ボタン (服飾) ボタン (服飾)の概要

ボタン (服飾)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/12 07:11 UTC 版)

カフスボタン。英語ではcuff links
ボタンホール
服の留め具となるボタンとするため、厚みのある殻を作るイガイの殻をくりぬいている様子。
ボタンの素材となった貝殻

歴史

ボタンの起源はよくわかっていない[3]。ただし、古代エジプトには留め具を付けた被服がみられる[3]

発掘品としては最も古いものとして5000年前のモヘンジョダロ遺跡で湾曲した貝から作られたボタンが見つかっている[4][5]

ボタンが普及するようになったのは13世紀といわれている[3]。16‐17世紀には大量生産されるようになりフランスでは特に発達した[3]。婦人服に現代のようなボタンが使われるようになったのは19世紀になってからである[3]

日本では江戸時代の末期になってに牛骨や金属の留め具が作られるようになったが足袋の小鉤(こはぜ)に近いもので、本格的なボタンは明治になってから製造されるようになった[3]

1860年代オーストラリア北東部(トレス海峡諸島など)ではボタンの材料となる真珠貝の採取が盛んになり、日本人の海人も労働者として訪れるようになった。これがオーストラリアに日本人が進出する契機となった[6]

語源

語源は、古ラテン語の “bottare” もしくは古ゲルマン語で「」を意味する “boton” と言われている。後者の方の由来は、鋳造、または、打ち出しで作られた金属製のそれが、シワが付いているために蕾のように見えることから、とか、昔は本当に花の蕾を使っていたから、という説がある。

日本で「ボタン」という名が用いられたのは、江戸時代中期だと言われている。故実家・伊勢貞丈(1717 - 1784年)の『安斎随筆』に「和蘭国にてはコノブと言ふ、ポルトガル国にてはブタンと言ふ、それを言ひたがえて日本にてボタンと言ふなり」と記されている。

素材

ボタンの素材には天然素材、半合成樹脂、合成樹脂、金属素材、その他の素材(ガラス製、陶製、編組など)が使われる[2]。なお、粗悪品は破損しなくても、変色・色落ちする場合がある[7]

これらの素材を複数組み合わせて製作されるボタンもある。高級な素材を使っているからだけでなく、芸術性の高いデザインやアンティーク的な価値から高額で販売されるボタンもある[7]

形状

基本型

ボタンの基本型には丸型、角型、角丸型、山高型、天丸型、皿型、たらい型、平型、お椀型、変型などがある[2]

  • 四角
  • 平型、ドーム型(金属ボタンやブレザーに多い)
  • 変り種:キャラクターもの、動物もの、ほか
  • くるみボタン(金属を芯にして革や布でくるんだ足つきボタン。自宅で手軽に作れるくるみボタンの製作キットも販売されている)

トグルクロージャー(布ループ、トグルボタン)

ボタンの穴には 2つ穴、4つ穴、タヌキ穴、変型穴、トンネル穴などがある[2]。穴なしには足つき(裏足)と足なしがある。

最初は紐で引っ掛けて固定したが、のちに南仏でボタンホールが考案され、布と布を直接固定できるようになった。


  1. ^ a b 意匠分類定義カード(B9)特許庁
  2. ^ a b c d 繊維製品消費科学編集委員会, ボタン『繊維製品消費科学』 1975年 16巻 5号 p.161-164, doi:10.11419/senshoshi1960.16.161, 2020年11月26日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 猪子忠徳, 中山邦彦, ボタンについて『繊維製品消費科学』 1980年 21巻 3号 p.86-91, doi:10.11419/senshoshi1960.21.86, 2020年11月26日閲覧。
  4. ^ ボタン”. 渋谷ファッション&アート専門学校. 2023年8月6日閲覧。
  5. ^ McNeil, Ian (1990). An Encyclopaedia of the History of Technology. Taylor & Francis. p. 852. ISBN 978-0-415-01306-2. https://archive.org/details/encyclopaediaofh00mcne/page/852 
  6. ^ 鈴木 清史 (2010年). “オーストラリアの戸惑い : 2つの巨大貿易国のはざまで (日本とアジアの相互の照射 トレス” (PDF). 静岡大学人文学部アジア研究センター. 2020年12月17日閲覧。
  7. ^ a b c d e 「職業 ボタンニスト/個性やアイデア 生み出す小宇宙」『日本経済新聞』朝刊2019年6月16日12面(NIKKEI The STYLE / Fashion)。
  8. ^ そうだったのか! 「ボタン」のかけ方が男女逆である理由”. オトナンサー (2017年8月30日). 2023年11月12日閲覧。
  9. ^ 保護者向けコラム「卒業式に学生服の第二ボタンを贈るのはなぜ?」菅公学生服(2018年3月2日)2019年7月7日閲覧。
  10. ^ ウィクショナリーには、ボタンの掛け違いの項目があります。
  11. ^ ウィクショナリーには、ボタンを掛け違えるの項目があります。


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