ボツワナ 交通

ボツワナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 03:19 UTC 版)

交通

国内

エア・ボツワナATR42型機

国内には路線バス航空機による路線網が整備されている。なお、路線バスや航空網の整備と比べて、国内の鉄道網は余り整備されていないものの、近隣諸国間との国際列車が運行されている。

自家用自動車の普及率が高い上、都市部の道路整備は進んでいるものの、高速道路網の整備は都市部以外に進んでいない。なお、旧宗主国のイギリスや日本同様左側通行である。

国際

ハボローネやマウンなどの複数の都市に国際定期便が乗り入れており、ハボローネのセレツェカーマ国際空港と南アフリカ共和国のヨハネスブルグや、ケニアナイロビの間には頻繁に定期便が運航されている。さらに、隣国の南アフリカ共和国やジンバブエとの間には国際列車や定期長距離バスが頻繁に運行されている。

また、現在日本との間には直行便は運航されていないが、ヨーロッパの各都市や南アフリカ共和国からフラッグ・キャリアエア・ボツワナなどの定期便でハボローネへ入る事が一般的である。

国民

南部アフリカ地域の平均寿命の推移(赤がボツワナ)。エイズの蔓延により、1990年代にかけて平均寿命が低下している。

人口

ボツワナの人口は、独立前の1961年に33万2000人だった[32]ものが1986年には113万人[33]、2017年には229万人にまで増加した[34]

民族

もともとコイサン語族に属する言語を話す人々が住んでいたが、17世紀半ば南部の現在の南アフリカより移動してきたツワナ人が支配した。コイサン系の言語を用いる人々の人口は少ないが現在も国内各地に住んでいる。

彼らは従来、狩猟採集などの移動生活をしていたが、現在では国による定住政策がかなり進み以前のような生活をしている人は少ない。この国の人口の約79%をツワナ人が占め、ショナ系のカランガ人が11%他にはツワナ人からバサルワと呼ばれるサン人(グイ、ガナ、3%)、ツワナ系だが少数派のカラハリ人と白人などが7%住んでいる[35]

言語

公用語英語(話者2.1%)である。一般にツワナ語 (78.2%)、ショナ系のカランガ語 (7.9%)、ツワナ系のカラハリ語 (2.8%)、その他 (8.6%) が使われており、不明が0.4%[35]

宗教

伝統信仰とキリスト教がそれぞれ半分程度である。

保健

かつてはエイズ (HIV/AIDS) 感染率が世界最高(2000年の調査で成人の38.8%)となっていた。政府は、国の歳入の多くを失業対策とエイズ対策に注ぎこまざるを得ない状況である。かつてはアフリカで最も平均寿命が長い国の一つだったが、エイズが蔓延した影響で現在の平均寿命は50歳と非常に短い。政府のエイズ対策の結果、2001年をピークに感染率は減少しているが、2013年のデータで感染率21.9%(世界3位)と依然として高い[36]

なお、衛生状態は近隣諸国に比べて良く、水道水を飲むことも可能である。

婚姻

婚姻時に女性は、婚前姓をそのまま用いること(夫婦別姓)、夫の姓への改姓(夫婦同姓)、複合姓、夫の氏名に「Mrs.」を追加したものとする、のうちより選択することができる[37]

教育

ボツワナ政府が教育に力を入れている上に、安定した政治と経済を背景に、公立学校と国立学校、私立学校が全国規模で整備されている。2003年の推計によれば、15歳以上の国民の識字率は81.2%である[35]。これはアフリカ諸国だけでなく、世界でも高い方に分類される。主な高等教育機関としては、ボツワナ大学(1982年開校)が挙げられる。

文化

ツォディロ

文学

ボツワナの作家として、法律家でもあるユニティ・ダウ英語版や、南アフリカ出身のベッシー・ヘッドなどがいる。

音楽

世界遺産

ボツワナ国内には、ユネスコ世界遺産リストに登録された文化遺産自然遺産が各1件存在する。

祝祭日

日付 日本語表記 現地語表記 備考
1月1日-2日 元日
移動祝日 聖金曜日 3月 - 4月
移動祝日 復活祭後月曜日 3月 - 4月
5月1日 メーデー
移動祝日 主の昇天 復活祭の40日後
7月1日 サー・セレツェ・カーマの日 初代大統領の誕生日
7月第3月曜日 大統領の日
大統領の日の翌日 国民の休日 大統領の日とその翌日が休日となる
9月30日 独立記念日
10月1日 国民の休日 独立記念日とその翌日が休日となる
12月25日 クリスマス
12月26日 ボクシング・デー
祝日が日曜の場合は翌日が振替休日となる

  1. ^ a b UNdata”. 国連. 2022年8月19日閲覧。
  2. ^ a b c d e World Economic Outlook Database, October 2021” (英語). IMF (2021年10月). 2021年11月2日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h ボツワナ基礎データ | 外務省
  4. ^ ボツワナ共和国|東京都立図書館”. 東京都立図書館. 2023年9月30日閲覧。
  5. ^ 浦野義人「考古遺跡――今を生きる文化遺産」『ボツワナを知るための52章』池谷和信編著、明石書店〈エリア・スタディーズ99〉、東京、2012年5月31日、初版第1刷、192-197頁。
  6. ^ 池谷和信「首長国の誕生と変貌――19世紀のツワナ人」『ボツワナを知るための52章』池谷和信編著、明石書店〈エリア・スタディーズ99〉、東京、2012年5月31日、初版第1刷、202-206頁。
  7. ^ 池谷和信「アフリカーナーの移住とハンシーの牧場――カラハリ砂漠の白人マイノリティ」『ボツワナを知るための52章』池谷和信編著、明石書店〈エリア・スタディーズ99〉、東京、2012年5月31日、初版第1刷、213-216頁。
  8. ^ 北川勝彦「植民地化と鉄道建設――植民地分割に翻弄される内陸国」『ボツワナを知るための52章』池谷和信編著、明石書店〈エリア・スタディーズ99〉、東京、2012年5月31日、初版第1刷、207-208頁。
  9. ^ 北川勝彦「植民地化と鉄道建設――植民地分割に翻弄される内陸国」『ボツワナを知るための52章』池谷和信編著、明石書店〈エリア・スタディーズ99〉、東京、2012年5月31日、初版第1刷、208-209頁。
  10. ^ 北川勝彦「植民地化と鉄道建設――植民地分割に翻弄される内陸国」『ボツワナを知るための52章』池谷和信編著、明石書店〈エリア・スタディーズ99〉、東京、2012年5月31日、初版第1刷、209頁。
  11. ^ 北川勝彦「植民地化と鉄道建設――植民地分割に翻弄される内陸国」『ボツワナを知るための52章』池谷和信編著、明石書店〈エリア・スタディーズ99〉、東京、2012年5月31日、初版第1刷、210頁。
  12. ^ 北川勝彦「植民地化と鉄道建設――植民地分割に翻弄される内陸国」『ボツワナを知るための52章』池谷和信編著、明石書店〈エリア・スタディーズ99〉、東京、2012年5月31日、初版第1刷、210-211頁。
  13. ^ 星昭、林晃史『アフリカ現代史I──総説・南部アフリカ』 山川出版社〈世界現代史13〉、東京、1988年8月20日、初版第三刷、238頁。
  14. ^ 星昭、林晃史『アフリカ現代史I──総説・南部アフリカ』 山川出版社〈世界現代史13〉、東京、1988年8月20日、初版第三刷、238-239頁。
  15. ^ 鈴木哲夫/沼田安功「ボツワナにダイヤモンドあり――世界に誇るダイヤモンド生産国」『ボツワナを知るための52章』池谷和信編著、明石書店〈エリア・スタディーズ99〉、東京、2012年5月31日、初版第1刷、244-248頁。
  16. ^ 星昭、林晃史『アフリカ現代史I──総説・南部アフリカ』 山川出版社〈世界現代史13〉、東京、1988年8月20日、初版第三刷、239頁。
  17. ^ 門村浩「暑くて寒い気候」/ 池谷和信編著『ボツワナを知るための52章』 明石書店 2012年 28–29ページ
  18. ^ 「民主主義対民主主義 多数決型とコンセンサス型の36カ国比較研究(原著第2版)」p93 アレンド・レイプハルト著 粕谷祐子・菊池啓一訳 勁草書房 2014年6月20日原著第2版第1刷発行
  19. ^ 「民主主義対民主主義 多数決型とコンセンサス型の36カ国比較研究(原著第2版)」p113 アレンド・レイプハルト著 粕谷祐子・菊池啓一訳 勁草書房 2014年6月20日原著第2版第1刷発行
  20. ^ “サハラ以南アフリカ諸国、軍事費の透明性拡大”. 産経新聞. (2018年11月19日). https://www.sankei.com/article/20181119-EJDLJ4AQYBLCXFQHUL5XMPGRFU/ 2018年11月26日閲覧。 
  21. ^ a b c On the scene 現場を旅する(38)Caborone ハボローネ、国債格付け上位の国の現実『朝日新聞GLOBE』2013年1月6日~19日号(8面)。
  22. ^ ボツワナ発言を撤回、陳謝/平沼経産相四国新聞ニュース(2002年6月18日配信)2019年3月30日閲覧。
  23. ^ 朝日新聞』2012年11月7日朝刊24面
  24. ^ 在ボツワナ日本国大使館, 『日本経済新聞』2010年4月30日夕刊1面
  25. ^ Yonhap News Agency (2002). North Korea Handbook. Seoul: M. E. Sharpe. p. 967. ISBN 076-563-523-2  (英語)
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  27. ^ World Economic Outlook Database, October 2018” (英語). IMF (2018年10月). 2018年12月13日閲覧。
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  37. ^ What’s in a Female Doctor’s last name?, Weekend POST, 22 Jan, 2018.






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