ブレーキブースター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/05 00:47 UTC 版)
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かつて、4輪全てがドラムブレーキであった時代にはブレーキブースターは必ずしも必要とはされてはおらず、アメリカ車ではオプション装備としてディスクブレーキが設定され始めた1960年代後半より、ディスクブレーキ車の追加オプションとしてパワーブレーキ等の名称でブレーキブースターが設定され始めた。
今日でもブレーキブースターは多くの場合、いわゆる自己倍力作用あるいはセルフサーボ特性と呼ばれる性質を持たないディスクブレーキに組み合わせられる。それは言い換えればブレーキブースターの補助がないディスクブレーキでは、制動にあたって運転手の操作力のみでは十分な制動が行えない可能性がある事を意味している。真空式ブレーキブースターの場合、エンジンが始動していない時には一切の制動力補助が行えなくなる為、坂道の中途で停車し、パーキングブレーキを解除して重力で坂道を下り始めた車体を止める程度の制動であっても、エンジン始動時とは比較にならない程の強い操作力が要求される事となる。(しかし、レーシングカー等がなぜディスクブレーキを採用するかといえば、第一にはその高い制動力と放熱性だが、セルフサーボ特性を持たないこともその理由である。セルフサーボ特性を持つということは、言い換えれば入力の大きさに比例せず、制動力が急峻に立ち上がるということであり、結果としていわゆる「カックン」ブレーキとなりタイヤのロックが簡単に起こり得るので、コントロールできることが重要なレーシングカーではそれでは困るわけである。従ってセルフサーボ特性が無いことは必ずしも欠点ではない)
仮に走行中にブレーキブースターが破損・故障した場合や、高速道路などを高速走行中何らかの原因でエンストを起こした場合には制動補助能力が全て喪失する為、そのまま走行を続けるのは非常に危険である。走行中もしも制動補助能力に明らかな不足を感じ始めた場合には、直ちにその車両の運行を中止し、ブレーキフルード漏れなどの点検と共に、バキューム配管やブレーキブースター本体の点検修理も必要となる。走行中何らかの原因でエンストを起こした場合にはフットブレーキ系統のみに頼らず、可能な限り低速のギアに変速してクラッチを繋ぎ、エンジンブレーキを併用しながらブレーキ操作も行って減速・停止を行う事が望ましい。
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