パラチオン パラチオンの概要

パラチオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 09:40 UTC 版)

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Parathion
識別情報
CAS登録番号 56-38-2 
PubChem 991
ChemSpider 13844817 
UNII 61G466064D 
EC番号 200-271-7
国連/北米番号 3018 2783
KEGG C06604 
ChEBI
ChEMBL CHEMBL261919 
RTECS番号 TF4550000
バイルシュタイン 2059093
特性
化学式 C10H14NO5PS
モル質量 291.26 g mol−1
外観 白色結晶 (pure form)
融点

°C, 279 K, 43 °F

への溶解度 24 mg/L
other solventsへの溶解度 high solubility

in xylene and butanol

危険性
安全データシート(外部リンク) [1]
GHSピクトグラム
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H300, H311, H330, H372, H400, H410
Pフレーズ P260, P264, P270, P271, P273, P280, P284, P301+310, P302+352, P304+340, P310, P312, P314, P320
NFPA 704
1
4
2
引火点 120 °C (248 °F; 393 K)
許容曝露限界 none (methyl parathion),[2] TWA 0.1 mg/m3 [skin] (ethyl parathion)[3]
最低致死濃度 LCLo 50 mg/m3 (rabbit, 2 hr)
14 mg/m3 (guinea pig, 2 hr)
15 mg/m3 (mouse)[1]
半数致死量 LD50 5 mg/kg (mouse, oral)
10 mg/kg (rabbit, oral)
3 mg/kg (dog, oral)
0.93 mg/kg (cat, oral)
5 mg/kg (horse, oral)
8 mg/kg (guinea pig, oral)
2 mg/kg (rat, oral)[1]
半数致死濃度 LC50 84 mg/m3 (rat, 4 hr)[1]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

スプレー剤の形で、綿、米、果樹に使用される。日本ではかつてニカメイチュウ、シンクイムシ類に対する特効剤として知られた。この薬が植物体に浸透する性質があるためである。さらにパラチオンは、植物体内で酵素によって容易に分解されるため、DDTBHCのように長く残留しない。

一般的に市販されている溶液は 0.05 から 0.1% の濃度である。多くの食用となる作物に対して使用が禁じられている。非常に高い毒性を持つこと、および汚染源となることから、2005年の時点で日本、欧州連合スイスペルーチリなど少なくとも18か国以上において使用が禁止されている。日本では毒物及び劇物取締法により特定毒物に指定されており、非常に厳重な規制がなされている。民生利用はほぼ不可能であり、研究目的での製造・使用にも官公庁への申請と認可が必要である。

変異原性、催奇性発癌性を持つことが実験によって示されている。哺乳類・鳥類・昆虫・水棲動物に対して非常に有害である。かつて健康被害や生態学的被害が問題とされた結果、カルバメートピレスロイド、他の有機リン化合物など、より安全で毒性の低い多くの代替品が開発され、それらの使用に移行している。


  1. ^ a b c Parathion”. 生活や健康に直接的な危険性がある. アメリカ国立労働安全衛生研究所英語版(NIOSH). 2022年6月15日閲覧。
  2. ^ NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0427
  3. ^ NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0479
  4. ^ Archived copy”. 2015年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月13日閲覧。
  5. ^ 財団法人日本食品化学研究振興財団 トリアゾホス及びパラチオン試験法
  6. ^ ブライアン・レーン他 『連続殺人紳士録』、橋本恵訳中央アート出版社、1995年6月1日 (原著1979年)、199-200頁。ISBN 978-4-88639-713-3 
  7. ^ 厚生省医薬安全局毒物劇物研究会編 『毒物劇物取扱の手引』 時事通信社、1998年6月1日。ISBN 978-4-78879815-1 文中「以下に岡山大学の『PAMによる治療基準』を掲げる。」との記述あり。
  8. ^ 日本中毒学会 中毒起因物質の実用的分析法 有機リン系農薬
  9. ^ 残留農薬から食卓守る 四食品に許容量『朝日新聞』1968年(昭和48年)3月21日夕刊 3版 11面
  10. ^ 横浜市衛生研究所 データシート パラチオン
  11. ^ パラチオン及びパラチオンメチルの概要について (PDF) - 食品安全委員会


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