マダニ マダニの概要

マダニ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/05/28 17:15 UTC 版)

マダニ
Adult deer tick.jpg
シカのマダニ
Ixodes scapularis
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 鋏角亜門 Chelicerata
: クモ綱 Arachnida
: ダニ目 Acari
亜目 : マダニ亜目 Ixodoidea
: マダニ科 Ixodidae
英名
Tick

本文参照

英語では、大型の吸血性のダニであるマダニ類をtick、それ以外の小型のダニをmiteという[1]

特徴

マダニはハーラー器官と呼ばれる感覚器を持ち、これらによって哺乳類から発せられる二酸化炭素の匂いや体温、体臭、物理的振動などに反応して、草の上などから生物の上に飛び降り吸血行為を行う。その吸血行為によって、体は大きく膨れあがる[2]

マダニ科の特徴の1つに背板の存在があげられる。これは胴部の背面に存在する外皮を覆う硬い組織である。これを持つことにより、マダニ科のダニは硬ダニ (hard-tick) と呼ばれる。一方でヒメダニ科のダニは背板を持たず、外皮が柔らかいため軟ダニ (soft-tick) と呼ばれる[1]

寄生の様式

マダニの吸血は吸血昆虫のそれとはまったく異なる。吸血昆虫の吸血は「刺す」ことによる。つまり、口吻が針状であり、これを血管に直接刺し入れることで吸血を行うのである。対してマダニの吸血は「噛む」ことによる。マダニの口器は鋏のような形状をしており、これにより皮膚を切り裂く。さらに、口下片と呼ばれるギザギザの歯を刺し入れて、宿主と連結し、皮下に形成された血液プールから血液を摂取する[2]

この時、マダニは口下片から様々な生理的効果のある因子を含む唾液を宿主体内に分泌し、吸血を維持している。また、フタトゲチマダニ等をはじめとした、マダニ属、キララマダニ属以外のマダニは、口下片を唾液に含まれるセメントの様な物質で包むことで連結を強固にしている[2]

このような吸血方式の違いのためマダニの吸血時間は極めて長く、雌成虫の場合は6~10日に達する。この間に約1mlに及ぶ大量の血液を吸血することができる[2]

季節消長

マダニ科のダニは長期の活動停止期を持つことが知られる。例として日本に広く分布しているフタトゲチマダニをあげる。フタトゲチマダニの幼虫は夏から秋にかけて活動が見られるが、次の発育段階に当たる若虫は春から夏に活動し、秋以降に活動が見られない。また、成虫は夏に活動のピークを持ち、秋以降はみられない。幼虫が秋まで活動しているのに、秋以降に若虫の活動が認められず、また若虫が春から夏にかけて活動しているのに、成虫が秋以降にみられないのは不自然であり、各発育段階において秋から春にかけて活動が停止している。

これはマダニが発育段階の間に休眠をとることから説明される。吸血を行ったダニは脱皮を経て次の発育段階へ進むが、この時に長期の休眠を行うのである。休眠行動はマダニ科のダニでも種によって、時期や期間、さらには休眠の有無が異なることが知られる。この休眠行動は日長の変化により支配されると考えられており、発育に適した時期と吸血行動の同調や、高温や低温に対する抵抗性の獲得に役立っていると考えられている[3]

分類

マダニ科は14の属と702種から構成される[4]。この中にはボレリアやリケッチアのベクターとして経済的に重要なものが含まれる[5]

マダニ科には以下の属が含まれる:


  1. ^ a b c d e 『最新家畜寄生虫病学』 今井壯一・板垣 匡・藤崎幸藏 編、板垣博・大石勇 監修、朝倉書店2007年ISBN 978-4254460278
  2. ^ a b c d 佐伯英治 「マダニの生物学」 (PDF)、『動薬研究』 (バイエル薬品株式会社) 第57巻第5号13-21頁、1988年http://www.bayer-pet.jp/vet/research_pdf/nomi_madani_57c.pdf2013年4月18日閲覧 
  3. ^ 青木淳一編 『ダニの生物学』 東京大学出版、2001年12月5日、92-108頁。ISBN 4130602101 
  4. ^ Alberto A. Guglielmone, Richard G. Robbing, Dmitry A. Apanaskevich, Trevor N. Petney, Agustín Estrada-Peña, Ivan G. Horak, Renfu Shao & Stephen C. Barker (2010). “The Argasidae, Ixodidae and Nuttalliellidae (Acari: Ixodida) of the world: a list of valid species names” (PDF). Zootaxa 2528: 1–28. http://www.mapress.com/zootaxa/2010/f/z02528p028f.pdf. 
  5. ^ D. H. Molyneux (1993). “Vectors”. In Francis E. G. Cox. Modern parasitology: a textbook of parasitology (2nd ed.). Wiley-Blackwell. pp. 53–74. ISBN 978-0-632-02585-5. http://books.google.co.uk/books?id=jj18axV3TTAC&pg=PA6. 
  6. ^ SFTSウイルス女性が感染、死亡…国内初、ダニが媒介”. 毎日新聞 (2013年1月30日). 2013年2月4日閲覧。
  7. ^ 見えてきた新ダニ媒介感染症の臨床像 日経メディカルオンライン 記事:2013年4月4日 閲覧:2013年4月5日
  8. ^ 産経新聞 朝刊記事:2014年2月25日
  9. ^ 2014年05月23日付 西日本新聞朝刊
  10. ^ リケッチア感染症(日本紅班熱)”. 和歌山市感染症情報センター. 2013年2月11日閲覧。
  11. ^ ライム病とは


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