フーリエ変換 応用

フーリエ変換

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/22 10:25 UTC 版)

応用

微分方程式の解析学

フーリエ変換および近い関係にあるラプラス変換微分方程式の解法において広く用いられる。f(x) を可微分函数で、そのフーリエ変換を ˆf(ξ) とすると、導函数のフーリエ変換が iξˆf(ξ) で与えられるという意味でフーリエ変換と微分作用素は両立する。このことを用いて微分方程式を代数方程式に変換することができる。ただし、この手法は定義域が実数全体である場合にしか適用できないことに注意が必要である。これを拡張して、定義域が Rn であるような多変数函数に関する偏微分方程式を代数方程式に書き換えることもできる。

フーリエ変換の定義域と値域

フーリエ変換を可能な限り最も一般な定義域上で考えることが望ましいことも多々ある。フーリエ変換を積分として定義すれば、定義域は絶対可積分函数全体の成す空間に自然に制限されてしまうが、不幸にして絶対可積分函数のフーリエ変換として得られる函数の簡単な特徴づけは知られていない[5]。フーリエ変換の定義域の拡張は上述のようにいくつかの方法を用いて行うことができる。以下いくつか、フーリエ変換の定義されるより広範な定義域と領域について詳細を述べる。

  • シュワルツ函数全体の成す空間(シュワルツ空間)はフーリエ変換の下で閉じている。シュワルツ函数は急減少函数であって、フーリエ変換の関連する函数すべてを含んでいるわけではない。より詳細は (Stein & Weiss 1971) を参照せよ。
  • ルベーグ絶対可積分函数全体の成す空間 L1 はフーリエ変換によって、無限遠で 0 に収束する連続函数全体の成す空間 C0 へ写される。
  • 自乗絶対可積分函数全体の成す空間 L2 はフーリエ変換のもとで閉じている。しかしここでのフーリエ変換はもはや積分によって定義されるものではない。
  • 空間 Lp は空間 Lq へ写る。ここに、 1/p + 1/q = 1 であり、 1 ≤ p ≤ 2 とする(ハウスドルフ・ヤング不等式)。
  • 緩増加超函数全体の成す集合はフーリエ変換の下で閉じている。緩増加超函数は函数の一般化ともなっている。この一般化ではディラックの櫛型函数のようなもののフーリエ変換も定義することができる。

その他の記法

フーリエ変換の記法として ˆf(ξ) 以外によく用いられるものに

などがある。あるいはもっと他の記号を使うことも在りうる。たとえば、(f(x) と F(ξ) のように)もとの函数を表している文字の対応する大文字を用いてそのフーリエ変換を表すことは自然科学や工学においてとくによく用いられる記法である。

複素函数 ˆf(ξ) は、極座標に関してこれを表示することにより、振幅

および位相

と呼ばれるふたつの実函数 A(ξ) および φ(ξ) を用いて

なる形に解釈することができる。

このとき逆変換は ƒ(x) の周波数成分すべての再結合として

と書くことができる。各成分は振幅A(ξ) で(x = 0 における)初期位相角が φ(ξ) であるような eixξ のかたちの複素正弦曲線である。

フーリエ変換は函数空間の間の写像として考えることもできる。この写像はここでは で表し、函数 f のフーリエ変換には が用いられる。この写像 は函数空間上の線型変換とみることができ、それによって と書く代わりに、ベクトル(ここでは函数 f)の線型変換を表す線型代数学の標準的な記法で と書くこともできる。函数にフーリエ変換を施した結果は再び函数となるから、この新たな函数の ξ における値というものには意味があり、それを あるいは などと表す。前者の場合には はまず f に施されて、その後に得られた函数の ξ における値が評価されるものと暗黙に理解されているということに注意しなければならない。

数学や多くの応用科学において、函数 f それ自身と函数 f の変数 x における値 f(x) とを峻別しなければならないことがしばしばある。このことが意味するのは、たとえば のような記法は、形式的には fx における「値」のフーリエ変換と解釈できてしまうということである。このような不具合にもかかわらず、特定の函数あるいは特定の変数の函数を頻繁に変換しなければならないような場合には、このような記法はよく用いられる。たとえば

は矩形函数のフーリエ変換が sinc-函数であることを表すために用いられることがあり、またたとえば

はフーリエ変換のシフト性を表すのに用いられることがある。最後の例は、変換される函数 fx0 のではなく x の函数であるという前提のもとでのみ正しいということに注意を要する。







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