ベニクラゲ ベニクラゲの概要

ベニクラゲ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/09/20 14:18 UTC 版)

ベニクラゲ
分類
: 動物界 Animalia
: 刺胞動物門 Cnidaria
: ヒドロ虫綱 Hydrozoa
: 花クラゲ目 Anthomedusae
: クラバ科 Oceaniidae
: ベニクラゲ属 Turritopsis
: ベニクラゲ T. nutricula
McCrady, 1857[1]
学名
Turritopsis nutricula
和名
ベニクラゲ(紅海月、紅水母)
Nuvola apps kaboodle.svg 映像外部リンク
Nuvola apps kaboodle.svg ベニクラゲの解説・映像 - 科学技術振興機構
Nuvola apps kaboodle.svg ベニクラゲのアニメ解説 - 科学技術振興機構
Nuvola apps kaboodle.svg ベニクラゲの取材映像 - テレビ東京

クラゲが再びポリプに戻ることが発見され、「不老不死」のクラゲとして知られるようになった。


特徴

ベニクラゲは直径 4-5mm の小さなクラゲである。透けて見える消化器が赤色であるためこう名付けられた。ベニクラゲの形状はベル型で、傘の直径と高さはほぼ等しい。外傘や中膠は均一で薄い。は明るい赤色で大きく、横断面は十字型である。若い個体は外縁に沿ってわずかに8本の触手を持つが、成熟したものは 80-90 本の触手を備える。触手の内側に眼点があり、これも鮮やかな赤である。

生活環

受精卵は胃および外傘の中で発生し、プラヌラ幼生となる。幼生は基物に着生して群体性のポリプを形成する。ポリプは基質上にヒドロ根を広げ、まばらにヒドロ茎を立てる。その先端にはヒドロ花がつく。ヒドロ花は円筒形で、その側面にまばらに触手が出る。

ポリプ形成後2日ほどで幼クラゲとして個体が離脱する。幼クラゲは数週間で成熟する。成熟に要する期間は水温に依存し、20℃ では 25-30 日、22℃ では 18-22 日ほどである。

「不老不死」

普通のクラゲは有性生殖の後に死ぬが、前述の通り、ベニクラゲは再びポリプへと戻ることができる。成熟個体は触手の収縮や外傘の反転、サイズの縮小などを経て再び基物に付着、ポリプとなる。生活環を逆回転させるこの能力は動物界ではまれであり、これによりベニクラゲは個体としての寿命による死を免れている。当然ながら、個々のベニクラゲは食物連鎖において常に捕食される可能性があり、本種の全ての個体が死を免れている(永遠に生き続ける)ということを意味するものではない。

有性生殖能を獲得するまでに発生が進んだ個体が未成熟の状態に戻る例は、後生動物としては本種と軟クラゲ目のヤワラクラゲ(Laodicea undulata)でのみ報告されている[2]。動物におけるこのような細胞の再分化は分化転換(transdifferentiation)と呼ばれる。論理的にはこの過程に制限はなく、これらのクラゲは通常の発生と分化転換を繰り返すことで個体が無限の寿命を持ち得ると予想されている。そのため、「不老不死(のクラゲ)」と称される場合もある。ただしこれは、老化現象が起こらないわけではなく若い状態に戻るだけなので、より厳密にいえば若返りである。

この現象は地中海産のベニクラゲで発見され、1991年に学会発表されてセンセーションを起こした。その後各地で追試されたが、地中海産のものでしかこの現象は見られなかった。しかし、鹿児島湾で採集された個体も同様の能力を持つことが2001年かごしま水族館で確認された[3]

2011年の若返り回数の世界記録は、京都大学瀬戸臨海実験所の久保田信准教授による9回であったが[4]、その後2012年12月15日発売の雑誌で久保田信准教授は「10回も若返らせることに成功した」と発表した[5]

その影響

このようなベニクラゲの特徴はマスコミにも取り上げられた。NHKでは1998年に「海・第七集 眠る巨大資源」で取り上げた(このころは日本でのよみがえりはまだ確認されていなかったためイタリアで取材したという[6]

また、2003年に放送されたテレビドラマ『14ヶ月〜妻が子供に還っていく〜』(読売テレビ)でも、作中においてこのクラゲの研究から作られたという設定の若返り薬が登場した。このドラマを制作したホリプロは、日本におけるこの類の専門家である久保田信(京都大学瀬戸臨海実験所)に取材し、彼が作品中に登場するシーンも作られた。

田中光二は自分の作品に関して久保田に取材をし、その後『南紀白浜 磯釣り殺人事件』(実業之日本社)では久保田及び大学院生をモデルにした人物が登場し、ベニクラゲについて語るシーンが入ることとなったと久保田信自身は述べている[7]。久保田はこのクラゲの研究から老化に関する大きな発見がある可能性を語り、「若返り薬」の夢についても語り、『ベニクラゲ音頭』を歌っている[8][9]。久保田信自身は歌だけでなく、ベニクラゲに関する小説なども執筆し、ベニクラゲについての知識を世に広めるべく尽力している。

注釈・参考文献

  • Piraino S, Boero F, Aeschbach B, Schmid V (1996). “Reversing the Life Cycle: Medusae Transforming into Polyps and Cell Transdifferentiation in Turritopsis nutricula (Cnidaria, Hydrozoa)”. The Biological Bulletin 190 (3): 302-12.  PDF available
  • Cheating Death: The Immortal Life Cycle of Turritopsis (英語)
  • 久保田信、『神秘のベニクラゲと海洋生物の歌 "不老不死の夢"を歌う』、(2005)、発行;不老不死研究会、発売;紀伊民報社(和歌山県)

  1. ^ Turritopsis nutricula in World Register of Marine Species (in English)
  2. ^ 紀伊民報 第18466号(2004年6月13日) PDF available
  3. ^ 南日本新聞 第21379号(2001年5月13日)
  4. ^ ベニクラゲ、9回目の若返り実験成功”. 紀伊民報 (2011年2月10日). 2011年4月19日閲覧。
  5. ^ 太田出版ケトルニュース 「若返り」を研究する京大准教授 クラゲを若返らせることに成功
  6. ^ 久保田(2005)P.8
  7. ^ 久保田(2005)P.112
  8. ^ 久保田(2005)
  9. ^ 京都大学フィールド科学教育研究センター編 『森と里と海のつながり』 大伸社、2004年8月30日ISBN 9784777901425 


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