ファイナルファンタジーのアビリティシステム ファイナルファンタジーのアビリティシステムの概要

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ファイナルファンタジーのアビリティシステム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/12 15:01 UTC 版)

ファイナルファンタジーシリーズ > ファイナルファンタジーのアビリティシステム

アビリティシステム

アビリティの成り立ち

アビリティ(ability)という語が「能力」「才能」と和訳されるように、元々はコンピュータRPGに登場するジョブ(職業)毎の固有の能力および戦闘コマンドから発展した名称である。ファイナルファンタジーシリーズ以前のものとしては、『ウィザードリィ』の僧侶(priest)・ビショップ(bishop)・ロード(lord)が使用可能なディスペル(ターンアンデッド)、ビショップ(bishop)によるアイテムの鑑定、盗賊(thief)の罠解除などがアビリティの一例として挙げられる(ただし、『ウィザードリィ』の作品中においてこれらを「アビリティ」と総称していたわけではない)。

ファイナルファンタジーシリーズにおいて、『ファイナルファンタジーII』までの戦闘コマンドは「戦う」「魔法」「逃げる」「アイテム」など、プレイヤーキャラクター共通のもののみであった。だが、『ファイナルファンタジーIII』の各ジョブの使用可能な戦闘コマンドには竜騎士の「ジャンプ」、空手家の「ためる」など、それぞれ個性的なものが多く含まれていた。また、戦闘コマンドではないものの、ナイトが瀕死の味方を自動的に「かばう」など特有の能力も『ファイナルファンタジーIII』において導入された。前述したように「アビリティ」自体はファイナルファンタジーシリーズが始祖というわけではないが、当時、とくに家庭用ゲーム機のRPGにおいてはプレイヤーキャラクターがこうした多種多様なアビリティを持つことは珍しいものであった。なお、次作の『ファイナルファンタジーIV』ではジョブこそ固定ではあったが、さらにバリエーションに富んだ新しい「アビリティ」を持つキャラクターが多く登場している。ただし、『ファイナルファンタジーIV』の時点ではこれらのコマンドおよび特性はまだ「アビリティ」とは呼ばれておらず、「ちから」や「すばやさ」などの各パラメーターを指すものとして「アビリティー」という言葉が使われていた。

アビリティシステムの誕生

アビリティシステムという言葉は『ファイナルファンタジーV』において初めて登場した。これは『ファイナルファンタジーIV』まではジョブ毎に固定であったアビリティを他のジョブへ自由に付け替えができるというものである。 後のシリーズまで全てに共通するのがこの「アビリティを付け替える面白さ」であり、『FFV』のアビリティシステムは後のシリーズのシステムのベースとなるものである。このシステムを考案した伊藤裕之は、アクティブタイムバトルの生みの親でもあり、以降のFFシリーズのシステムを多く担当している。

『FFV』の時点ではまだ「コマンドアビリティ」と「ジョブ特性」という2つの概念しかなかった。セットできる数もほとんどのジョブにおいては1つだけであり、一部の条件を満たさないと特性の重ねセットもできなかった。それらを改善し、「コマンドアビリティ」「サポートアビリティ」「リアクションアビリティ」「ムーブアビリティ」に整理した作品が『ファイナルファンタジータクティクス』である。なお、以降の作品ではあまり大きな変更は加えられておらず、接続の仕方を洗練し、アレンジした範囲にとどまっているものが多いことから、この作品でアビリティシステムは完成した、とする見方もある。

姿を変えるアビリティシステム

「作品の世界によって、戦い方やシナリオに合わせて作り直す」という方針により、アビリティシステムは作品毎に姿を変えて登場している。『FFVII』ではマテリアから引き出すという形式になっており、またオンラインゲームの『FFXI』ではジョブ固定の能力になるなど、多様である。

作品別に見るアビリティシステムの方向性

ここでは作品毎に姿を変えるアビリティシステムの特化した方向性と長所に絞って簡単に表記する。「コマンド」「サポート」「リアクション」「ムーブ」の各項目の概要については下記記述を参照。

FFIアビリティシステムなし(クラスチェンジシステム)
「コマンド」魔法のみ/ジョブ固定/所持制限あり
「サポート」
「リアクション」
「ムーブ」
特徴第1作。最初に選んだジョブ固定、魔法に制限や個性はある。
FFIIアビリティシステムなし(熟練度システム)
「コマンド」魔法のみ/習得自由
「サポート」「二刀流」
「リアクション」
「ムーブ」
特徴育成の自由度を追求した作品。サガシリーズに継承。
FFIIIアビリティシステムなし(ジョブチェンジシステム)
「コマンド」ジョブ固定/ジョブチェンジ自由
「サポート」「二刀流」「格闘」モンク/空手家
「リアクション」「かばう」ナイト限定
「ムーブ」「開錠」シーフ限定
特徴状況で付け替える楽しさを追求したアビリティ初登場の作品。
FFIVアビリティシステムなし(パーティー変更システム)
「コマンド」キャラクター固定
「サポート」「二刀流」ヤン/エッジ限定
「リアクション」「かばう」セシル「かくれる」ギルバート限定
「ムーブ」
特徴キャラクターの個性を重視した作品。GBA移植版では編成自由。
FFIVDS●デカントアビリティシステム
「コマンド」付け替え自由、レアアイテム消費によって習得するが入手に限りがあり周回プレイによって引継ぎ可能。
「サポート」「二刀流」ヤン/エッジ限定
「リアクション」付け替え自由、レアアイテムによって習得するが入手に限りがあり周回プレイによって引継ぎ可能。
「ムーブ」
特徴システムが一新されており、FFVII以降に近いアレンジが加えられている。
FFV●ジョブチェンジシステム
「コマンド」付け替え自由
「サポート」「ジョブ特性」付け替え自由
「リアクション」「ジョブ特性」付け替え自由
「ムーブ」「ジョブ特性」付け替え自由
特徴アビリティシステム初登場。セット数は1~3まで、条件付で「ジョブ特性」のみ多重セット可能。
FFVI●魔石システム
「コマンド」キャラクター専用・魔法のみ習得自由
「サポート」「アクセサリ」付け替え自由
「リアクション」「アクセサリ」付け替え自由
「ムーブ」「アクセサリ」付け替え自由
特徴魔石システムはキャラクター能力値の成長も強化できる。
FFVII●マテリアシステム
「コマンド」付け替え自由/「リミットブレイク」のみ固定
「サポート」付け替え自由
「リアクション」付け替え自由
「ムーブ」
「マテリア」売買可能なアイテムとしてのアビリティ概念。
特徴マテリアは可能な数字内ならいくらでもセットでき、育成と戦術の幅が広く深い。
FFVIII●ジャンクションシステム
「コマンド」付け替え自由/一部専用コマンドのみ固定
「サポート」キャラクター全能力カスタマイズ自由
「リアクション」付け替え自由/一部キャラ固定
「ムーブ」「パーティーアビリティ」付け替え自由
「メニュー」「メニューアビリティ」FFVIII独自のメニュー機能強化概念。
特徴能力値のカスタマイズ量が膨大で、育成の自由度を最も追求した作品。
FFIX●装備アビリティシステム
「コマンド」キャラクター固定、以下同文。
「サポート」重ね習得/付け替え自由
「リアクション」「サポートアビリティ」重ね習得/付け替え自由
「ムーブ」
特徴サポートアビリティ量とセット数が膨大で、戦術の自由度を最も追求した作品。
FFX●スフィアシステム
「コマンド」無限習得可能/「オーバードライブ」のみ固定
「サポート」「装備」セット数制限あり
「リアクション」「装備」セット数制限あり
「ムーブ」「装備」エンカウントなし/半減のみ
特徴育成の幅が広く長く、最終的に万能まで極められるのが特徴。
FFXインターナショナル●スフィアシステムアレンジver
「コマンド」無限習得可能/「オーバードライブ」のみ固定
「サポート」「装備」セット数制限あり
「リアクション」「装備」セット数制限あり
「ムーブ」「装備」エンカウントなし/半減のみ
特徴育成の自由度を上げた反面、裏道的な稼ぎプレイが潰され万能にする事が難しくなった。
FFX-2●ドレスフィアシステム
「コマンド」「ドレスアップ」ジョブ固定/ジョブチェンジ自由
「サポート」「リザルトプレート」「アクセサリ」付け替え自由
「リアクション」「アクセサリ」付け替え自由
「ムーブ」「アクセサリ」付け替え自由
特徴戦闘中もジョブチェンジでき、臨機応変な戦術が楽しめるFFIIIの正当進化系。
FFXI●サポートジョブシステム
「コマンド」ジョブ専用以下同文・制限付き付け替え自由
「サポート」「ジョブ特性」制限付き付け替え自由
「リアクション」「ジョブ特性」制限付き付け替え自由
「ムーブ」リアルタイムバトルのためフィールドと戦闘の区切りがない。
特徴システム的には過去作に近くなったが、ジョブ個性の格差がはっきりと出る。
FFXII●ライセンス●ガンビットシステム
「コマンド」無限習得可能
「サポート」無限習得可能/「装備」付け替え自由
「リアクション」「ガンビット」完全作成自由
「ムーブ」ADBのためフィールドと戦闘の区切りがない。
特徴育成には制限がなく、ガンビットによる戦術自由度を追求した作品。
FFXII インターナショナルZJS●ゾディアックジョブシステム●ガンビットシステム
「コマンド」ジョブ専用変更不可・一部習得数制限あり以下同文
「サポート」
「リアクション」「ガンビット」完全作成自由
「ムーブ」ADBのためフィールドと戦闘の区切りがない。
特徴オリジナル版がやや単調になりがちだったため、制限された中で戦術を考える楽しさを提案。
FFXIII●クリスタリウムシステム●オプティマシステム
「コマンド」キャラクター毎に習得制限あり・リーダー以外はオプティマ変更による大まかな作戦指示のみ
「サポート」「オプティマ」「アクセサリ」ボーナスがつく
「リアクション」「ロール」変更すれば専用の物がオートで発動
「ムーブ」なし
特徴バトルシステムが難易度が高い反面、オーソドックスで自由度が少ないがキャラクターの性能差が大きい設計。


以上の表は『ファイナルファンタジータクティクス』を基本に定義付けている。

※『FFV』のコンセプトをシミュレーションRPGにアレンジし、アビリティシステムの体系を確立した作品。



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