにシリーズ全体に共通する要素は少ないが、その一方でいくつかの作品では世界観の共有も見られる(以下例)。

宇宙刑事シリーズ」(『宇宙刑事ギャバン』『宇宙刑事シャリバン』『宇宙刑事シャイダー』)
別作品の主人公がゲスト出演する他[注釈 7]、大山小次郎・星野月子・コム長官など共通するキャラクターが登場。
レスキューポリスシリーズ」(『特警ウインスペクター』『特救指令ソルブレイン』『特捜エクシードラフト』)
別作品の主人公がゲスト出演する他、正木俊介など共通するキャラクターが登場。『特捜エクシードラフト』は当初、前2作と別の世界観で制作されていた。
ビーファイターシリーズ」(『重甲ビーファイター』『ビーファイターカブト』)
別作品の主人公がゲスト出演する他、老師グルなど共通するキャラクターが登場。

世界観の共有こそ明言されていないものの、シリーズ中の異なる作品の登場人物が競演することもある(以下例)。

世界忍者戦ジライヤ』と『機動刑事ジバン
『機動刑事ジバン』31話に『世界忍者戦ジライヤ』のレギュラーキャラクター・山地学が登場する。
特捜ロボ ジャンパーソン』と『ブルースワット』と『重甲ビーファイター』
『重甲ビーファイター』の最終回特番(52話と最終話)にて、3作品の主人公たちが競演する。
「ビーファイターシリーズ」と『ビーロボカブタック
ビーロボカブタック クリスマス大決戦!!』で人形が実体化する形で「ビーファイターシリーズ」の主人公が登場。
『ビーロボカブタック』と『テツワン探偵ロボタック
テツワン探偵ロボタック&カブタック 不思議の国の大冒険』でカブタックとロボタックが共演。ただし、テレビシリーズとは異なるパラレルワールドを舞台とした作品。

またシリーズ終了後、主に「宇宙刑事シリーズ」がスーパー戦隊シリーズとのクロスオーバーを頻繁に行っている(以下例)。

海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE
本シリーズの30周年記念を兼ねる形で、初代の宇宙刑事ギャバンが、スーパー戦隊シリーズ第35作『海賊戦隊ゴーカイジャー』と共演。『宇宙刑事ギャバン THE NOVEL』でも存在が語られている。
特命戦隊ゴーバスターズ
スーパー戦隊シリーズ第36作。テレビシリーズ第31・32話で2代目ギャバンと共演したほか、「テレビマガジン」(同年10月号付録DVD)では初代ギャバンと共演。
仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z
2代目ギャバンを始めとするメタルヒーローが、スーパー戦隊シリーズ第37作『獣電戦隊キョウリュウジャー』や、平成仮面ライダーシリーズ第14作『仮面ライダーウィザード』など、複数の戦隊や仮面ライダーと共演。また作中ではゴーカイジャーが一部メタルヒーローに変身するシーンもある。
手裏剣戦隊ニンニンジャー
スーパー戦隊シリーズ39作。テレビシリーズ第34話にて、『世界忍者戦ジライヤ』の主人公ジライヤこと山地闘破が登場。
スペース・スクワッド
宇宙刑事シリーズと『特捜戦隊デカレンジャー』『宇宙戦隊キュウレンジャー』とのクロスオーバー作品。その他のメタルヒーローシリーズからのキャラクターも登場。

注釈

  1. ^ シリーズ名が固定される以前は、「ハイテクヒーローシリーズ」という名称も用いられていた[1]
  2. ^ 17作品の正副主題歌が収録されている「Shining Spirits 〜メタルヒーロー全主題歌集〜」や、同様にこれらの作品を網羅した「宇宙刑事年代記」(徳間書店刊)などのムック本、それにカードゲームレンジャーズストライクは、この公式見解に基づいたものとなっている。
  3. ^ 宇宙刑事シリーズの公式書籍『宇宙刑事大全』では『ビーファイターカブト』が最後のメタルヒーローと記述しているほか、『スーパーヒーロー大戦Z』の公式サイトやパンフレットでもこの2作品は除外されている。『全怪獣怪人大事典 中巻』では、『「メタルヒーローシリーズ」の解説を『ビーファイターカブト』までとし、『カブタック』および『ロボタック』を「ファミリー特撮の世界」で解説している[2]
  4. ^ 本シリーズの作品の多くを手掛けたバンダイのデザイナーである村上克司は、自身の中にメタルヒーローシリーズという括りの概念はないと述べている[3]
  5. ^ 勁文社より発売された書籍「ケイブンシャの大百科シリーズ」では、放送中の番組を扱った書籍は発売時点での内容までしか掲載されていないが、スーパー戦隊シリーズでは翌年度の作品の大百科に前年度の未掲載分のストーリーが記載されていたのに対し、『巨獣特捜ジャスピオン大百科』から『特警ウインスペクター大百科』ではスーパー戦隊シリーズのようなフォローはされていなかった[1]
  6. ^ 書籍『超人画報』では、個別の作品紹介には『ジライヤ』もメタルヒーローと記述しているが、「東映メタルヒーロー13年史」には『ジライヤ』を含めていない[4]
  7. ^ 以下の例と同様に過去作の主人公が登場した以外に、『宇宙刑事ギャバン』では次作の主人公が先行登場している。
  8. ^ 宇宙刑事シリーズ、『ジャスピオン』35話以前は同局含め県内未放送。放送開始から『機動刑事ジバン』第9話までは同時ネット、同作品の第10話から『特救指令ソルブレイン』までは放送時間は変わらず9:30に時差ネット。
  9. ^ 重甲ビーファイター』まで放送。
  10. ^ ビーファイターカブト』は第31話から放送。第1話から第30話までは岩手県では未ネット。
  11. ^ 火曜17時28分から遅れネット
  12. ^ フジテレビ系列局時代からの自社制作番組『提言の広場』を放送していた関係で遅れネット。この措置は『仮面ライダーディケイド』放送期間中の2009年3月まで続いた。
  13. ^ 日曜8:00より「住まいの110番」を放送のため、1週遅れで日曜7:30 - 8:00に放送していた。(この措置は2009年の『仮面ライダーディケイド』の放送期間中まで続いた)
  14. ^ 前述の通り、日曜朝時代は夏の高校野球中継と重なった日は、試合当日の放送を休止する措置が取られた。
  15. ^ 金曜夜時代は、週によってはプロ野球広島東洋カープ主催ゲームの中継のため、遅れネットとなることがあった。また『機動刑事ジバン』が日曜8:00に移動した際、以前から同時間帯にて自社制作ドキュメンタリー番組『新・ふれあいシリーズ』(広島ホームテレビと関係が深い農協・広島県経済連〔現:JAグループ広島〕の一社提供)が放送されていた都合上、土曜7:00からの1週遅れネットとなっていたが、1989年10月の改編で同番組が終了したのに伴い、同時ネットへと移行した。
  16. ^ 宇宙刑事シャリバン』の途中で一旦打ち切り、『機動刑事ジバン』から放送再開、『ブルースワット』まで放送した。
  17. ^ 時空戦士スピルバン』まで放送。
  18. ^ 1999年にこの流れで『燃えろ!!ロボコンVSがんばれ!!ロボコン』が発売されている。
  19. ^ 昭和仮面ライダーシリーズの『仮面ライダーBLACK』と『仮面ライダーBLACK RX』でも、同様のアイキャッチ演出が用いられた。
  20. ^ ビーファイター』のみ番組タイトルロゴ。

出典

  1. ^ a b c 黒澤哲哉 2014, p. 114, 「コラム メタルヒーロー物大百科、非情の連鎖に泣く」
  2. ^ 全怪獣怪人大事典』 中巻、英知出版、2003年4月20日、152-193頁。ISBN 4-7542-2017-X 
  3. ^ 奇怪千蛮 2017, pp. 188–189, 取材・執筆 高坂雄貴、山崎優「DESIGNER INTERVIEW_06 村上克司」
  4. ^ 竹書房/イオン編 編 『超人画報 国産架空ヒーロー40年の歩み』竹書房、1995年11月30日、26 - 27、188頁。ISBN 4-88475-874-9。C0076。 
  5. ^ 『山形新聞縮刷版』平成5年3月、810頁、1993年3月30日『山形新聞』朝刊20面(山形新聞社
  6. ^ 『山形新聞縮刷版』平成5年4月、46頁、1993年4月2日『山形新聞』朝刊18面(山形新聞社)。
  7. ^ 北國新聞 1985年9月25日付朝刊テレビ欄
  8. ^ 北國新聞 1985年10月23日付朝刊テレビ欄
  9. ^ 青柳宇井郎、赤星政尚「第9章 空想世界へ誘う合成技術の不思議 81|まばゆい光線技は地道な作業の賜物だった!?」『懐かしのヒーロー ウルトラマン特撮99の謎』二見書房、1994年3月25日、ISBN 4-576-94039-2、268頁。






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