マメ科 マメ科の概要

マメ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/09 05:00 UTC 版)

マメ科
Fabaceae
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ類 fabids
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
学名
Fabaceae Lindl. (1836) nom. cons. [1]
Leguminosae Juss. (1789) nom. alt. [1]
亜科

マメ科・ネムノキ科ジャケツイバラ科に3分する説もあったが、ジャケツイバラ科が他の2科を内包する側系統であり、系統的には否定された。

形態

マメ科は草本、木本のいずれも含む。草本となる種は寒帯にまで分布するが、木本となる種は温帯や熱帯に多い。

羽状複葉になるものが多い。また「就眠運動(夜になると葉柄小葉の根元(葉枕)で折れ曲がり葉が閉じること)」をするものもある。この就眠運動は光量による起因ではなく体内時計によるもので一定の時刻が訪れれば光量に関係なく就眠運動を起こすことが、ネムノキに光を当て続ける実験により判明している。オジギソウでは触れただけで同じような運動を起こす。托葉があり、葉と同様に大きくなるもの(エンドウ)、蜜腺になるもの(ヤハズエンドウ)、とげになるもの(ハリエンジュ)などもある。

マメ科は花の形が大きく異なる3グループがあり、亜科単位として分かれるという説が昔から分類学上で多くの研究者に支持されている。3亜科はジャケツイバラ亜科ネムノキ亜科マメ亜科と呼ばれる。

特にマメ亜科の花は独特の形を持っており蝶形花という。花は両性花(1つの花に雄蕊と雌蕊を両方持つ)が多いが、雌雄同株(雄蕊だけを付ける雄花と雌蕊だけを付ける雌花が同じ株にできる)のものや雌雄異株(雄株と雌株が別々のもの)なども知られる。花粉は一般に虫によって媒介される虫媒花であるが、鳥媒花のものも知られる。

果実はどの亜科であっても一般に想像する豆の鞘のような細長い形であり、鞘の中には種子が1列に並んで入っている。

マメ科の種子は栄養を胚乳ではなく子葉に蓄えており、胚乳は存在しない。発芽の際には子葉を地中に残すタイプ(英:hypogeal)を取る種が多いが、ダイズやルピナスのように子葉を地上に出すタイプ(英:epigeal)も知られている。

生態

一部のマメ科植物は根粒もしくはに茎粒を持ち、根粒菌という細菌が共生している。根粒菌は植物からリンゴ酸などの効率のいい栄養分をもらって生活の場を提供して貰う代わりに、大気中の窒素を植物にとって使いやすい硝酸塩に転換(窒素固定)する。窒素は植物にとって必須元素であり、肥料として取り入れる成分の一つであるが、豊富に存在する気体窒素は自然界では一部の細菌と雷などでしか使用可能形態に転換できない。特に根粒ではその能力が高いため、それを持つ植物は自ら肥料を作ることのできることになり、そのような植物はやせている土地でもよく育つものが多い。帰化植物にはマメ科のものが多い。これは上記のように荒れ地でよく育つものが多いことも理由の一つであると考えられる。

ただしルピナス属など一部では根粒を形成せずに、クラスター根(英:cluster root)と呼ばれるブラシ状に変形した根を付ける(この根は特に必須栄養素であるリンが欠乏した状態で出現しやすいといわれる。)この根は一般の根よりも有機酸の分泌能力に優れ、土壌中に存在するが植物が利用できない栄養素(特にリンとが注目されている)を溶解し吸収しやすくすることで、貧栄養地における植物の生育を助けていると考えられている。同じような働きをする根はヤマモガシ科(学名 Proteceae)で広く見られたことから、同科の学名より当初はプロテオイド根(英:proteoid root)と呼ばれていたが、後にルピナス類を含むマメ科やヤマモモ科クワ科モクマオウ科に属する一部の種にも同じ目的で同じような形態に根を変化させるものが知られるようになったので、根の形態的特徴よりクラスター根(英:cluster root)と名前が変更された。


  1. ^ a b c APG II (2003)
  2. ^ a b c Stevens, P. F. (2001 onwards). “Fabaceae”. Angiosperm Phylogeny Website Version 12, July 2012 [and more or less continuously updated since]. 2012年8月20日閲覧。
  3. ^ Watson, L., and Dallwitz, M.J. (1992 onwards). “Leguminosae Juss.”. The families of flowering plants: descriptions, illustrations, identification, and information retrieval. Version: 18th May 2012. 2012年8月20日閲覧。
  4. ^ APG III (2009)
  5. ^ Bruneau, Anne; Forest; Herendeen, Patrick S.; Klitgaard, Bente B.; Lewis, Gwilym P. (2001), “Phylogenetic Relationships in the Caesalpinioideae (Leguminosae) as Inferred from Chloroplast trnL Intron Sequences”, Systematic Botany 26 (3): 487-514 
  6. ^ Cardoso, D.; Pennington, R.T.; de Queiroz, L.P.; Boatwright, J.S.; Van Wykd, B.-E.; Wojciechowskie, M.F3; Lavin, M. (2013). “Reconstructing the deep-branching relationships of the papilionoid legumes”. S. Afr. J. Bot. 89: 58–75. doi:10.1016/j.sajb.2013.05.001. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0254629913002585. 


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