マンボウ マンボウの概要

マンボウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/11/24 05:01 UTC 版)

マンボウ
マンボウ
マンボウ Mola mola
保全状況評価[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 VU.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: フグ目 Tetraodontiformes
亜目 : フグ亜目 Tetraodontoidei
: マンボウ科 Molidae
: マンボウ属 Mola
: マンボウ M. mola
学名
Mola mola (Linnaeus, 1758)[1]
シノニム

Tetraodon mola Linnaeus, 1758[1]

英名
Ocean sunfish[1]

ウオノタユウ(瀬戸内海)、ウキ、ウキギ、ウキキ(浮木)(以上東北地方)、マンザイラク(神奈川)、マンボウザメなど多数の地方名で呼ばれる。英語名はオーシャンサンフィッシュ (ocean sunfish) だが、ブルーギルなどを含むスズキ目サンフィッシュ科とは関係がない。

形態

最大全長333センチメートル[1]。体重2.3トン[1]。ただし、後述のとおり、大型の個体はウシマンボウである可能性がある。世界最大の硬骨魚のひとつである。体は側面から見ると円盤型、正面から見ると紡錘形をしている。背びれと尻びれは長く発達し、体の後部から上下に突き出しているが、多くの魚が持つ尾びれと腹びれは持たない。体の後端にある尾びれのような部分は、背びれと尻びれの一部が変形したもので、舵びれあるいは橋尾とも呼ばれる[2][3]。泳ぐときは背びれと尻びれをパタパタとはばたかせ、舵びれあるいは橋尾で舵をとる。このとき、背びれと尻びれを同調させ、対称に動かしている[4]

フグ目に属し、同目に特徴的な丸い目、小さな口、鳥のくちばしのような板状の歯、小さな穴状のエラ穴を持つ。腹びれと肋骨を持たないのも同目の特徴である。

皮膚は厚く粘液で覆われるとともに、おびただしい量の寄生虫が付着している[5]。なお、皮膚は非常に弱く、飼育下では水槽壁面への衝突などでもたやすく傷付くほど。 ただし、インターネット上でミームとして拡散されているほど弱くはない。[6]

分類

近年、従来同一種に属すると考えられてきた日本近海に現れるマンボウが、種レベルで遺伝的距離が遠い2つの集団に分けられることが分かってきた[7]。一方は主に東日本太平洋岸で捕獲される全長3 m前後の大型個体で、他方は九州から北海道に至る太平洋、日本海で捕獲される全長1m以下から3m近くの個体である。2010年には、このうちの前者をウシマンボウという標準和名で呼び、後者を従来のマンボウという標準和名で呼ぶことが提唱されている[8][9]

生態

水面下に体を横たえるマンボウ
マンボウの稚魚。体に多数のとげを持つ

全世界の熱帯温帯の海に広く分布する。外洋の表層で浮遊生活をしていると考えられてきたが、近年の研究によりマンボウの生息の場は深海にまで及んでおり、海上で見せる姿は生態の一部にすぎないことがわかってきた。発信機をつけた追跡調査で、マンボウは生息水深を一定させず、表層から水深800m程度までの間を往復していることが明らかにされている[10]。25%程度の時間を表層で過ごす個体がいる一方、別の個体は水深200m以深の深海にいる時間が長かった。水温の変化に影響を受けている可能性が考えられているが、外洋に生息する魚だけに生態はまだ謎が多く、詳しい調査が待たれる。

マンボウはクラゲ動物プランクトンを食べるということは知られているが、胃内容物からは深海性のイカエビなどの残骸も発見されている。これまでマンボウは海中を受動的に漂っているだけと考えられることが多かったが、これらの餌を捕食するにはある程度の遊泳力が必要となる。近年、音響遠隔測定による調査で、マンボウは海流に逆らって移動し得るだけの遊泳力を持つことが示されている[5]

時折海面にからだを横たえた姿のマンボウが観察されることがあり、丸い体が浮かんでいる様が太陽のようであることから sunfish という英名がついた。この行動はカモメなどの海鳥に寄生虫を取ってもらうため、あるいは日光浴による殺菌が目的ではないかと考えられている。マンボウは勢いをつけて海面からジャンプすることもあり[11]、これも寄生虫を振り落とすためである可能性がある[5]

マンボウのメスが一度に産むの数は3億個に達するともいわれ、最も多く卵を産む脊椎動物とされる。卵は親に保護されることもなく海中を浮遊しながら発生するため、ほとんどが他の動物に食べられてしまい、成長できるのはごくわずかである。孵化した稚魚は全身にとげがあり、成魚とは似つかない金平糖のような姿をしている[12]。一時的にとげが長くなりハリセンボンのようにもなるが、成長するにつれとげは短くなり、マンボウ独特の姿に変わってゆく。

また、全長40cm程度の若いマンボウが群れを作ることも報告されている[13]


  1. ^ a b c d e f g h i j Jing, L., Zapfe, G., Shao, K.-T., Leis, J.L., Matsuura, K., Hardy, G., Liu, M., Robertson, R. & Tyler, J. 2015. Mola mola. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T190422A1951231. . Downloaded on 20 November 2015.
    Rijnsdorp, A.D. & Papakonstantinou, C. 2015. Mola mola. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T190422A45141101. . Downloaded on 20 November 2015.
    Di Natale, A., Massuti, E., Oral, M., Kada, O., Golani, D. & Bilecenoglu, M. 2011. Mola mola. The IUCN Red List of Threatened Species 2011: e.T190422A8793012. . Downloaded on 20 November 2015.
    Tyler, J., Perez-Espana, H., Robertson, R. & Vega-Cendejas, M. 2015. Mola mola. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T190422A77281263. . Downloaded on 20 November 2015.
  2. ^ 『日本の海水魚』、p.718。
  3. ^ 矢野衛 「魚類の多様性と系統分類」『脊椎動物の多様性と系統』、p.52。
  4. ^ Watanabe, Y; Sato, K (2008). "Functional dorsoventral symmetry in relation to lift-based swimming in the ocean sunfish Mola mola". PloS ONE 3 (10): e3446. doi:10.1371/journal.pone.0003446. 
  5. ^ a b c Mola mola program: life history”. Large Pelagics Research Lab. 2011年8月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年1月28日閲覧。
  6. ^ 「ジャンプして着水するとマンボウは死ぬ」って本当!? 水族館に聞いてみた”. 2015年11月24日閲覧。
  7. ^ 日本周辺海域に出現するマンボウMola molaにみとめられた2つの集団 (PDF) 相良恒太郎他、魚類学雑誌 52(1): 35-39
  8. ^ マルチプレックスPCR 法を用いた日本産マンボウ属2種のミトコンドリアDNAの簡易識別法 (PDF) 山野上祐介他、魚類学雑誌 57(1): 27-34
  9. ^ 日本産魚類検索全種の同定 第三版の情報 日本魚類学会
  10. ^ Mola mola program: research results”. Large Pelagics Research Lab. 2011年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年1月28日閲覧。
  11. ^ 学者によれば「大きなマンボウなら確実に1m以上はジャンプできる」という。
  12. ^ 『動物分類学』、p.27。
  13. ^ Abe, Takuzo and Sekiguchi, Keiko and Onishi, Hiroji and Muramatsu, Kota and Kamito, Takehiko (2012). "Observations on a school of ocean sunfish and evidence for a symbiotic cleaning association with albatrosses". Marine biology 159 (5): 1173–1176. 
  14. ^ Mola mola program: fishery”. Large Pelagics Research Lab. 2011年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年1月28日閲覧。
  15. ^ a b 村井貴史 「マンボウの飼育展示」『以布利 黒潮の魚』、pp.36-37。


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