プリント基板 分類

プリント基板

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/28 16:53 UTC 版)

分類

プリント基板は次のように3つに分類される

リジッド基板
柔軟性のない絶縁体基材を用いたもの(固いを表す:Rigidから)
フレキシブル基板(FPC)
絶縁体基材に薄く柔軟性のある材料を用いたもの
リジッドフレキシブル基板(Flex-Rigid/フレックスリジッド)
硬質な材料と薄く柔軟性のある材料とを複合したもの

フレキシブル基板は薄くて柔軟性があることから、機器に組み込む際に自由度が高く、小型の電子機器などに使われている。コネクタ間を配線するためのフィルム状配線材も機能的にはケーブルであるがフレキシブル基板と呼ばれることがある。単にプリント基板と呼ぶ場合にはリジッド基板を指すことがほとんどである。

リジッド基板

次にリジッド基板のより詳細な分類を記す。

組成による分類

紙フェノール基板
フェノール樹脂を含浸したもの。別名ベークライト基板(ベーク基板)。安価で加工性が良いので、プレスによる打ち抜きで民生機器用基板を大量生産するに使われる。反面、機械的強度が低く、反りも生じやすい。通常片面基板として利用される。
紙エポキシ基板
紙にエポキシ樹脂を含浸したもの。紙フェノールとガラスエポキシの中間的な特徴を持つ。通常片面基板として利用される。
ガラスコンポジット基板
切り揃えたガラス繊維を重ねて、エポキシ樹脂を含浸したもの。安価な両面基板として利用される。
ガラスエポキシ基板
ガラスエポキシ基板
ガラス繊維製の布(クロス)を重ねたものに、エポキシ樹脂を含浸したもの。電気的特性・機械的特性ともに優れている。上記の基板と比較して高価ではあるが、近年の需要増加により、価格は下がる傾向にある。
表面実装用基板として最も一般的に使われている。両面基板以上の多層基板に利用される。
テフロン基板
絶縁材にテフロンを用いたもの。高周波特性が良好なためUHFSHF帯の回路に用いられるが、非常に高価である。近年、半導体の性能向上によりガラスエポキシ基板でも所望の性能を得る事が可能となったため、民生品で使われる事は少なくなっている。
アルミナ(セラミックス)基板
グリーンシートと呼ばれるアルミナ(酸化アルミニウム)にタングステンなどでパターンを形成/積層したものを焼成して製造するファインセラミックスの一種。色は白や灰色などがある。高周波特性や熱伝導率に優れるため、主にUHFSHF帯のパワー回路で使用される事が多い。高価である。
低温同時焼成セラミックス (LTCC) 基板
アルミナ基板の高価格、高温で焼結させるために配線に銅が使用できないといった問題を解決した基板。ガラスにセラミックを混合して800℃の低温で焼成する。そのため配線に銅が使用可能となった。熱膨張率が小さい、絶縁特性がよいという特性を生かして基板内部にコイル、コンデンサ等の受動部品を製作する事も可能。高周波回路のサブストレート、高周波モジュールの基板としてアルミナ基板に置き換わっている。熱伝導率はアルミナ基板より劣る。
コンポジット基板
ガラスエポキシ基板を中心として両面には紙エポキシ基板を形成したもの。ガラスエポキシ基板のみに比べて加工しやすく、価格が安い。また近年では両面にテフロンを使用したコンポジット基板が高周波回路用に作られている。テフロン基板より安価で、ガラスエポキシ基板より周波数特性が優れている。
ハロゲンフリー基板
ガラスエポキシ基板と構造は同じだがフッ素塩素臭素、ヨウ素などのハロゲン系難燃剤を含まない多層基板。リサイクル焼却時に発生する有毒物質を抑えることができる。また、同時にハロゲンフリーのレジストを使用した場合、基板は青っぽくなる。ただし、緑色のハロゲンフリーのレジストも存在する。

構造による分類

片面基板
片面のみにパターンがあるもの。1層基板。
両面基板
両面にパターンがあるもの。2層基板。
多層基板
ウエハース状に絶縁体とパターンを積み重ねたもの。部品の実装密度が上がり、回路結線が複雑になると両面では回路配線を収容しきれないため層を増やすことで対応する。表面以外の層は直視できないため保守性は劣る。このため4層基板の場合、目視しやすくするため、内側の2層(内層)を電源層およびグラウンド層として用い、信号線は表面の2層(外層)に配置する場合が多い。高密度実装が要求される機器では6層や8層の基板もしばしば採用されるが、各層を平等に扱う場合と4層で収容し切れなかった信号配線を追加層に順次収容するように使う場合とがある。内層のある層を電源層やグラウンド層として使うことが多い。高性能コンピュータなどでは数十層におよぶ場合もある。
多層板の種類は大きく分類すると、スルーホールで層間の回路を接続する貫通多層板、Interstitial Via Hole (IVH) で層間を接続するIVH多層基板、ビルドアップ工法により作製されるビルドアップ基板に分けられる。貫通多層板はパソコンマザーボードなどに使用される。多層基板はビルドアップ工法など、特別な装置や工程を必要とするため、専門メーカーによって製造される。片面基板・両面基板は特別な工程は必要としないため、電子工作愛好家が自家製作するための材料も市販されている。
ビルドアップ基板
逐次積層法により一層ずつ層を積み上げ、レーザー加工などにより直径100μm程度の微細な層間接続ビア(Via)を形成した、配線密度の高い多層配線板。日本IBMが開発した、感光性樹脂にフォトリソグラフィで穴あけを行うSLC (Surface Laminar Circuit) 基板が先鞭をつけたとされる(現在は京セラサーキットソリューションズに移管)。海外ではhigh density interconnect (HDI)、層間接続ビアはMICROVIA(マイクロビア、マイクロバイア)と呼ばれることが多い。携帯電話デジタルカメラなど実装密度が高く、薄型化が要求される携帯機器への採用が進んでいる。代表的な製品としてはパナソニックエレクトロニックデバイスのALIVHやイビデンのFVSS、日本シイエムケイのPPBU、東芝が開発したB2it(後に大日本印刷と合弁会社を設立、現在は大日本印刷に移管)など多くの企業で様々な方式がある。ビルドアップ基板は基本的に一層ずつ積層を行い、その都度ビア形成、回路形成を行う必要があるため層数が増えれば増えるほどリードタイムが伸び製造コストがかかる欠点がある。この問題を克服するために全層を一度に積層してしまう一括積層法の開発が進んでいる。一括積層法の代表的なものとしてはデンソーのPALAPや住友ベークライトのS-Bicなどがある。

フレキシブル基板

正式には「フレキシブル配線基板」(Flexible PWB) と呼ばれ、薄いポリイミドポリエステルなどのフィルムで出来た基材の上に、薄い銅箔の配線パターンを持ち、表面を保護のための絶縁フィルムなどで被覆された配線基板。(業界俗別名「セミの羽」)

特長

自由に折り曲げることが出来るほど薄くて柔軟であり、外形や中抜きも自由な形に比較的容易に加工できる。このため小型で外形が複雑なわりに多くの部品を詰め込む必要がある製品への使用が多い。また、複数のリジット基板間を接続する「ハーネス・ケーブル」の代わりに使われることもある。

問題点と不適な用途

  • 絶縁層と銅箔との接着性が比較的弱いため、シールド層が作りにくい
  • 曲げるためには、多層化は向いていない
  • 機械的強度が弱いため、重い部品には別に支えが必要になる
  • 熱特性が悪い

最後の2点によってそのままではヒートシンクが使えずに発熱の大きな部品は実装が困難となる場合があるが、基板の柔軟性を利用して筐体などを放熱器代わりにする方法がある。 これらの問題点を解決して、硬い基板と柔らかい基板の両方の長所を得られる、リジッドフレキシブル混成基板がある[4]


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