バリウム 性質

バリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/06/11 17:37 UTC 版)

性質

物理的性質

バリウムはと同程度に柔らかく銀白色の外観を有するアルカリ土類金属である。金属光沢を有しているが、空気中では徐々に酸化されて白色の酸化被膜に覆われるため金属光沢は失われる[1]融点および沸点は資料により異なるデータがみられ、融点は729 °C[2]や725 °C[3][4]、726.2 °C[5]というデータがあり、沸点は1898 °C(1気圧)[2]、1640 °C[3]、1637 °C(1気圧)[5]というデータがある。密度が3.51 g/cm3と低いため軽金属に分類される[1]。常温、常圧で安定な結晶構造は体心立方構造 (BCC) であり、その格子定数aは5.01である[6]

炎色反応においてバリウムは黄緑色の炎色を呈する[7]。主要な輝線は524.2 nmおよび513.7 nmの緑色のスペクトル線であり、それらは双子線を示すアルカリ金属元素の輝線とは対照的に単線を示す[6]

化学的性質

各種アルカリ土類金属塩および亜鉛塩の密度 g·cm−3
O2- S2- F- Cl- SO42- CO32- O22- H-
Ca2+[8] 3.34 2.59 3.18 2.15 2.96 2.83 2.9 1.7
Sr2+[9] 5.1 3.7 4.24 3.05 3.96 3.5 4.78 3.26
Ba2+[10] 5.72 4.3 2.1 1.9 4.49 4.29 4.96 4.16
Zn2+[11] 5.6 4.09 4.9 2.09 3.8 4.4 1.57

バリウムの化学的性質はカルシウムストロンチウムに類似しているものの、アルカリ土類金属元素の電気陰性度は原子番号が大きくなるにつれて小さくなる傾向があるため、バリウムはカルシウムやストロンチウムよりもさらに反応性が高い[12]。このアルカリ土類金属元素の持つ性質の連続的な変化によって、バリウムの塩は他のアルカリ土類金属の塩と比較して水和物を形成しやすく、水に対する溶解度が低く、熱的安定性が優れているという性質を有している[13]。2価のバリウムイオンの化学的性質はユウロピウムサマリウムイッテルビウムイオンなど2価の希土類イオンと類似しており、バリウム鉱石中にこれらの元素が含まれていることがある[14]。バリウムイオンは可視領域にスペクトルを持たないためバリウム化合物は全て無色であり、バリウム化合物の着色はアニオン側の持つ色や構造の欠陥に起因して生じたものである[15]

バリウムの電溶圧は水素よりも大きいため水と激しく反応して水素を発生させ、アルコールとも同様に激しく反応する[16]

Ba + 2H2O → Ba(OH)2 + H2

バリウムは空気中で徐々に酸化されて白色の酸化バリウムを形成し、この酸化物もまた水と激しく反応して水酸化バリウムとなる。水酸化バリウムはアルカリ土類金属の水酸化物の中では水に対する溶解度が高く強塩基性である[17]。バリウムは高温で炭素と直接反応してイオン性アセチリドである炭化バリウムを生成する。この炭化物は加水分解によってアセチレンを発生させる。また、ホウ素ケイ素ヒ素硫黄などとも直接反応してイオン性の化合物を形成するが、これらの化合物もまた容易に加水分解を受ける。オキソ酸とも反応して硫酸バリウムや硝酸バリウムのような化合物を形成し、それらの化合物は水に対する溶解性が低い[18]

バリウムの過塩素酸塩はジエチレントリアミンによって錯体を形成するが、安定に存在できるのは固体常態のみであり溶液中では容易に解離する[19]。また、クラウンエーテルとも錯体を形成する[20]。バリウムは液体アンモニアに溶解して青色の溶液となり、ここからアンモニアを除去することでバリウムのアンミン錯体を得ることができる[15]

バリウムはアルミニウム亜鉛、鉛およびスズを含むいくつかの金属と結合し、合金および金属間化合物を形成する[21]

同位体

自然より産出するバリウムは七つの同位体の混合物であり、天然存在比が最大のものは138Baの71.7%である。バリウムは22の同位体が知られているが、それらのほとんどは半減期が数ミリ秒から数日の高い放射能を持つ放射性同位体である。例外として、10.51年という比較的長い半減期を持つ133Baがある[22]133Baは原子物理学の研究におけるガンマ線探知機などにおいて校正用の標準線源として用いられる[23]




  1. ^ デービーは石灰を意味する「calcsis」の語尾に「-ium」を付けてカルシウムと命名した[33]
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