フェロシアン化カリウム フェロシアン化カリウムの概要

フェロシアン化カリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/15 06:39 UTC 版)

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フェロシアン化カリウム

三水和物
IUPAC名 ヘキサシアニド鉄(II)酸カリウム
別名 黄血塩,黄色血滷塩,YPS
組成式 K4[Fe(CN)6], C6FeK4N6
式量 368.4 g/mol
形状 吸湿性無色粉末(無水物)

黄色結晶性粉末(三水和物)

結晶構造 単斜晶系
CAS登録番号 [13943-58-3](無水物)
[14459-95-1](三水和物)
密度 1.88 g/cm3, 固体(無水物)
水への溶解度 27.8 g/100 mL (12.2 ℃)
融点 100 ℃脱水、徐々に分解[1]

合成

シアン化ナトリウム硫酸鉄(II)塩化カリウムを加えると得られる。過剰量のシアン化カリウムと硫酸鉄(II)を反応させても得られる。

なお、18世紀には動物の血液や内臓のような窒素を含んだ有機物に、炭酸カリウムを加え、これを強熱することによって作ったために、「黄血塩」という別名が付いている[2]

性質

フェロシアン化カリウムはフェリシアン化カリウムよりも安定で、フェリシアン化カリウムとは違ってなかなかシアン化水素を遊離させないため、基本的に無毒だとされている(フェリシアン化カリウムは有毒とされている)[2]。しかし、フェロシアン化カリウムが本当に有害でないかどうかの医学的なデータは存在していない[3]。なお、熱希硫酸によって分解し、シアン化水素を発生する。

また、フェロシアン化カリウムにヨウ素を反応させると、K3[Fe(CN)6]・KIが得られる[4]

[Fe(CN)6]4−(フェロシアン化物イオン)は、水溶液中で電離しても配位子のCNシアン化物イオン)が安定している(解離定数 K は 10−36)ため、無機シアン化物のような毒性は示さない。

貴金属と塩を作るため、賢者の石と目されたりもした(古典的な金メッキの手段)。


  1. ^ 『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館、2014年。
  2. ^ a b 志田 正二 編集代表 『化学辞典』 p.1137 森北出版 1981年3月9日発行 ISBN 4-627-24010-4
  3. ^ a b 塩の添加物(塩の情報局) - 塩の添加物
  4. ^ 化学大辞典編集委員会 編集 『化学大辞典 (縮刷版) 8』 p.256(右上) 共立出版 1964年2月15日発行 ISBN 4-320-04022-8
  5. ^ 『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館、2014年。
  6. ^ 『スクエア最新図説化学七訂版』第一学習社、2019.1.10.、186頁。
  7. ^ 第57章 実験-鉄イオン”. www.osaka-kyoiku.ac.jp. 2021年8月15日閲覧。
  8. ^ 「中国の塩は腎臓に悪い」? ネット情報に振り回される母親たち”. AFP (2018年9月1日). 2018年9月1日閲覧。


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