フランス系アメリカ人 フランス系アメリカ人の概要

フランス系アメリカ人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/27 14:52 UTC 版)

フランス系アメリカ人
French Americans
Franco-Américains


(11,800,000人
合衆国全人口の4%)
居住地域
ニューイングランド
中西部
ルイジアナ州
言語
アメリカ英語, フランス語
宗教
カトリック
カルヴァン主義 プロテスタント
関連する民族
フランス人, フランス系カナダ人,
ケベック人, ケイジャン, アカディアン

現在、約1180万人のフランス系アメリカ人がおり、そのうち約160万人は家庭でもフランス語を使用している。2000年国勢調査によると加えて45万人がフランス語を元としたクレオール言語を使用する。

フランス系アメリカ人は人口比において決して少数派ではないが、他の民族(ドイツ系イタリア系)と比べると存在気配がやや薄く、「フランス系アメリカ人」というアイデンティティがあまり明るみに出ていない。理由として彼らはユグノー系の開拓者とほぼ融合していた事に加え、ケベックワーフランス系カナダ人アカディアンケイジャンクレオールといったように自らのアイデンティティを新大陸で確立したからと言われている。多くのフランス系アメリカ人は17世紀ヌーベルフランスとして現在のカナダケベック州を開拓した入植者の子孫であり、多くがニューイングランド地方に住む。彼らは現在のニューブランズウィックに住むアカディアンの子孫である。

歴史

1754年のアカディア勢力図

フランス系アメリカ人はアメリカ全土に分布しているが、その多くは北部ニューヨーク州ルイジアナ州ニューイングランド地方に集中している。特にルイジアナ州のアケイディアナでは15%が家庭でフランス語を使用しており、フランス語は英語スペイン語中国語に次ぎアメリカで使用される大きな言語となっている。1803年ナポレオン・ボナパルトによって現在の15州にまたがるフレンチ・ルイジアナが売られてからフランス系入植者は南部も含めて全土へ散らばった。

フランス系の人々の多くは自らのアイデンティティをフレンチカナディアンケイジャンクレオールととらえ、彼らの北米での本格的活動は1840年代から1930年代にかけてのケベックからの離散によって始まった。この時、約100万人のフランス系カナダ人がニューイングランドを始めミネソタ州ウィスコンシン州ミシガン州(全て五大湖沿岸の州)などに移り住んだ。当時のフランス系カナダ人の出生率は世界的に見て非常に高く、よって本国フランスからの移民が少なかったのにも関わらず彼らの人口は大きかった。またアメリカだけでなくオンタリオ州マニトバ州などカナダ内でも散らばりを見せた。男性の労働者の多くは両国にて最初は材木業に携わり、他の者は五大湖周辺で活性化した鉱山業に従事した。

旧フランス領のサン=ドマングからもアメリカへ移民が流入した。1804年に同地が悲惨な独立戦争を経てハイチ共和国として独立、その流れを受けて多くの白人と少数のムラートたちはルイジアナ州へと移民してきた。彼らはクレオールとしてアメリカに融合することとなった。

ルイジアナのケイジャンたちは変わったヘリテージを持っており、現在のニューブランズウィック州ノバスコシア州プリンスエドワードアイランド州にあたるアカディアに17世紀後半から18世紀初頭にかけて入植した彼らの祖先は、1755年Beauséjour港イングランド軍に捕らえられイングランド王に忠誠を誓うか退去をするか迫られた。多くの者はイングランドへの忠誠を拒否したため、一切の財を持たずに13植民地へと送られアカディアンの追放が起きた。この追放から一世代を経て約4千人のフランス系はルイジアナへ向け移動、新たな生活を築いた。ルイジアナ州アケイディアナには今でもフランス植民地時代の文化が残っている。ちなみに『ケイジャン』とは『アカディアン(アケイディアン)』が訛って出来た言葉である。

大半のフランス系アメリカ人はフランス革命以前に北米へと渡ってきた為、彼らのアイデンティティを象徴するマークは現在のトリコロール・フランス国旗ではなく君主制時代のフルール・ド・リスである。

人口と分布

2000年国勢調査を元に作成されたフランス系アメリカ人の分布。赤い所がフランス系の比率が高い。右上の赤はメーン州周辺で(地図には記載されていないが)その上はカナダ・ケベック州(フランス系カナダ人の集まる州)になる。中央下の赤はルイジアナ州周辺。
2000年国勢調査による民族別の分布。濃い水色がフランス系。右下に広がる濃紫はアフリカ系。左下のピンクはメキシコ系。東西にまたがる大きな水色はドイツ系。薄紫はイングランド系。緑はオランダ系。オレンジがインディアン。
フランス系が人口比10%以上の州
フランス系カナダ人を含む
フランス系が人口比4%以上の州
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旧ヌーベルフランスの州と人口比
ルイジアナ州は除く
フランス系人口が多い州
フランス系カナダ人を含む
比率 地域
ニューハンプシャー州 25.2% 北東
バーモント州 23.3% 北東
メーン州 22.8% 北東
ロードアイランド州 17.2% 北東
ルイジアナ州 16.2% 中南東
マサチューセッツ州 12.9% 北東
コネチカット州 09.9% 北東
比率 地域
ワシントン州 4.6% 北西
オレゴン州 4.6% 北西
アラスカ州 4.2% 北西
比率 地域
ミシガン州 6.8% 中北東
モンタナ州 5.3% 中北西
ミネソタ州 5.3% 中北
ウィスコンシン州 5.0% 中北
ノースダコタ州 4.7% 中北西
ワイオミング州 4.2% 中北西
ミズーリ州 3.8% 中中東
カンザス州 3.6% 中中西
インディアナ州 2.7% 中北東
人口 地域
カリフォルニア州 927,453人 南西
マサチューセッツ州 818,388人 北東
ミシガン州 680,939人 中北東
ルイジアナ州 680,208人 中南東
ニューヨーク州 628,810人 北東



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