バガス バガスの概要

バガス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 04:41 UTC 版)

概要

サトウキビを搾汁した場合、全体の約25%がバガスとして得られる。水分約45%。洗浄後の乾燥質量の内訳は、セルロースがおよそ半分であり、残りの大半はペントサン英語版ペントースの重合体であるヘミセルロース)とリグニンが占め、ペントサンの方がリグニンよりやや多い[3]。少量の灰分を含む。製糖工場などにおいてはこのバガスを圧搾機の燃料として搾汁作業を行ったり[4]、関連加工工場を併設したりして、コスト削減を行う場合がある。また、環境問題の面から見ても注目されている資源でもある[5]

用途

バガスを原料としたバガスパルプは、植物パルプとしてはに次ぐ年間約370万トン(約16%)が生産されている[1]。主要生産国インド中国インドネシアメキシコペルーコロンビア等。
日本でも、王子製紙鈴木梅四郎らの手により、1919年(大正8年)、台湾宜蘭市にバガスを原料とする製紙工場が建設されている[6]など利用歴は古い。
燃料
バガスをそのままボイラーの燃料にすることは古くから用いられている。かつては製糖工場内の構内輸送用の蒸気機関車の燃料としても使用された。近年ではセルロース糖化によるバイオエタノール生成が模索されているが、実用には達していない。
食品
バガス中に含まれる繊維分を用いた食料品加工への研究も実施されており、科学技術振興機構ではメタボリックシンドローム生活習慣病予防効果を持った食品開発が行われている[7]
農業
堆肥化して農地に戻す。
キクラゲ類の栽培用培地の原料として使用する。
化学工業
芳香族アルデヒドフルフラール脂肪族アルコールオクタコサノール英語版(サトウキビロウ)の原料となる。
飼料
セルロースとヘミセルロースの分解能力をもつ反芻動物の飼料とすることが試みられている。バガスをそのまま与えるだけでは、リグニンを消化できず消化不良となってしまうため工夫を要する。1980年にアントニオ猪木が企業アントン・ハイセルを立ち上げて取り組んだが、事業としては失敗した例が有名である。

関連項目


  1. ^ a b 地球と未来の環境基金-『バイオマス資源としてのさとうきびバガス』[リンク切れ]
  2. ^ 【生活ナビ】食品廃棄物を再利用 新たな価値に/サトウキビかす→デニム広がる「アップリサイクル」『日本農業新聞』2021年12月15日16面
  3. ^ セルロース40-60%、ペントサン20-30%、リグニン15-20%、灰分1-3%。柏木豊「バガスからの機能性食物繊維の生産技術」『農業および園芸』Vol.82 No.4(2007年4月)pp.509-514
  4. ^ URUMAX-沖縄大百科『バガス』[リンク切れ]
  5. ^ 『国内環境ニュース-2008/10/21』[リンク切れ]国立環境研究所
  6. ^ 香田徹也「昭和15年(1940年)林政・民有林」『日本近代林政年表 1867-2009』(日本林業調査会 2011年)p.420 全国書誌番号:22018608
  7. ^ 「バガス(サトウキビかす)を利用した多機能性食物繊維の製品化に成功」科学技術振興機構報』第292号(2006年)2021年12月30日閲覧


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