パノプティコン パノプティコンの概要

パノプティコン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/06/06 22:41 UTC 版)

ベンサムによるパノプティコンの構想図
パノプティコン型刑務所の例。旧プレシディオ・モデーロキューバ
プレシディオ・モデーロの内部
監視方法

概説

功利主義者であったベンサムは、「社会の幸福の極大化を見込むには、犯罪者や貧困者層の幸福を底上げすることが肝要である」と考えていた。

ベンサムの功利主義的な姿勢はパノプティコンにも反映され、ベンサムの考える限りにおいて、運営の経済性と収容者の福祉が最大限に両立されている。ベンサムは「犯罪者を恒常的な監視下におけば、彼らに生産的労働習慣を身につけさせられる」と主張していた[1]

パノプティコンは、円形に配置された収容者の個室が多層式看守塔に面するよう設計されており、ブラインドなどによって、収容者たちにはお互いの姿や看守が見えなかった一方で、看守はその位置からすべての収容者を監視することができた[1]

パノプティコンは民間に委託される予定だった施設であり、少ない運営者でもって多数の収容者を監督することが構想されている。ベンサムの構想では、収容者には職業選択の自由が与えられることになっていて、刑期終了後も社会復帰のために身体の安全が確保され、更生するまでこの施設で労働することができる。パノプティコンは単なる刑務所(建物)ではなく、社会に不幸をもたらす犯罪者を自力で更生させるための教育・改造するためのシステムだった。

生前のベンサムは、当時のイギリスの非人道的な刑務所事情に心を痛め、パノプティコンの建設に異様なほど力を入れており、父の遺産の一部で模型までつくり、英国議会に強く働きかけた。1816年、ミルバンクで開設されたイングランド国立監獄の発想に影響を与えたものの、国立監獄そのものの実現は、ついに叶わなかった[2]

最初のパノプティコン型刑務所の建設はアメリカで建設され、この施設の設計思想は刑務所のほか、のちに学校や病院や工場などの施設に応用されることが意図されていた。 マザス監獄やレンヌ中央監獄などに代表される19世紀フランスの監獄建築で、獄房に収監された囚人がいつ看守に監視されているか、いないのか分からないままに、すべての方向から監視されているという監獄建築[3]ミシェル・フーコーが『監獄の誕生 監視と処罰』で、それを転用して、社会のシステムとして管理、統制された環境の比喩として用いた。

日本での監獄・刑務所のシステムは、明治時代にフランスをお手本として構築されたため、フーコーが指して言っているパノプティコン監獄のモデルは、犬山市にある博物館明治村の明治の監獄の建築展示にも小規模ながら窺い知ることができる。

参考文献

  • アンジェラ・デイヴィス 『監獄ビジネス…グローバリズムと産獄複合体』 上杉忍訳、岩波書店(原著2008年9月26日)、初版。ISBN 97840002248712009年11月27日閲覧。

外部リンク


  1. ^ a b c 『監獄ビジネス』 45頁。
  2. ^ 『監獄ビジネス』 46頁。
  3. ^ N.P. Harou-Romain, Projet de pénitencier, 1840, p.8.


「パノプティコン」の続きの解説一覧





パノプティコンと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

パノプティコンに関連した本

パノプティコンに関係した商品

辞書ショートカット

カテゴリ一覧

全て

ビジネス

業界用語

コンピュータ

電車

自動車・バイク

工学

建築・不動産

学問

文化

生活

ヘルスケア

趣味

スポーツ

生物

食品

人名

方言

辞書・百科事典

すべての辞書の索引

「パノプティコン」の関連用語

パノプティコンのお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング

画像から探す

クンミンゴサウルス・ウディンゲンシス

ハロゲン処理

三木谷浩史

ニリンソウ

佐坂 志朗

リノケロス

コットン

牧之原・川根路のお茶





パノプティコンのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのパノプティコン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2015 Weblio RSS