ベラ ベラの概要

ベラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/11 14:37 UTC 版)

ベラ
ホンソメワケベラ
Labroides dimidiatus
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ベラ亜目 Labroidei
: ベラ科 Labridae
英名
Wrasse
下位分類群
本文参照

ベラ科の魚は体長10 - 30センチメートル程度の比較的小さな種類が多いが、コブダイなど体長1メートルに達する大型魚も含まれる。ベラ科の最大種メガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)は、まれに体長2メートルを超える個体が存在する。

多くは鮮やかな色彩をもち、雄と雌で体色が異なる。成長に伴って性転換を行う種も多い。キュウセンなど一部の種は、夜には砂に潜って眠ることが知られている。ソメワケベラの仲間は、他の魚の口の中や体表を掃除するという特異な生態をもっており、掃除魚などと呼ばれる。

特徴

4亜科・60属・500種ほどが知られる大きな科である。全世界の熱帯から温帯に広く分布し、浅い海の砂底、岩礁、サンゴ礁に生息する。日本にも数多くの種類が分布している。

成魚の大きさは全長10センチメートルほどのホンソメワケベラから、2メートル以上に達するメガネモチノウオまで種類によって異なるが、ふつう海岸で見られるのは全長20センチメートルほどの小型種が多い。体は細長く側編し、海藻やサンゴ、岩のすき間をすり抜けるのに都合がよい体型をしている。また、種類によっては体をくねらせて砂にもぐることもできる。

体表はスズキ類やイワシなどにくらべて粘液が多く、ぬるぬるしている。体色は種類によってさまざまで、白、黒、青、緑、橙、赤などの組み合わさった美しい体色の種類もいる。また、性別や成長の度合いによって体色がちがう種類もいて、同種でもオスとメス、幼魚と成魚で別種のようにみえる種類もある。

雌性先熟の性転換をすることが知られている。性転換して雄になった個体は雌を惹きつける派手な色彩に変化し、縄張り内の複数の雌と繁殖を行う。また、種類によっては生まれながらの雄もいる。前者を二次雄、後者を一次雄と呼ぶ。一次雄は集団産卵やスニーキングやストリーキングにより繁殖を行うが、二次雄と同じ派手な色彩に変化し、縄張りを持つこともある。

ほとんどの種類が肉食性で、丈夫な歯をもち、ゴカイ甲殻類などを捕食する。また、ほぼすべての種類が昼行性で、夜は岩陰にひそんだり、海底の砂にもぐったりして眠る。同じようにして冬眠をおこなう種類もある。

利用

食用としての漁獲

からにかけてよく漁獲されるが、のコブダイなど一部を除くと漁業価値は低い。特に釣りで多く漁獲されるが、関東では「餌盗り」や「外道」として扱われ、釣ったその場で捨てられることもある。一方、関西では高級魚として扱われ専門の遊漁船も出るほど人気がある。なおは休眠するので、あまり漁獲されない。

身は軟らかいが、刺身、煮付け、唐揚げ南蛮漬けなど、いろいろな料理で食べられる。キュウセンは関東地方などの東日本では評価が低いが、関西以西、特に瀬戸内海沿岸ではギザミと呼ばれ、美味な魚として評価されている。これは太平洋で育ったものは身が締まらず水っぽく大味になるのに対し、瀬戸内海などで育ったものは早い潮流によって身が引き締まるためである。したがって、個々の地域による文化的、味の嗜好で、価値観の差違が発生しているわけではない。

ゲームフィッシュとして

アメリカ大陸に生息するトートグなど一部の種は遊漁の対象となる。

アクアリウム

ベラ科の魚はアクアリウムの世界で人気が高いものが数多く含まれる。人気が高いのはイトヒキベラ属、クジャクベラ属、ニセモチノウオ属、ホンベラ属カンムリベラ属で、これらの属の種は概ね丈夫で飼育しやすい。ただし、一部の種は夜間の休息時や睡眠時に砂にもぐる習性があることから、細かいパウダー状のサンゴ砂を敷いてやる必要がある。ススキベラ属、オグロベラ属、カミナリベラ属の魚も色彩的にはきれいであるが、これらの属の魚はデリケートで飼育が難しい。多くの種はサンゴや他の魚に無害であるが、タキベラ属の魚やモチノウオ属の魚は小魚を好んで食べ、Labricthyinesの種の中にはサンゴを好んで捕食するような種もいる。


  1. ^ Rudie H. Kuiter (2015). Labridae fishes: Wrasses. Reef Builders Inc. and Aquatic photographics. 


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