バブル景気 バブル景気の概要

バブル景気

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/03/02 13:59 UTC 版)

1989年(平成元年)に、三菱地所が約2200億円で買収したニューヨークロックフェラー・センター
当時の日本企業による国外不動産買い漁りの象徴となった。

ただし、多くの人が好景気の雰囲気を感じ始めたのは1988年頃からであり[要出典]、政府見解では、1992年2月までこの好景気の雰囲気は維持されていたと考えられている[4]

また、アメリカの2003年以後の住宅と金融を中心にした資産価格の高騰、景気拡大期を米国バブルなどと呼称する。ここでは、かつて日本で起きた事象について説明する。

概要

日本では、1986年12月-1991年2月までの株式不動産を中心にした資産の過度な高騰、経済拡大期間を指すことが主である。目安となる指標も多く存在し、景気動向指数(CI・DI等)、土地価格(公示価格・調査価格の6大都市、地方、平均値等)、株価、GDP(総GDP伸び率等)、消費者物価、民間消費支出等どれを基準にするかということと、政府見解により諸説は左右される。

1980年代後半には、東京都山手線内側の土地価格でアメリカ全土が買えるという算出結果となるほど日本の土地価格は高騰し、日経平均株価1989年平成元年)12月29日大納会には、史上最高値38,957円44銭を付けるなどし、資産価格のバブル化が起こっていた。このことを指して「バブル経済」と呼ばれる。

バブル経済とは、総じて結果論として語られることが多く、その過剰な拡大期間の中では単に「好景気」といわれる。バブル景気による過剰な経済拡大期があり、その後にはその反動としてバブル崩壊による大幅な資産価格下落や金融収縮などが起こり経済問題が多数噴出することとなる。結果として過去のその経済状況を否定的意味あいでバブルなどと呼称する。

日本の景気動向指数でみる、景気循環における第11循環の拡大期に当たる。指標の取り方にもよるが、おおむね、1986年12月から1991年2月までの4年3か月(51か月)間を指すのが通説である。これは、2002年2月から2008年2月まで73か月続いた長景気(通称:いざなみ景気、かげろう景気など)や1965年11月 - 1970年7月の4年9か月の57か月続いたいざなぎ景気に次いで第二次大戦後3番目に長い好況期間となる。

バブル以前の1985年、プラザ合意直後の日本は円高不況と称された深刻な不況であり、輸出産業が大打撃を受け、東京や大阪などの町工場には倒産が続出していた。当時の日本のGDPに占める製造業比率は高く、円高が輸出産業、ひいては日本経済に与えたダメージは現在と比較にならないほど大きく、製造業の日本国外への流出もこの時期に本格化した。円高不況という文字がメディアから消え、多くの一般の人がいわゆるバブル景気の雰囲気を感じていたのは1988年頃から1991年2月のバブル崩壊以降少し後までの数年である[要出典]

また、資産価格の高騰による好景気というように、株式や土地といった資産をもった人(持つ者)に恩恵がもたらされたのであり、資産をもたない多くの人(持たざる者)に恩恵が及んだわけではなく、彼らにはバブル景気は無縁だった[誰?]。しかも当時は今のようにインターネットも普及しておらず[5]、株式等のトレードに簡単に手を出せたわけではない[誰?]。そこでニューリッチとニュープアによる資産格差の拡大が叫ばれ始めてもいた[誰?]

日本のバブル崩壊による深刻な経済問題が表面化するまでには数年の時間を要し、当初は一時的な景気後退として楽観論が大勢を占めていた。1992年には政治的に宮沢喜一などが公的資金投入による早期の不良債権処理を言及しているが、官庁、マスコミ、経済団体、金融機関などからの強い反対に遭い実行に至らなかった。バブル崩壊と同時に1973年より続いてきた安定成長期は終焉を迎え、その後20年以上にわたる長期不況(失われた20年)などの引き金となった。

名称(通称)の由来

実体経済から乖離して資産価格が一時的に大幅に高騰し、その後急速に資産価格の下落が起こる様子が中身のないが膨れて弾ける様子に似て見えることからこのように呼称する。もともと「バブル」は「泡」を意味する語なので、泡沫景気(ほうまつけいき)と呼ばれることもある。1990年代初期からは、「平成景気」と呼ばれた。

1980年代後半、「バブル」という言葉は一般に認知されていなかった[6]。「バブル景気」という語は1987年に命名されたとされる。基になった「バブル」という語自体は1700年代のSouth Sea Bubble(南海泡沫事件)を語源とし、1990年にはすでに「バブル経済」という言葉が流行語大賞の流行語部門銀賞を「受賞者:該当者なし」(だれが最初に使い、はやらせたのか分からないため)で受賞している。しかし、この語が広く一般に、実感を伴って認知されたのはバブル経済が崩壊したあとである。また、その景気後退期または後退期末期、景気が上昇に転じるまでの期間を「バブル崩壊」(平成不況[7])などという。

野口悠紀雄は1987年11月に「バブルで膨らんだ地価」という論文を『週刊東洋経済・近代経済学シリーズ』に掲載しており、「私の知る限り、この時期の地価高騰を「バブル」という言葉で規定したのは、これが最初である」と述べている[8]




  1. ^ 岩田規久男 『日本経済を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2005年、75頁。
  2. ^ 財務省財務局60年史” (2013年11月26日). 2014年7月26日閲覧。
  3. ^ 国立国会図書館財政金融調査室(岩城成幸) (2006-02-16), “平成18年の日本経済” (PDF), 調査と情報 ISSUE BRIEF Number 511 (国立国会図書館), http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/issue/0511.pdf 2014年7月26日閲覧。 
  4. ^ 内閣府 経済社会総合研究所 わが国のバブル期以降の経済の見通し・景気判断と経済政策 北坂真一 156頁
  5. ^ 本格的にインターネットが普及したのはウインドウズ95リリース後、ブラウザ戦争が勃発した1995年以降。
  6. ^ 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、271頁。
  7. ^ 平成不況とはコトバンク
  8. ^ 野口悠紀雄 『戦後日本経済史』 新潮社〈新潮選書〉、2008年、157頁。
  9. ^ 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、31頁。
  10. ^ a b c d 三菱総合研究所編 『最新キーワードでわかる!日本経済入門』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2008年、60頁。
  11. ^ ミルトン・フリードマン 「世界の機会拡大について語ろう」 〜「グローバルビジネス」1994年1月1日号掲載ダイヤモンド・オンライン 2011年8月1日
  12. ^ 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、50頁。
  13. ^ 日本銀行の金融政策(1984年〜1989年)-プラザ合意と「バブル」の生成-, 黒田晃生, 明治大学社会科学研究所紀要
  14. ^ 最近における短期金融市場の動向について, 日本銀行調査月報:1986年2月号
  15. ^ 消費者物価指数 (CPI), 総務省
  16. ^ 香西泰; 白川方明; 翁邦雄 『バブルと金融政策 :日本の経験と教訓』 日本経済新聞社、2001年ISBN 453213224X [要ページ番号]
  17. ^ a b c d 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、52頁。
  18. ^ プラザ合意と円高、バブル景気中澤正彦・吉田有祐・吉川浩史,財務総合政策研究所,65頁。
  19. ^ 田中秀臣 『日本経済復活が引き起こすAKB48の終焉』 主婦の友社、2013年、44頁。
  20. ^ 田中秀臣 『デフレ不況 日本銀行の大罪』 朝日新聞出版、2010年、151頁。
  21. ^ 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、56-57頁。
  22. ^ 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、57頁。
  23. ^ 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、62頁。
  24. ^ 『まんが 八百長経済大国の最期』 (ベンジャミン・フルフォード, 光文社ペーパーバックス, 2004年)[要ページ番号]
  25. ^ a b 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、80頁。
  26. ^ 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、75頁。
  27. ^ 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、75-76頁。
  28. ^ 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、85頁。
  29. ^ 岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、109頁。
  30. ^ 田中秀臣 『デフレ不況 日本銀行の大罪』 朝日新聞出版、2010年、154頁。
  31. ^ 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、135頁。
  32. ^ a b 小泉祐一郎 『図解経済学者バトルロワイヤル』 ナツメ社、2011年、148頁。
  33. ^ マネー マネー底流潮流 上昇日本株相場に「RER」の影日本経済新聞 2012年1月30日
  34. ^ 森永卓郎 『日本経済50の大疑問』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、89頁。
  35. ^ 三橋貴明 『民主党政権で日本経済が危ない!本当の理由』 アスコム、2009年、146頁。
  36. ^ 三橋貴明 『高校生でもわかる日本経済のすごさ』 彩図社、2009年、51-52頁。
  37. ^ 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、5頁。
  38. ^ 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、72頁。
  39. ^ 岩田規久男 『景気ってなんだろう』 筑摩書房〈ちくまプリマー新書〉、2008年、96頁。
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  41. ^ 神樹兵輔 『面白いほどよくわかる 最新経済のしくみ-マクロ経済からミクロ経済まで素朴な疑問を一発解消(学校で教えない教科書)』 日本文芸社、2008年、236頁。
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  43. ^ 竹中平蔵 『竹中教授のみんなの経済学』 幻冬舎、2000年、85頁。
  44. ^ 岩田規久男 『景気ってなんだろう』 筑摩書房〈ちくまプリマー新書〉、2008年、38頁。
  45. ^ 岩田規久男 『景気ってなんだろう』 筑摩書房〈ちくまプリマー新書〉、2008年、38-39頁。
  46. ^ a b c 岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、93頁。
  47. ^ 岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、111頁。
  48. ^ 勝間和代 『自分をデフレ化しない方法』 文藝春秋〈文春新書〉、2010年、90頁。
  49. ^ 日本経済新聞社編 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、150頁。
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  62. ^ 資産格差とはコトバンク
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